桔梗湯の効能:のどの腫れ・痛み、扁桃炎、扁桃周囲炎
のどが腫れて痛む状態は、多くの人が経験したことのある症状の一つです。世間で言われている「のどの腫れや痛み」というのは、扁桃炎や扁桃周囲炎であることが多いです。そこで、これら扁桃炎や扁桃周囲炎に使用される漢方薬として桔梗湯(ききょうとう)が知られています。
扁桃はのどの入り口あたりに存在し、ここに炎症が起こると扁桃炎と呼ばれます。桔梗湯は扁桃やその周辺で起こっている「のどの腫れや痛み」を和らげます。
桔梗湯(ききょうとう)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。桔梗湯であれば、次のような人が有効です。
・のどが腫れて痛む
・ときに咳が出る
・体力に関わらず使用可能
多くの漢方薬は虚弱体質(虚証)や体力旺盛(実証)など、投与対象の体力を見極める必要があります。ただ、桔梗湯の場合は体力に関係なく投与でき、のどの腫れや痛みなどの「様子」を指標として用います。
なお、漢方の古典である「傷寒論(しょうかんろん)」や「金匱要略(きんきようりゃく)」に桔梗湯が記載されています。いずれも、漢方の原点ともいえる古典です。
桔梗湯の作用
のどの症状に対応する桔梗湯には、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれています。これら生薬としては、以下の2種類が配合されています。
・桔梗(ききょう)
・甘草(かんぞう)
桔梗(ききょう)には、痰や化膿状態を取り去り、肺や気管支の熱を和らげる作用が知られています。また、甘草(かんぞう)には炎症や痛みを鎮める働きがあります。
この2つの生薬を組み合わせることで、扁桃炎による症状を鎮めます。単独で用いても効果は薄いですが、2つが互いに働くことで十分な作用を得ることができます。なお、主薬となる生薬が桔梗(ききょう)であるため、この名前を取って桔梗湯と呼ばれています。
桔梗湯の使用方法
桔梗湯を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。
桔梗湯に含まれている甘草(かんぞう)は、取り過ぎると副作用が問題になります。例えば、血圧が高くなったり浮腫を生じたりする「偽アルドステロン症」や手足の脱力感を生じる「ミオパシー(低カリウム血症)」などを発症することがあります。
用法用量を守って、桔梗湯を単剤で服用している場合は問題ありません。ただ、甘草は他の漢方薬にも含まれることが多いため、他の漢方薬を使用していると、甘草を大量摂取していることがあります。
そのため、投与を避けるべき対象としては、「アルドステロン症のある人(偽アルドステロン症を含む)」や「ミオパシー(低カリウム血症)のある人」などがあります。このような人に桔梗湯を投与すると、症状の悪化を招く恐れがあります。
これら桔梗湯としては、
・のどの痛みや腫れ
・扁桃炎
・扁桃周囲炎
などの症状に有効です。このような特徴により、のどやその周辺で炎症が起こっている症状に対して広く使用される漢方薬が桔梗湯です。
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