脂質(コレステロール)の吸収と合成
コレステロールやトリグリセリド(中性脂肪:TG)などの脂質は「食事として外から吸収する場合」と「体の中で合成される場合」の二種類があります。
このメカニズムについて確認していきます。
脂質の吸収
・リポタンパク質の作用
リポタンパク質と脂質の関係を表すと下図のようになります。
① 小腸から脂質が吸収される
食物に含まれる脂質は消化酵素によって細かく分解された後に小腸から吸収されます。この脂質は油であるため、そのままの状態では血液の中に溶け込むことができません。そこで、水に溶けるアポタンパク質の中に脂質を閉じ込めて、リポタンパク質として脂質を移動させます。
このとき、小腸から吸収した脂質を運ぶリポタンパク質がキロミクロンです。キロミクロンは血管を通っていくうちに代謝を受け、肝臓に取り込まれます。
② 肝臓からコレステロールやトリグリセリド(中性脂肪:TG)が放出される
キロミクロンによって肝臓に運ばれた脂質は再び血液中に放出するためにVLDLへと再合成されます。VLDLは血液中を巡っていくうちに酵素の働きによってトリグリセリド(中性脂肪:TG)が分離されていきます。
このとき分離していったトリグリセリド(中性脂肪:TG)を遊離脂肪酸と呼びます。
VLDLからトリグリセリド(中性脂肪)が分離されるため、その分だけVLDLに含まれるトリグリセリド(中性脂肪)が少なくなってコレステロールの比率が上がります。これによって、コレステロールを多く含むLDLが生成します。
トリグリセリド(中性脂肪)は遊離脂肪酸という形でVLDLから分離した後、全身の脂肪細胞に取り込まれます。
③ 各組織にコレステロールを運ぶ
コレステロールを多く含むLDLは各組織にコレステロールを引き渡します。コレステロールはホルモンやビタミン等の原料であるため、必要不可欠な物質です。
しかし、LDLが過剰であるとコレステロールが血管の壁に蓄積されて動脈硬化を引き起こしてしまいます。そのため、LDLは悪玉コレステロールと呼ばれています。
④ 各組織のコレステロールを肝臓に戻す
各組織でコレステロールが余った場合、HDLはこのコレステロールを肝臓に戻す作用をします。HDLは組織のコレステロールを減らす働きをするため、善玉コレステロールと呼ばれています。
HDLが存在することで、各組織にコレステロールが溜まらないようになっています。そのため、HDLの量が少ないと「コレステロールが血管などの組織に溜まったままの状態」となるので、動脈硬化が引き起こされてしまいます。
コレステロールの合成
コレステロールは食事として外から吸収するだけでなく、体の中でも合成されます。実は食事から得られるコレステロールは約20%であり、残りの約80%は体内で合成されます。
このとき合成されるコレステロールは糖質や脂質、タンパク質などを原料として構築されていきます。
なお、肝臓でコレステロール合成を行う上で重要となる酵素としてHMG-CoA還元酵素があります。HMG-CoA還元酵素はコレステロールをどれだけ合成するかの速度調節に関わっています。
そのため、体の中でのコレステロール合成を考えるうえで「HMG-CoA → メバロン酸」の経路が重要となります。
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