人参養栄湯の効能:体力低下、疲労倦怠、食欲不振、貧血
体力低下や疲労倦怠、食欲不振など、時と場合によって元気がなくなってしまう状態に陥ることがあります。特に、病気や手術の後などの体力低下は顕著です。そこで、これら元気がなくなっている状態を改善するために使用される漢方薬として人参養栄湯(にんじんようえいとう)が知られています。
人参養栄湯には、気や血を補うことで体力の不調を正す働きがあります。これにより、体が弱っている状態を改善させようとします。寝汗(ねあせ)や手足の冷え、貧血にも人参養栄湯が使用され、元気を取り戻させる働きからがん治療に応用されることもあります。
人参養栄湯(にんじんようえいとう)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。人参養栄湯であれば、次のような人が有効です。
・体力が虚弱
・心身疲労がある
・冷えを有する
このように、総じて体力が低下している虚弱体質の人(虚証の人)に対して人参養栄湯が使用されます。体力と気力の2つを補うことで、元気を取り戻させるのです。
なお、漢方の古典である「和剤局方(わざいきょくほう)」に人参養栄湯が記されてあります。
人参養栄湯の作用
体力が弱っている状態の人へ投与される人参養栄湯には、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれています。これら生薬としては、以下の12種類が配合されています。
・人参(にんじん)
・黄耆(おうぎ)
・当帰(とうき)
・地黄(じおう)
・白朮(びゃくじゅつ)
・茯苓(ぶくりょう)
・芍薬(しゃくやく)
・桂皮(けいひ)
・陳皮(ちんぴ)
・遠志(おんじ)
・五味子(ごみし)
・甘草(かんぞう)
生薬はそれぞれ効果が異なり、人参や黄耆には滋養強壮作用があります。また、当帰と地黄は血行改善によって貧血症状を良くし、白朮や茯苓は水分の循環を正します。このような働きをする多くの物質を組み合わせることで、元気を回復させるのです。
主薬(主な構成成分)は人参であり、養栄(栄養状態や全身機能を回復させる作用)を有することから、人参養栄湯という名称で呼ばれています。
人参養栄湯の使用方法
人参養栄湯を投与するとき、成人では「1日9.0gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。
慎重に投与すべき対象としては、「胃腸の虚弱な人」「食欲不振、悪心、嘔吐のある人」などがいます。漢方薬は体質を重視するため、合わない人に投与すると症状の悪化を招く恐れがあります。
これら人参養栄湯としては、
・病後・術後などの体力低下
・疲労倦怠
・食欲不振
・寝汗(ねあせ)
・手足の冷え
・貧血
などの症状に有効です。漢方では、「気血水(きけっすい)」という言葉があります。これは、気力や血液、水分のことを指し、気血水の一部が増えても減っても病気になります。
その中でも、気が減ることによる心身疲労(気虚)や血流不足・貧血症状(血虚)の状態を改善させるのが人参養栄湯であるといえます。また、がん患者では体力も気力も衰えているため、この状態を正すために人参養栄湯を活用することがあります。
なお、薬の効果を調べる試験では、人参養栄湯を用いることで創傷治癒(傷の治り)を促進させたことが確認されています。
このような特徴により、体力や気力が弱っている人へ投与され、疲労倦怠や食欲不振、寝汗、冷え、貧血などの症状を改善する漢方薬が人参養栄湯です。
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