竜胆瀉肝湯の効能:排尿痛、残尿感、尿の濁り、子宮内膜炎
排尿痛や残尿感など、泌尿器系や生殖器系が関わる疾患が存在します。これらの臓器に炎症が起こると、尿の出が悪くなったり尿が濁ったりしてしまいます。そこで、泌尿器や生殖器が関わる疾患を改善するために用いられる薬として竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)が知られています。
竜胆瀉肝湯には、泌尿器や生殖器で生じている炎症を取り去る作用があります。これにより、尿が関わるトラブルを解消させます。
竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。竜胆瀉肝湯であれば、次のような人が有効です。
・比較的体力がある
・下腹部筋肉が緊張する
・冷えがない
このように、体力が充実しており(実証の人)、冷えのない人に用いられます。漢方薬は体質を重視するため、体力のない人に対して竜胆瀉肝湯は向きません。
上記のような体質を満たしたうえで、排尿痛や残尿感、尿の濁り、子宮内膜炎などの症状に活用されます。また、膀胱炎や尿道炎、膣炎、子宮内膜症などに用いられることもあります。なお、漢方の古典である「薛氏十六種(せっしじゅうろくしゅ)」に竜胆瀉肝湯が記されてあります。
竜胆瀉肝湯の作用
泌尿器や生殖器の異常に用いられる竜胆瀉肝湯には、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれています。これら生薬としては、以下の9種類が配合されています。
・竜胆(りゅうたん)
・黄芩(おうごん)
・山梔子(さんしし)
・木通(もくつう)
・車前子(しゃぜんし)
・沢瀉(たくしゃ)
・当帰(とうき)
・地黄(じおう)
・甘草(かんぞう)
生薬にはそれぞれ作用があり、竜胆や黄芩、山梔子には炎症を鎮める働きがあります。また、木通、車前子、沢瀉には利尿作用があり、これによって尿を出しやすくさせます。このような働きを有する物質を組み合わせ、薬として効果を発揮するのです。
主薬(主な構成成分)は竜胆であり、「肝経に生じた組織の熱(排尿困難による熱や炎症)を瀉(しゃ)する(不要な物ものを身体から取り去る)」という意味で竜胆瀉肝湯と呼ばれています。
竜胆瀉肝湯の使用方法
竜胆瀉肝湯を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。
慎重に投与すべき対象としては、「胃腸の虚弱な人」「食欲不振、悪心、嘔吐のある人」などがいます。漢方薬は体質を重視するため、合わない人に投与すると症状の悪化を招く恐れがあります。
これら竜胆瀉肝湯としては、
・膀胱炎
・尿道炎
・排尿痛、排尿困難
・残尿感、頻尿
・尿の濁り
・膣炎
・子宮内膜炎、子宮内膜症
・陰部のかゆみ
などの症状に有効です。泌尿器系や生殖器系が関わる疾患に対して、竜胆瀉肝湯が活用されます。また、陰部のかゆみに対して用いられることもあります。
このような特徴により、体力が充実して冷えがなく、炎症を有する人へ活用され、排尿痛や頻尿、排尿困難などを改善させる漢方薬が竜胆瀉肝湯です。
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