当帰芍薬散の効能:月経不順、更年期障害、貧血
貧血や生理不順、更年期障害など、女性で問題になりやすい病気が存在します。これらの婦人科領域の病気に対して広く用いられる薬が当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)です。
漢方薬には、主に婦人科で使用される薬は他にもあります。その中でも、当帰芍薬散は虚弱体質の人に利用されます。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。当帰芍薬散であれば、次のような人が有効です。
・筋肉が軟弱
・疲れやすい
・腰脚が冷えやすい
「当芍美人」という言葉があります。これは、当帰芍薬散を使用すべき人は色白で華奢な人であり、美人であることが多いことからこの言葉が生まれました。このような虚弱体質の人を、漢方では「虚証(きょしょう)」といいます。
誰にでも当帰芍薬散が有効なのではなく、その人の体質を見極めて適切な漢方薬を使用しなければいけません。そのため、体力旺盛な人に対しては、他の種類の漢方薬を使用します。
当帰芍薬散の作用
ホルモンバランスを整えたり、貧血を改善したりする作用が当帰芍薬散にはあります。これは、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれているからです。当帰芍薬散には、以下の6種類の生薬が配合されています。
・当帰(とうき)
・川芎(せんきゅう)
・芍薬(しゃくやく)
・蒼朮(そうじゅつ)
・沢瀉(たくしゃ)
・茯苓(ぶくりょう)
これらを組み合わせることにより、婦人科領域の症状に使用するのが当帰芍薬散です。生薬のうち、当帰と芍薬が主な成分であるために当帰芍薬散と呼ばれています。当帰には血行を良くして貧血を改善する作用、また芍薬には生理痛などの痛みを和らげる作用が知られています。
薬の効果を調べる試験でも、当帰芍薬散にはホルモンへの作用や血流改善作用が動物実験などで確認されています。また、排卵促進や血流の改善、子宮への作用なども認められています。
当帰芍薬散の使用方法
当帰芍薬散を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。
投与を控えるべき人としては、「体力旺盛な人」「著しく胃腸虚弱な人」「食欲不振、悪心、嘔吐のある人」が挙げられます。これらの人に使用すると、症状の悪化を招く恐れがあります。
これら当帰芍薬散としては、
・妊娠中:むくみ、おなかの痛み、貧血、どうき
・妊娠しにくい人:冷え、倦怠感、貧血
・月経周期の異常:月経痛、疲労感、冷え
・更年期障害:疲労感、貧血、冷え、頭痛、頭重、めまい、どうき
などの症状に有効です。このような特徴により、女性で問題となりやすい諸症状に対して有効な漢方薬が当帰芍薬散です。
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