六君子湯の効能:胃炎・胃痛、消化不良、食欲不振、嘔吐
胃炎や消化不良、食欲不振、嘔吐など、胃腸が関わる疾患は多くの人が経験する身近な病気です。これらの疾患が命に直接かかわることは稀であったとしても、気分の悪さから日常生活に悪影響を与えます。そこで、これら胃腸症状を改善するために使用する薬として六君子湯(りっくんしとう)があります。
六君子湯には、胃腸の働きを改善する作用が知られています。これにより、消化管が関わる働きを是正して症状の緩和を行います。
六君子湯(りっくんしとう)と体力
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。六君子湯であれば、次のような人が有効です。
・体力が中等度以下
・胃腸が弱い
・食欲がない
・みぞおちがつかえる
・疲れやすい
・貧血性で手足が冷えやすい
これらの様子の人に対して、六君子湯は有効です。
漢方薬は古くから使用されているため、経験的に用いられていることが多いです。ただ、六君子湯では臨床試験などが実施されており、確かな効果が確認されています。
なお、六君子湯は漢方の古典である「万病回春(まんびょうかいしゅん)」に記載されている漢方薬です。現在では、これを顆粒剤などにして用いられています。
六君子湯の作用
胃腸機能を改善させる六君子湯には、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれています。これら生薬としては、以下の8種類が配合されています。
・蒼朮(そうじゅつ)
・茯苓(ぶくりょう)
・人参(にんじん)
・半夏(はんげ)
・陳皮(ちんぴ)
・大棗(たいそう)
・生姜(しょうきょう)
・甘草(かんぞう)
これらを組み合わせることで、消化不良などの症状を軽減します。蒼朮(そうじゅつ)や茯苓(ぶくりょう)には水分を取り除く作用が知られており、人参(にんじん)には滋養強壮作用が知られています。このような作用を有する有効成分を配合させて、症状の改善を行うのです。
なお、茯苓・甘草・人参・蒼朮の4種類が主薬となっている漢方処方を四君子湯といいます。これに、陳皮・半夏の2種類の主薬を加えたことから、六君子湯と呼ばれています。
また、薬の効果を調べる試験では、胃内の排出改善作用、胃を弛緩させて胃断面領域を拡大させる作用などがヒトで確認されています。動物実験でも、消化管運動の改善や胃粘膜傷害への作用が知られています。
六君子湯の使用方法
六君子湯を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。
これら六君子湯としては、
・胃アトニー、胃下垂
・消化不良、食欲不振
・胃炎、胃痛、嘔吐
・上腹部不定愁訴
などの症状に有効です。不定愁訴とは、検査をしても異常は認められないが、「イライラする」「気分が悪い」などの症状を有することを指します。上腹部不定愁訴では、「胃の不快感が続く」「胃が弱い」など、上腹部で不定愁訴が起こっています。この症状に対して、六君子湯が使用されるのです。
このような特徴により、胃腸の機能低下によって生じる消化不良や食欲不振、胃痛などの症状に対して幅広く使用される漢方薬が六君子湯です。
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