六味丸の効能:排尿困難、頻尿、むくみ、かゆみ・アトピー
腎臓の機能が弱くなると、排尿困難や頻尿、むくみ、かゆみなどの症状が表れます。中高年になると下半身の機能が衰えていき、これらの疾患を生じやすくなります。そこで、腎機能低下など下半身の衰えに対して用いられる漢方薬として六味丸(ろくみがん)が知られています。
六味丸には、下半身の機能を補う働きがあります。これにより、足腰の痛みやしびれ、腎機能低下による頻尿、性機能低下、かゆみ・湿疹・アトピー性皮膚炎などを改善させます。前立腺肥大や糖尿病へ活用されることもあります。
六味丸(ろくみがん)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。六味丸であれば、次のような人が有効です。
・体力は虚弱
・疲れやすい
・尿量減少または多尿がある
・ときに口渇がある
このように、体力が衰えている人(虚証の人)に六味丸が用いられます。疲れを感じる中高年に対して、六味丸が活用されやすいです。
漢方には腎気という言葉があり、これは腎臓、副腎、膀胱、そして生殖器を含めた臓器のことを指します。腎気が弱って虚ろになった状態が「腎虚」であり、腎虚を補うことで症状を改善させる漢方薬が六味丸です。
なお、漢方の古典である「小児薬証直訣(しょうにやくしょうちょっけつ)」に六味丸が記されてあります。
六味丸の作用
泌尿器や生殖器の改善に用いられる六味丸には、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれています。これら生薬としては、以下の6種類が配合されています。
・地黄(じおう)
・山茱萸(さんしゅゆ)
・山薬(さんやく)
・茯苓(ぶくりょう)
・沢瀉(たくしゃ)
・牡丹皮(ぼたんぴ)
生薬はそれぞれ作用があり、地黄は血液中の熱を取り去り、血を補って活力を出させる働きがあります。また、山茱萸と山薬には滋養強壮作用があり、茯苓と沢瀉は水分循環を改善させます。牡丹皮は血液障害を良くするなど、これらの働きをする物質を組み合わせるのです。
六味丸の元となった漢方薬として八味地黄丸があり、八味丸から「桂枝(けいし)」「附子(ぶし)」という2つの生薬を取り去ったものが六味丸です。
桂枝と附子には体を温める作用があるため、冷えのある人に用いられます。ただ、六味丸ではこの2種類の生薬が含まれていないため、冷えのない方でも用いることができます。つまり、体がのぼせたりほてったりする人に六味丸が活用されます。
六味丸の使用方法
六味丸を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。
慎重に投与すべき対象としては、「胃腸の虚弱な人」「食欲不振、悪心、嘔吐のある人」などがいます。漢方薬は体質を重視するため、合わない人に投与すると症状の悪化を招く恐れがあります。
これら六味丸としては、
・排尿困難
・頻尿
・性機能低下
・むくみ
・かゆみ、湿疹、アトピー性皮膚炎
・前立腺肥大
・足腰の痛み
などの症状に有効です。加齢によって泌尿器系や生殖器系が衰えた場合、六味丸の使用が検討されます。また、腎機能低下によって起こるむくみやかゆみ、アトピーにも有効です。足腰の痛みへも効果を示します。
このような特徴により、下半身の衰えによって症状が表れている中高年に使用され、腎臓や生殖器の機能を補う漢方薬が六味丸です。
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