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柴胡桂枝乾姜湯の効能:更年期障害、自律神経失調症、不眠症

 

どうきや息切れ、不眠症など、神経が過敏になっていることでさまざまな症状を生じることがあります。このような神経過敏状態としては、更年期障害や自律神経失調症などが知られています。そこで、これらの症状を抑えるために使用される漢方薬として柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)が知られています。

 

柴胡桂枝乾姜湯には、炎症を鎮めたり心身の疲れを取り去ったりする働きがあります。これにより、神経過敏の状態を改善させるのです。

 

 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。柴胡桂枝乾姜湯であれば、次のような人が有効です。

 

 ・体力が弱い
 ・冷え症
 ・貧血気味
 ・動悸、息切れがある
 ・神経過敏

 

このように、虚弱体質で冷え性を有しているような、体力のない人に対して柴胡桂枝乾姜湯が使用されます。体力の充実している人に対して、柴胡桂枝乾姜湯は向きません。

 

漢方では、疲れも病気の一つであると考えます。このような疲れというのは、気が小さかったり体力が弱っていたりする人でみられやすいです。そこで、精神が弱っている状態を改善させるようにするのです。

 

なお、漢方の古典である「傷寒論(しょうかんろん)」や「金匱要略(きんきようりゃく)」に柴胡桂枝乾姜湯が記載されています。

 

 柴胡桂枝乾姜湯の作用
心と体の疲れを改善させる柴胡桂枝乾姜湯には、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれています。これら生薬としては、以下の7種類が配合されています。

 

 ・柴胡(さいこ)
 ・黄芩(おうごん)
 ・栝楼根(かろこん)
 ・桂皮(けいひ)
 ・牡蛎(ぼれい)
 ・乾姜(かんきょう)
 ・甘草(かんぞう)

 

生薬にはそれぞれ役割があり、柴胡と黄芩は炎症を鎮める作用が知られています。桂皮には熱や痛みを取り去る働きがあり、乾姜は体力を充実させます。また、牡蠣は気持ちを落ち着かせます。このように、さまざまな働きを有する物質を配合させるのです。

 

柴胡桂枝乾姜湯では、主薬(主となる構成成分)が「柴胡」「桂皮(桂枝)」「乾姜」です。そこで、この3つの生薬名を取って柴胡桂枝乾姜湯と呼ばれます。

 

 柴胡桂枝乾姜湯の使用方法
柴胡桂枝乾姜湯を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。

 

投与を避けるべき対象としては、「体力が充実している人」などがいます。漢方薬は体質を重視するため、合わなければ柴胡桂枝乾姜湯の使用によって症状の悪化を招く恐れがあるからです。

 

これら柴胡桂枝乾姜湯としては、

 

 ・更年期障害
 ・自律神経失調症
 ・不眠症、神経症
 ・動悸、息切れ
 ・血の道症

 

などの疾患に有効です。「血の道症」とは、妊娠・出産、更年期など、女性ホルモンのバランスが崩れることで精神不安やいらだちなどが表れる状態を指します。

 

なお、柴胡と黄芩を主薬とした漢方処方を柴胡剤といいます。柴胡桂枝乾姜湯は柴胡剤の一つであり、柴胡剤は主に心の疲れや更年期障害などに用いられます。これら柴胡剤の中でも、最も体力の弱い人に対して用いられる漢方処方が柴胡桂枝乾姜湯です。

 

このような特徴により、体力が弱っている方に対して使用することにより、更年期障害や自律神経失調症などによって起こる不眠、神経症などの症状を改善する漢方薬が柴胡桂枝乾姜湯です。

 

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