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役に立つ薬の情報~専門薬学

精油、イソプレノイド

 

 精油とは
揮発性のある油状物質である。これが、脂肪油との違いで脂肪油は揮発性がない。

 

構成成分は簡単な芳香族化合物、または炭素が10個で構成しているC10のモノテルペン類、炭素が15個で構成しているC15のセスキテルペン類がある。芳香を発するものが多い→香料に使用する。

 

精油はセスキテルペンまででC20のジテルペン以上になると分子量が大きくなるため蒸発しにくくなるため精油でなくなる。

 

 テルペノイドとは
植物体内でメバロン酸経路により生合成され、イソプレン骨格が連なる炭素骨格をもつ化合物。

 

 

 

 ○芳香族化合物系精油
(1)フェニルプロパノイド
 ケイヒ油 Cassia oil : Cinnamaldehyde (シンナムアルデヒド)
 チョウジ油 Clove oil : Eugenol (オイゲノール)
 ウイキョウ油 Fennel oil : Anethol (アネソール)

 

(2)モノテルペン
 タイム油(チアミン油) Thyme oil : Thymol (チモール)

 

(3)その他
 トウリョク油 Wintergreen oil : Methyl salicylate (サリチル酸メチル)

 

 ○テルペノイド系精油
(1)モノテルペン
 ハッカ油 Mint oil : Menthol (メンソール)
              Carvone (カルボン)
 シソ油 Perilla oil : Perillaldehyde (ペリラアルドヒド)

 

(2)セスキテルペン
 ビャクダン油 Sandalwood oil : α-santalol (アルファ-サンタロール)
 カモミール油 Chamomile oil : Chamazulene (カマズレン)、α-bisabolol (α-ビサボロール)

 

 ○精油含有生薬
(1)フェニルプロパノイド系芳香族化合物が主精油成分の生薬
桂皮: クスノキ科 Cinnamaldehyde
丁子: フトモモ科 Eugenol
茴香: セリ科 Anethol
安息香(アンソッコウ): エゴノキ科 cinnamic acid、benzoic acidとconiferyl alcohol、cinnamyl
alcohol、phenylpropyl alcoholとのエステルなど

 

(2)テルペノイド系化合物が主精油成分の生薬
タイム: シソ科 Thymol
薄荷(ハッカ): シソ科 l-menthol
   漢方処方→加味逍遙酸 (かみしょうようさん) [更年期障害]
蘇葉(ソヨウ): シソ科 Perillaldehyde (ペリラアルドヒド)
   漢方処方→香蘇散 (こうそさん)、参蘇飲 (じんそいん) [かぜ、胃腸症状]
カノコソウ: オミナエン科 Borneol、α-kessyl alcohol
ショウズク: ショウガ科 α-Terpinyl acetate
縮砂(シュクシャ): ショウガ科 Borneol

 

(3)フタリド類が主精油成分の生薬
当帰(トウキ): セリ科 Butylidene phthalide、Ligustilide
   漢方処方→当帰芍薬酸 (とうきしゃくやくさん) [婦女病、認知症]
(センキュウ): セリ科 Butylidene phthalide、Ligustilide、Cnidilide
   漢方処方→葛根湯加辛夷 (かっこんとうかせんきゅうしんい) [副口腔炎]

 

 

 


イソプレノイド
イソプレンが連なって構成される化合物をイソプレノイドという。

 

このイソプレノイドを構成するためにはイソペンテニルピロリン酸(isopentenyl pyrophosphate:IPP)とジメチルアリルピロリン酸(dimethylallyl pyrophosphate:DMAPP)が必要である。
このIPPとDMAPPを合成するためにメバロン酸経路がある。

 

もちろん、IPPとDMAPPはイソプレン骨格である。

 

 

 

メバロン酸経路はアセチルCoAからメバロン酸を経由してIPPとDMAPPを合成する。しかし、IPPとDMAPPを合成する経路はメバロン酸経路だけでなくデオキシキシルロースリン酸経路もある。両方ともIPPとDMAPPを合成するのでこの経路を総称してイソプレノイド経路という。

 

 

 

IPPとDMAPPが合成された後、この2つが結合する。この結果、ゲラニルピロリン酸(geranyl pyrophosphate:GPP)が合成される。

 

このGPPが基盤となってテルペノイド(terpenoid)、ステロイド(steroid)、カロテノイド(carotenoid)が合成される。

 

 

GPPはC10なのでモノテルペンやイリドリドを合成できる。

 

GPPに1つのIPPが結合するとC15のゲラニルファルネシルピロリン酸(geranyl-farnesyl pyrophosphate;:GFPP)となり、これが変化してセスキテルペンとなる。また、FPPが2つ結合してC30のスクワレンができこれが変化してトリテルペンやステロイドとなる。

 

同様にしてC20のゲラニルゲラニルピロリン酸(geranyl-geranyl pyrophosphate: GGPP)が合成され、これからジテルペンが合成される。また、GGPPが2つ結合してC40のイソプレン鎖ができこれが変化してカロテノイドとなる。

 

 

 

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