四物湯の効能:月経不順(不妊症)、更年期障害、冷え性、貧血
月経不順や冷え性、更年期障害、産後・流産後の疲労など、女性特有のトラブルは多いです。これらは女性ホルモンのバランスが大きく関わっており、これが崩れることで症状が起こります。そこで、このような症状を改善するために投与される薬として四物湯(しもつとう)があります。
主に女性に対して四物湯が処方されます。生理不順や貧血、しもやけ、シミなどに用いられ、肌のツヤが悪い人に対して四物湯が適応されます。
四物湯(しもつとう)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。四物湯であれば、次のような人が有効です。
・皮膚が乾燥してカサカサしている
・肌のツヤが悪い
・胃腸障害がない
上記のような人の生理不順や冷え性などに四物湯が用いられます。乾燥して血流などが滞っている状態(血虚:けっきょ)であると、先に挙げた生理不順や冷え性が起こります。そこで、四物湯を投与することで血液の流れを改善させるのです。
なお、漢方の古典である「和剤局方(わざいきょくほう)」に四物湯が記載されています。中国の宋時代に国が関与する中で記された古典が和剤局方です。
四物湯の作用
不妊の原因にもなる月経不順などに対して改善作用を示す四物湯には、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれています。これら生薬としては、以下の4種類が配合されています。
・当帰(とうき)
・川芎(せんきゅう)
・芍薬(しゃくやく)
・地黄(じおう)
当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、地黄(じおう)には、血を補うことで血流を改善させる作用があります。これが、冷えや貧血の解消などに繋がります。この組み合わせに対して、さらに痛みを和らげる芍薬(しゃくやく)を配合させたものが四物湯です。
四物湯は4つの生薬で構成されており、これを「四物」と表現します。ここから、四物湯という名前が付けられました。
四物湯の使用方法
四物湯を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。
慎重に投与すべき対象としては、「著しく胃腸の虚弱な人」「食欲不振、悪心、嘔吐のある人」などがあります。このような人に投与すると、症状の悪化を招く恐れがあります。
これら四物湯としては、
・産後や流産後の疲労
・月経不順・月経異常(不妊症)
・更年期障害
・冷え性
・貧血
・しもやけ、シミ
・血の道症(ちのみちしょう)
などの症状に有効です。月経や妊娠、出産、更年期など、女性ならではの経験は多く存在します。このときは女性ホルモンのバランスが大きく変動するため、それに伴って精神的な不安やイライラを生じることがあります。このような精神症状や身体症状を「血の道症(ちのみちしょう)」といいます。四物湯では、血の道症に対しても使用されます。
また、血を補って水分を保持するため、肌の潤いを保たせる作用があります。そのため、しもやけやシミ、皮膚のカサカサにも四物湯は有効です。
このような特徴により、女性ホルモンが関わるトラブルに対して、血を補ったり血流を改善させたりして貧血や月経不順(不妊症)、冷え性、更年期障害などを解消させる漢方薬が四物湯です。
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