役に立つ薬の情報~専門薬学 | 薬・薬学・専門薬学・薬理学など

役に立つ薬の情報~専門薬学

消風散の効能:湿疹、蕁麻疹、水虫、あせも、アトピー

 

湿疹や蕁麻疹、水虫、アトピーなど、皮膚疾患ではかゆみを伴ったり分泌物が出るようになったりします。「痛みは我慢できても、かゆみは我慢できない」といわれるほど、これらの症状は重大です。そこで、このような皮膚疾患に対して使用される漢方薬として消風散(しょうふうさん)が知られています。

 

消風散にはかゆみを抑える働きがあり、分泌物ができやすい体質を改善させる作用があります。これにより、皮膚疾患の症状を和らげます。

 

 消風散(しょうふうさん)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。消風散であれば、次のような人が有効です。

 

 ・体力が中等度以上
 ・分泌物が多い(じゅくじゅくしている)
 ・かゆみが強い
 ・ときに局所の熱感がある

 

このように、比較的体力がある人の中でも、じゅくじゅくした湿疹に対して消風散が用いられます。漢方薬では体質を重視するため、たとえかゆみがあったとしても、カサカサしたかゆみや体力が虚弱な人に対して消風散を用いることはありません。

 

漢方で「風(ふう)」というのは、かゆみを引き起こす要因の象徴として考えられています。これは、かゆみが風のような速さで駆け抜けるからです。このような「風」によるかゆみを消散させることから、消風散という名称で呼ばれています。なお、漢方の古典である「外科正宗(げかせいそう)」に消風散が記載されています。

 

 消風散の作用
皮膚疾患を改善させる消風散には、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれています。これら生薬としては、以下の13種類が配合されています。

 

 ・地黄(じおう)
 ・石膏(せっこう)
 ・当帰(とうき)
 ・牛蒡子(ごぼうし)
 ・蒼朮(そうじゅつ)
 ・防風(ぼうふう)
 ・木通(もくつう)
 ・胡麻(ごま)
 ・知母(ちも)
 ・甘草(かんぞう)
 ・苦參(くじん)
 ・荊芥(けいがい)
 ・蝉退(せんたい)

 

生薬にはそれぞれ役割があり、石膏や知母は炎症を鎮める作用があります。防風や荊芥には皮膚疾患を和らげる働きがあり、蒼朮や木通はじゅくじゅくした湿疹を改善させます。これらを組み合わせることで、湿疹などの症状に対応するのです。

 

皮膚疾患で問題となる物質として、ヒスタミンが知られています。この物質が免疫細胞から放出されることにより、かゆみが引き起こされます。

 

ヒスタミンの働きを抑えると皮膚のかゆみは緩和されますが、消風散はヒスタミンの作用を抑える働き(抗ヒスタミン作用)が確認されています。さらに、消風散には浮腫を抑制するなどの抗アレルギー作用も認められています。

 

 消風散の使用方法
消風散を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。

 

投与を控えるべき人としては、「胃腸虚弱な人」「食欲不振、悪心、嘔吐のある人」「著しく体力の衰えている人」が挙げられます。これらの人に使用すると、症状の悪化を招く恐れがあります。

 

これら消風散としては、

 

 ・湿疹
 ・蕁麻疹(じんましん)
 ・水虫
 ・あせも
 ・アトピー性皮膚炎
 ・皮膚そう痒症

 

などの症状に有効です。分泌物が多く、かゆみの強い慢性の皮膚病に対して消風散が用いられます。湿潤して激しいかゆみを伴う場合、消風散が適応されます。

 

漢方薬であるため、消風散は皮膚疾患への体質改善にも用いられます。このような特徴により、分泌物の多いかゆみを伴う皮膚疾患に対して改善作用を示す漢方薬が消風散です。

 

スポンサードリンク



スポンサードリンク