葛根湯の効能:風邪、肩こり、じんましん
漢方薬の中で最も有名な商品に葛根湯(かっこんとう)があります。風邪には葛根湯といわれるほど、風邪症状に葛根湯が多用されます。
ただ、あらゆる風邪に葛根湯が効くわけではありません。その人の体調を見極めなければ、葛根湯を服用しても適切な効果を得ることはできません。また、風邪症状以外にも葛根湯を使用することがあります。肩こりなど、葛根湯は多くの場面で活躍するのです。
葛根湯(かっこんとう)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。葛根湯であれば、次のような人が有効です。
・比較的体力のある人
・自然発汗がない
・風邪の初期
・悪寒がある
・肩こりがある
同じ風邪症状であっても、人によっては上記の症状に当てはまらないことがあります。そのような場合、葛根湯は適していません。その場合は、他の漢方薬を使用した方が望ましいです。漢方薬には、それぞれ服用するために適した症状というものが存在するのです。
例えば、「比較的体力のある人(実証)」から分かる通り、葛根湯は体力のない人には向きません。また、胃腸の弱い人や発汗の多い風邪についても葛根湯は適しません。
葛根湯の作用
葛根湯には発汗作用があります。これによって、熱や痛みなどの症状を和らげます。葛根湯には「生薬(しょうやく)」と呼ばれる、以下の7種類の天然由来の成分が含まれています。
・葛根(かっこん)
・麻黄(まおう)
・桂皮(けいひ)
・芍薬(しゃくやく)
・甘草(かんぞう)
・大棗(たいそう)
・生姜(しょうきょう)
これらを組み合わせることにより、風邪症状に使用するのが葛根湯です。生薬のうち、葛根(かっこん)を主な成分としているので葛根湯と呼ばれています。
なお、葛根湯は風邪以外にも肩こりやじんましんに対して使用されることがあります。葛根湯では、薬の効果を調べる試験(動物実験など)で抗アレルギー作用や抗インフルエンザ作用も確認されています。漢方薬には、一つの薬が複数の病気を改善させる作用が知られているため、必ずしも風邪だけに葛根湯が使用されるわけではありません。
葛根湯の使用方法
葛根湯を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。
葛根湯の慎重に使用すべき対象としては、「衰弱状態・体力の衰えている人」「胃腸虚弱の人」「食欲不振、悪心・嘔吐のある人」「発汗傾向のある人」などがあります。葛根湯の服用により、先に挙げた症状の悪化を招く恐れがあるからです。
また、ほとんど副作用はないものの、葛根湯に含まれている「甘草」という生薬を大量に摂取すると、偽アルドステロン症と呼ばれる症状を引き起こすことがあります。偽アルドステロン症では、血圧が高くなったり浮腫を生じたりしてしまいます。
なお、これら葛根湯としては、
・かぜの引き始め:悪寒、発熱、頭痛
・肩こり
・頭、首、肩、胸部などの痛み・炎症
・蕁麻疹:かゆみ、はれ、赤み
などの症状に有効です。このような特徴により、風邪だけでなく肩こりやじんましんなど、幅広い症状に対して使用される漢方薬が葛根湯です。
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