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役に立つ薬の情報~専門薬学

テルペノイド

 

 ○非精油性モノテルペンを含む生薬
芍薬(シャクヤク): ボタン科 Paeoniflorin
(ペオニフロリン)
  漢方処方→桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう) [鎮痛薬] <桂皮、芍薬、甘草、大夷、生姜>
          小建中湯(しょうけんちゅうとう) <桂枝加芍薬湯 みずあめ>
          芍薬甘草湯(しゃくきゃくかんぞうとう) [こむらがえり、不妊症] <芍薬、甘草>
牡丹皮(ボタンピ): ボタン科 Paeoniflorin (ペオニフロリン)、Paeonol
(ペオノール)
  漢方処方→桂皮茯苓丸(けいひぶくりょうがん) [更年期障害]

 

 イリドイド、セコイリドイド
イリドイド:ゲラニルPPからイリドジアール(Iridodial)に変化し、イリドジアールからヘミアセタール構造を形成して閉環した構造。

 

セコイリドイド:イリドイドの五員環のC7-C8が開裂した構造。

 

 

 

 ○イリドイド含有生薬
キササゲ: ノウゼンカズラ科 Catalpol(カタルポール)、Catalposide(カタルポシド)
地黄(ジオウ): ゴマノハグサ科 Catalpol
サンシシ: アカネ科 Geniposide(ゲニポシド)
  漢方処方→黄連解毒湯 [高血圧] <黄連、オウゴン、黄柏、サンシシ>
車前子(シャゼンシ): オオバコ科 Audubin(アウクビン)
車前草(シャゼンソウ): オオバコ科 Audubin(アウクビン)
サンシュユ: ミズキ科 Loganin(ロガニン)

 

 ○セコイリドイド含有生薬
竜胆(リュウタン): リンドウ科 Gentiopicroside(ゲンチオピクロシド) [苦味健胃]
  漢方処方→竜胆寫肝湯(リュウタンシャカントウ) [尿路疾患薬]
ゲンチアナ: リンドウ科 Gentiopicroside [苦味健胃]
センブリ: リンドウ科 Swertiamarin(スウェルチアマリン) [苦味健胃]

 

 ○セスキテルペン含有生薬
蒼朮(ソウジュツ): キク科 β-Eudesmol(β-オイデスモール)、hinesol(ヒネソール)
白朮(ビャクジュツ): キク科 Atractylon(アトラクチロン)
  漢方処方→五苓散(ゴレイサン) [二日酔]
カミツレ: キク科 α-Bisabolol(α-ビサボロール)、chamazulene(カマズレン)
木香(モッコウ): キク科 Costunolide(コスツノリド)
香附子(コウブシ): カヤツリグサ科: α-Cyperone(α-シペロン)
  漢方処方→香蘇散(コウソサン) [かぜ薬]

 

☆蒼朮と白朮は同じ「朮」という漢字を使い、製薬会社によって蒼朮を好む会社と白朮を好む会社があり、同じ漢方処方なのに成分が違う場合がある。

 

昔は白朮よりも蒼朮の方が良いという考えがありそれに従う会社は蒼朮を使用し、漢方処方に従う会社は白朮を使う。一般的には痛みに対しては蒼朮、胃に対しては白朮を使う。

 

☆附子と香附子は名前は似ているが全く違う。附子はキンポウゲ科で毒だが香附子はカヤツリグサ科で毒でない。

 

 ○トリテルペン含有生薬
人参(ニンジン)、紅人(コウジン): ウコギ科 Ginsenoside Rb1
  漢方処方→人参湯 [胃下垂]
          人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ) [病後など体の弱っている人に使用]
苦木(ニガキ): ニガキ科 ←変形トリテルペン
升麻(ショウマ): キンポウゲ科 Cimigenol(シミゲノール)
  漢方処方→乙字湯 [痔の薬]
          補中益気湯 [強壮薬]
沢寫(タクシャ): オモダカ科 Alisol A(アリソールA)
  漢方処方→五苓散(ゴレイサン) [二日酔]
大棗(タイソウ): クロウメモドキ科 Zizyphus saponin Ⅰ
茯苓(ブクリョウ): サルノコシカケ科 Eburicoic acid、pachymic acid
甘草(カンゾウ): マメ科 Glycyrrhizin(グリチルリチン)
  漢方処方→甘草湯 [しわがれ声、腹痛]
柴胡(サイコ): セリ科 Saikosaponin a(サイコサポニンa) [精神疾患、胸脇苦満]
セネガ: ヒメハギ科 Senegin Ⅱ
キキョウ: キキョウ科 platycodin D
遠志(オンジ): ヒメハギ科 Onjisaponin E(オンジサポニンE) [認知症]
木通(モクツウ): アケビ科 Akeboside Stb [消炎]

 

☆甘草を漢方薬として処方するとき、他の薬物の効果を緩和し副作用を抑える働きがあるとされている。しかし甘草を大量及び長期間摂取する場合は甘草自体の副作用が問題となる。特に利尿薬との併用に注意が必要である。

 

甘草の副作用としては偽アルドステロン症、ミオパシー(筋疾患)、低カリウム血症がある。

 

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