麻黄附子細辛湯の効能:風邪(感冒)、気管支炎、花粉症
風邪(感冒)や気管支炎、アレルギー性鼻炎(花粉症など)は誰でも経験したことのある病気です。これらを発症すると、悪寒や微熱、全身倦怠感などを生じるようになります。そこで、風邪や気管支炎などを発症したときに用いられる漢方薬として麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)があります。
麻黄附子細辛湯には、体を中から温めて冷えを解消させる働きがあります。これによって冷えを改善させ、発汗作用によって熱や痛みを発散させます。
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。麻黄附子細辛湯であれば、次のような人が有効です。
・体力は虚弱(虚証)
・冷え症で低体温(手足に冷えがある)
・悪寒、微熱、全身倦怠感、頭痛、めまいを有する
体を温める機能が弱い人では、体の中から冷えを生じます。このような、「中からの冷え」に対して麻黄附子細辛湯が使用されます。
似た名前の漢方薬に「麻黄湯(まおうとう)」があります。ただ、麻黄湯は「体力が充実している(実証)」「熱がある(熱証)」の人に用います。これにより、インフルエンザなどの症状を軽減するのが麻黄湯です。
そう考えると、「体力が虚弱(虚証)」「手足に冷えがある(寒証)」の人に投与される麻黄附子細辛湯と比べて、麻黄湯はまったく別物であることが分かります。名前が似ているからといって体力や症状を考えずに投与すると、副作用が強く表れてしまいます。
なお、漢方の古典である「傷寒論(しょうかんろん)」に麻黄附子細辛湯が記載されています。漢方の原点ともいえる古典が傷寒論です。
麻黄附子細辛湯の作用
風邪(感冒)や気管支炎に使用される麻黄附子細辛湯には、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれています。これら生薬としては、以下の10種類が配合されています。
・麻黄(まおう)
・附子(ぶし)
・細辛(さいしん)
麻黄(まおう)には発汗作用があり、病気の原因を発散させる作用があります。さらに、気管支を拡張させることで喘息症状を緩和します。また、附子(ぶし)や細辛(さいしん)には、体を温める働きがあります。冷えを和らげ、痛みを散らすのです。このような作用を有する生薬を配合させて、風邪などを軽減します。
薬の効果を調べる試験でも、抗炎症作用(炎症を抑える作用)や抗アレルギー作用などが動物実験で確認されています。なお、構成生薬が麻黄、附子、細辛であることから、これをそのまま活用して麻黄附子細辛湯と付けられました。
麻黄附子細辛湯の使用方法
麻黄附子細辛湯を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。
麻黄附子細辛湯では、カプセル製剤も発売されています。漢方薬は顆粒剤である場合がほとんですが、麻黄附子細辛湯の場合は服用しやすいカプセルも多用されます。
慎重に使用すべき対象としては、「体力の充実している人」「暑がりでのぼせが強く、赤ら顔の人」「著しく胃腸の虚弱な人」「食欲不振、悪心、嘔吐のある人」「発汗傾向の著しい人」などがあります。麻黄附子細辛湯の投与により、症状を悪化させる恐れがあるからです。
これら麻黄附子細辛湯としては、
・風邪(感冒)
・悪寒、微熱
・咳、のどの痛み、くしゃみ、鼻水
・全身倦怠感、頭痛、めまい
・手足の冷え
・気管支炎
・アレルギー性鼻炎(花粉症)
などの症状に有効です。このような特徴により、冷えのある人に対して利用され、風邪や気管支炎、花粉症などの症状を軽減する漢方薬が麻黄附子細辛湯です。
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