炙甘草湯の効能:動悸、不整脈、息切れ、バセドウ病
動悸や不整脈、息切れ、バセドウ病など、病気によって体力がなくなっている方は多いです。そこで、これらの症状を和らげるために使用される漢方薬として炙甘草湯(しゃかんぞうとう)が知られています。
炙甘草湯には、貧血などによって顔色が悪かったり、体が虚弱だったりする状態を改善させる作用があります。これによって、動悸や息切れを改善します。
炙甘草湯(しゃかんぞうとう)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。炙甘草湯であれば、次のような人が有効です。
・体力が衰えている
・疲れやすい
・顔色が悪い
・皮膚が乾燥している
このように、体力が虚弱な人(虚証の人)に対して用いられる漢方薬が炙甘草湯です。疲労や口渇、便秘、皮膚の乾燥などを伴う動機や息切れでは、炙甘草湯が適応されます。
なお、漢方の古典である「傷寒論(しょうかんろん)」や「金匱要略(きんきようりゃく)」に炙甘草湯が記されてあります。両者はどちらも漢方の原点ともいえる古典です。
炙甘草湯の作用
動悸や息切れに用いられる炙甘草湯には、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれています。これら生薬としては、以下の9種類が配合されています。
・炙甘草(しゃかんぞう)
・人参(にんじん)
・桂皮(けいひ)
・阿膠(あきょう)
・麦門冬(ばくもんどう)
・麻子仁(ましにん)
・地黄(じおう)
・大棗(たいそう)
・生姜(しょうきょう)
生薬にはさまざまな効果があり、炙甘草や人参には滋養強壮作用があります。また、桂皮には発汗・発散作用があり、阿膠は貧血を改善させる効果があります。これらの働きを有する物質を組み合わせることで、病気を改善するのです。
炙甘草とは、生薬で多用される甘草(かんぞう)を炙(あぶ)った後に乾燥させたものを指します。炙甘草が主薬(主な構成成分)であるため、この生薬名を取って炙甘草湯と呼ばれています。
炙甘草湯の使用方法
炙甘草湯を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。
慎重に投与すべき対象としては、「著しく胃腸の虚弱な人」「食欲不振、悪心、嘔吐のある人」などがあります。このような人に投与すると、症状の悪化を招く恐れがあります。
これら炙甘草湯としては、
・心悸亢進、頻脈、動悸
・不整脈
・息切れ
・バセドウ病
などの症状に有効です。「気」や「血」が少なくなると、貧血や皮膚の乾燥が起こり、顔色が悪くて体力が減少してしまいます。そこで、体力を回復させたり貧血を改善させたりする漢方薬を使用するのです。
このような特徴により、体力が虚弱な人に対して用いられ、動悸や不整脈、息切れ、バセドウ病などに用いられる漢方薬が炙甘草湯です。
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