胎内環境:病気になりやすい子どもが生まれる
人は周りの環境によって左右されます。全く同じ遺伝子をもつ一卵性双生児であったとしても、成人するころには少しではあるが、それぞれ個人特有の特徴が表れてきます。
そして、同じような環境による影響が性格だけでなく、個人の体質にも表れます。
今回は、赤ちゃんが母親の胎内にいる環境(胎内環境)に焦点を当てたいと思います。
太りやすい子どもが生まれる
出生時に体重が2500g未満の低体重児比率が増えたと言われています。これは偶然ではなく、原因の一つとして母親の痩せ志向が考えられます。
肥満は当然ながら問題ですが、痩せすぎも問題ということです。痩せ志向により、新生児にも悪影響が出てしまうのです。
人間は周りの環境に合わせようとします。母親の痩せすぎにより、お腹の中にいる胎児は常に栄養が少ない状況にさらされ続けます。
このような状況で育った胎児は、少ない栄養を効率よく胎内に取り入れる体質を作ろうとします。たとえ、DNAが一緒だったとしても、周りの環境に適用しようと体質を変化させるのです。
このようにして生まれた赤ちゃんは、栄養を効率よく吸収する体質(太りやすい体質)として生まれやくなります。なお、胎内での栄養が少なかったため、生まれた時は低体重児のとして生まれます。
このような子どもは異常行動や疾病も多くなってしまいます。そのため、お腹の中から育児を行い胎内環境をよくすることは、とても重要になります。
ナチス時代に発生したオランダの冬の飢饉事件
第二次世界大戦にナチスドイツがオランダに対して出入港禁止措置を行いました。これによって食糧が寸断され、多くの人が飢餓状態に陥りました。
このときの、一人あたりのカロリー摂取量は700 kcalだったと言われています。
一般的な成人の摂取カロリーが1800kcal~2200 kcal程度なので、当時の食糧危機の度合いが伺えます。
この時代に、当然ながら妊婦も同じように飢餓状態になりました。このとき生まれた子どもに対して疫学調査を行ったところ、成人した後に高確率で糖尿病・高血圧などの病気を発症したことが分かりました。
これにより、「妊娠中の低栄養は、生まれてくる子供に対して生活習慣病のリスクを高める」という説が実証され、現在では多く支持されています。
今後、痩せ志向が強い日本において、より生活習慣病を発症しやすい子どもが多く生まれることが予想されます。
生まれてくる子どもの将来も踏まえ、少しでも病気になりにくい子どもを育てるにはどうすれば良いかを考えるべきかもしれません。
そう考えると、喫煙も低体重児の大きなリスクになるため、控える方が賢明です。
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