四君子湯の効能:胃腸虚弱、慢性胃炎、嘔吐・下痢
胃腸が弱くて顔色が悪かったり、体力が減少して元気がなかったりすることがあります。このような疲れやすい状態では、日々のやる気に大きく影響してしまいます。そこで、胃腸の働きを改善させて元気を取り戻すために使用される漢方薬として四君子湯(しくんしとう)が知られています。
四君子湯には、水分の停滞を改善するとともに、胃腸を元気にする働きがあります。これにより、慢性胃炎や胃のもたれ、嘔吐・下痢などの症状を改善します。
四君子湯(しくんしとう)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。四君子湯であれば、次のような人が有効です。
・痩せている
・顔色が悪い
・食欲がない
・疲れやすい
このように、虚弱体質の人(虚証の人)に対して四君子湯が活用されます。お腹がゴロゴロ鳴ったり、胃がチャポチャポしたりする場合は有効です。そのため、下痢へも効果を示します。
なお、漢方の古典である「和剤局方(わざいきょくほう)」に四君子湯が記されてあります。
香蘇散の作用
体力のない人に対して用いられる四君子湯には、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれています。これら生薬としては、以下の6種類が配合されています。
・蒼朮(そうじゅつ)
・人参(にんじん)
・茯苓(ぶくりょう)
・甘草(かんぞう)
・生姜(しょうきょう)
・大棗(たいそう)
生薬にはそれぞれ作用があり、蒼朮や人参には健胃・強壮作用があります。また、茯苓には余分な水分を体外に排泄する働きがあり、甘草は痛みや炎症を緩和する効果が知られています。このような作用を示す有効成分をいくつも配合させるのです。
四君子湯という名前ですが、4種類ではなく、6種類の生薬が配合されています。もともと四君子湯は「蒼朮、人参、茯苓、甘草」の4つで構成されていましたが、後で生姜と大棗が加わり、6種類の生薬になりました。
四君子湯の使用方法
四君子湯を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。
投与を避けるべき対象としては、「体力が充実している人(実証の人)」などがあります。漢方薬は体質を重視するため、合わない人に投与すると症状の悪化を招く恐れがあります。
これら四君子湯としては、
・胃腸虚弱
・慢性胃炎
・胃のもたれ
・嘔吐
・下痢
などの症状に有効です。同じように胃腸症状に用いる漢方薬としては、六君子湯が知られています。四君子湯は疲労感や食欲不振を有するときに使用されますが、さらに吐き気や腹部の張りを有するときに六君子湯が用いられます。
なお、薬の効果を調べる試験では、潰瘍に対する改善効果や吐き気を止める作用が確認されています。胃腸から生じる症状に対して、四君子湯は広く用いられます。
このような特徴により、体力のない人に対して投与することにより、気を補って元気を出させる補気薬が四君子湯です。胃腸が関わる疾患に対して、四君子湯は有効です。
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