血栓溶解療法:プラスミンとt-PA
血管に傷がついた場合、この傷からの出血を止めるために血栓が作られます。その後、血管の傷を修復していきます。
ただし、血管が修復し終わった後であれば血栓が邪魔になります。そこで、この血栓を溶かす働きが体の中に予め備わっています。このような作用をする物質としてプラスミンがあります。
プラスミンがフィブリンに作用して血栓を溶かす過程としては、以下のような流れになっています。
血栓溶解薬
プラスミンによって血栓を溶かすことができることから、このプラスミンの作用を活性化させる薬は血栓溶解薬になると予想することが出来ます。
脳梗塞によって動脈が塞がれてしまった場合、一刻も早く治療しなければいけません。この時、プラスミンの作用によって脳を詰まらせた血栓を溶かすことが出来れば、血流を元に戻すことで脳梗塞を治療することができます。
この考えが血栓溶解療法です。
プラスミンはプラスミノーゲンから生成されます。この時、プラスミノーゲン活性化因子が関与します。
プラスミンの作用を増強することができれば血栓を溶解させることができますが、プラスミンへの変換を促す薬としてt-PA(tissue-plasminogen activator:組織プラスミノーゲン活性化因子)があります。
このt-PAを作用させることによって、脳梗塞などによって詰まってしまった血栓を溶かし、血流を元通り改善させることが出来るようになります。
これらt-PA製剤は脳梗塞による血栓を溶解させることで命を救うことが出来ますが、問題点もあります。
脳細胞は一度壊されると再生せず、脳の血流が途絶えてしまうとその時点から脳細胞が死滅していきます。そのため、病気を発症した後すぐにこの薬を使用する必要があり、少なくとも発症後6時間以内に薬を投与しなければいけません。
そこで、血栓溶解薬を使用するにしても「発症後6時間以内を目安として、出来るだけ素早く使用する」、「全身に作用するため出血リスクが高くなる」という事を認識しなければいけません。
また、これら血栓溶解薬は全身に作用します。脳血管だけに作用させることは難しいため、他の意図しない場所から出血する危険性があります。
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