麻黄湯の効能:風邪、インフルエンザ、喘息
風邪やインフルエンザなど、季節の変わり目などでは感染症が問題になりやすいです。これらの病気は体がだるくなって発熱を伴うため、日々の生活が行いづらくなります。そこで、このような風邪やインフルエンザに対して使用される漢方薬に麻黄湯(まおうとう)があります。
麻黄湯はインフルエンザなどの感染症だけでなく、関節リウマチや喘息などにも使用されることがあります。麻黄湯には発汗させる作用があるため、これによって体内に溜まった熱や痛みを発散させるのです。
麻黄湯(まおうとう)と体力
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。麻黄湯であれば、次のような人が有効です。
・体力が充実
・寒気がして、発熱や頭痛がある
・体のふしぶしが痛い
・自然発汗がない
このような人に対して、麻黄湯が使用されます。体力のあるガッシリとした人に麻黄湯が有効であることから、虚弱体質の人に麻黄湯を使用することはありません。体質に合っていない方に麻黄湯を使用すると、効果が表れにくいだけでなく、副作用に悩まされるようになります。
麻黄湯を使用する際は、風邪やインフルエンザなどの初期に有効です。ゾクゾクした寒気があるものの、発熱や頭痛があって自然発汗がない場合は麻黄湯の適応となります。
なお、漢方の古典である「傷寒論(しょうかんろん)」に麻黄湯が記載されています。中国で後漢末期から三国志の時代に記された古典が傷寒論です。
麻黄湯の作用
汗を出させることで熱や痛みを鎮める麻黄湯には、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれています。これら生薬としては、以下の4種類が配合されています。
・麻黄(まおう)
・桂皮(けいひ)
・杏仁(きょうにん)
・甘草(かんぞう)
これらを組み合わせることで、熱や痛みに対応します。麻黄湯という名前から分かる通り、主薬となる生薬は麻黄(まおう)です。麻黄(まおう)や桂皮(けいひ)には、発汗作用があります。また、麻黄には気管支を拡張させる有効成分の「エフェドリン」が含まれており、これが咳症状に作用します。
薬の作用を調べる試験でも、抗炎症作用や発熱に対する作用、ウイルスの増殖抑制作用が動物実験などで確認されています。
麻黄湯の使用方法
麻黄湯を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。
慎重に投与すべき対象としては、「虚弱体質の人」「胃腸の虚弱な人」「食欲不振、悪心、嘔吐のある人」「汗をかいている人」などがあります。これらの人に投与すると、症状の悪化を招く恐れがあるからです。
これら麻黄湯としては、
・かぜやインフルエンザの初期
・悪寒、発熱、頭痛、腰痛、手足の関節痛、咳
・気管支炎、喘息
・関節リウマチ
・乳児の鼻づまり、鼻づまりによる哺乳困難
などの症状に有効です。風邪やインフルエンザ、関節リウマチなどは炎症を伴う熱性疾患です。このような熱性疾患の初期に麻黄湯が有効です。麻黄湯の使用基準には、悪寒や発熱などを有することの他に「発汗がないこと」が重要視されます。
このような特徴により、体を温めて発汗させ、咳を鎮めることで風邪やインフルエンザの初期、喘息などに効果を示す漢方薬が麻黄湯です。
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