漢方薬の考え方:虚実、気血水
西洋薬と漢方薬ではその特徴が大きく異なります。そして、このような中でも漢方薬の処方が特に適している人がいます。
このような漢方薬に適している人に関して紹介していきます。
高齢者への漢方薬
高齢者の特徴としては排尿困難や心機能の衰えなど「生理機能の低下」が起こっています。また、糖尿病や高血圧など多くの病気を抱えている可能性が高いです。
これらの病気による症状を抑えるために薬を使用します。ただし、西洋薬は一つの成分だけを有しているので、一つの症状を抑えるだけとなります。そのため、多くの病気を有しているとその分だけ服用する薬の種類も多くなります。
また、高齢者になるほど個人差が大きくなることも特徴となります。同じ種類の西洋薬でも服用する人によって効果の度合いや副作用の出方が大きく異なってしまいます。
病気の症状を抑えるように働く西洋薬に対して、漢方薬では患者さん自身の自然治癒力を高めるように作用します。そのため、「もともと生理機能が低下している高齢者に対して漢方薬が適している」と言う事ができます。
また、漢方薬は一剤で多くの病気を治療する効果があります。漢方薬では一度にたくさんの薬を併用することは通常ないため、西洋薬のように多くの薬を服用することも回避できます。
ただし、生理機能が低下している高齢者では肝臓や腎臓での代謝・排泄機能が弱くなっています。そのため、成人と同じ量の漢方薬を投与すると薬の成分が体の中に蓄積し、副作用が強く出てしまうこともあります。
女性への漢方薬
女性の特徴として、ホルモンに関する病気が多いことにあります。女性ホルモンのバランスやライフサイクルの変化によって女性特有の病気が起こります。
このような体調不良としては月経不順や貧血、更年期障害、子宮内膜症などがあります。これらの症状は検査や数値で測定することが難しく、患者さんの体質を重視する漢方薬が得意とする分野になります。
漢方薬ではこれら性差まで含めて体質を考慮し、ホルモンバランスを整える働きがあります。そのため、女性に対しても漢方薬が適していると考えることができます。
実際、漢方薬を服用している人の約7割が女性です。
・小児への漢方処方
漢方薬は副作用が比較的少なく、小児に対しても服用させることができます。しかし、当然ながら小児への服用量は大人よりも少なくなります。
この時の用法用量の目安としては以下のようになります。
年齢 |
用量 |
15歳未満7歳以上 |
成人量の2/3 |
7歳未満4歳以上 |
成人量の1/2 |
4歳未満2歳以上 |
成人量の1/3 |
2歳未満 |
成人量の1/4以下 |
このように、小児に対して漢方薬を処方する場合は服用量を調節する必要があります。また、高齢者で生理機能が低下している人も同様に用量調節を行う必要があります。
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