高尿酸血症のタイプと病態
血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超えると、高尿酸血症と診断されます。ただし、必ずしも7.0mg/dLの値を超えるとすぐに尿酸の結晶が蓄積するわけではありません。実際、尿酸値が7.0mg/dLを少し超えるくらいであれば、痛風を発症しない場合がほとんどです。
ただし、この尿酸値が高くなるにつれて痛風の危険性が高まります。尿酸値が7.0mg/dLを超えると黄色信号が灯りますが、8.0mg/dLを超えると赤信号が点灯し始めます。9.0mg/dLを超えるようになると、症状が出ていなくても薬物治療が必要になります。
基本的には高尿酸血症として7.0mg/dLを超えると、生活習慣の見直しから治療を始めます。
尿酸値の平均は男性が5.5mg/dLであり、女性が4.0mg/dLです。この値を踏まえた上で、尿酸値が6.0mg/dL以下になるように目指します。
尿酸はある一定量が体の中に蓄えられており、この時の尿酸が溜められている総量を尿酸プールと呼びます。私たちの体内では常に尿酸が新しく作られたり、排泄されたりしています。つまり、尿酸は毎日入れ替わっています。
この時、毎日半分以上の尿酸が交換されます。これによって、尿酸が体内に溜まらないようになっています。
尿酸プールとして、私たちの体内には約1,000mgの尿酸が一定量で蓄えられています。ここから毎日約600mgの尿酸が入れ替わっていきます。
つまり、新しく約600mgの尿酸が産生され、約600mgの尿酸が排泄されていくのです。
・体内で産生される尿酸:体内で合成(約500mg)、食物から摂取(約100mg)
・体外へ排泄される尿酸:尿中へ排泄(約500mg)、糞中へ排泄(約100mg)
この尿酸の産生と排泄のバランスが崩れてしまうと、尿酸プールが増えていって高尿酸血症となります。尿酸プールの量は「尿酸の産生」と「尿酸の排泄」のバランスから成り立っていることから、体内の尿酸量が増えるパターンとして次の3種類があると分かります。
1. 尿酸の産生量が多くなっている:尿酸産生過剰型
2. 尿酸の排泄量が少なくなっている:尿酸排泄低下型
3. 尿酸の産生量が多く、排泄量も少なくなっている:混合型
1. 尿酸産生過剰型
私たちの体は毎日約600mgの尿酸が新しく作られています。この新しく作られる尿酸の量が多くなると、その分だけ尿酸プールにたくさんの尿酸が蓄えられるようになります。
その結果、尿酸値が上昇してしまいます。このような状態によって尿酸値が上昇してしまう場合を尿酸産生過剰型と表現します。
通常よりも尿酸がたくさん作られているため、このような患者さんの治療では「尿酸が新しく作られる過程を阻害する薬」を使用すれば良いことが分かります。
2. 尿酸排泄低下型
毎日約600mgの尿酸が排泄されますが、この時排泄される尿酸の量が少なくなっても尿酸プールに蓄積されます。
そのために血液中の尿酸値が上昇してしまいますが、このような状態を尿酸排泄低下型と呼びます。
尿酸の排泄が低下しているため、このような患者さんでは「尿酸の排泄を促進させる薬」が効果的であると分かります。
3. 混合型
尿酸が体内で過剰に作られており、かつ尿酸の排泄も少なくなっている患者さんがいます。この時、尿酸産生過剰型と尿酸排泄低下型の両方が混ざっているため、このような状態を混合型と表現します。
過剰に尿酸が溜まりやすいタイプがこの混合型となります。
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