半夏厚朴湯の効能:うつ病、パニック、不眠症、つわり
神経系の障害によって「気分がふさぐ」「めまい」「吐き気」などの症状を生じることがあります。これら神経障害には、うつ症状やパニック、不眠症なども含まれます。そこで、このような精神不安定状態に対して使用される漢方薬として半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)があります。
他にも、つわりや咳、しわがれ声などにも半夏厚朴湯は有効です。心身が疲れやすい人に対して半夏厚朴湯が処方されます。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。半夏厚朴湯であれば、次のような人が有効です。
・体力が中等度
・気分がふさいでいる
・咽喉・食道部に異物感がある
・ときに動悸、めまい、吐き気などを伴う
心身が疲労すると、精神状態が不安定になります。いわゆる、ヒステリーやうつ病などもこれら精神状態の異常から表れる傾向があります。そこで、このような症状に対して半夏厚朴湯を活用するのです。
漢方の古典として「金匱要略(きんきようりゃく)」が知られています。金匱要略は漢方医学の原点をなす最古の古典ですが、ここに半夏厚朴湯が記載されています。
半夏厚朴湯の作用
精神状態を穏やかにする半夏厚朴湯には、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれています。これら生薬としては、以下の5種類が配合されています。
・半夏(はんげ)
・厚朴(こうぼく)
・茯苓(ぶくりょう)
・蘇葉(そよう)
・生姜(しょうきょう)
これらを組み合わせることで、心身の疲れに対して働きかけます。半夏(はんげ)と厚朴(こうぼく)にはノドのつかえを抑える働きがあり、咳を鎮めて気分を落ち着かせる作用があります。この生薬に対して、さらに他の有効成分を加えることで複合的に精神症状へ対処するのです。
半夏厚朴湯に含まれている5種類の生薬のうち、主な働きをするのは半夏(はんげ)と厚朴(こうぼく)です。そこで、この2つの生薬の名前を繋げて半夏厚朴湯と呼ばれています。
なお、薬の効果を調べる試験では、抗不安作用(パニックなど、不安症状を軽減する作用)が動物実験などで確認されています。
半夏厚朴湯の使用方法
半夏厚朴湯を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。
慎重に使用すべき対象としては、「熱症状のある人」がいます。半夏厚朴湯に含まれている生薬には、体を温める作用があるからです。そのため、主に冷えのある人に有効です。
これら半夏厚朴湯としては、
・喉の奥が詰まっているような感覚
・気分が落ち込む(うつ病)
・不眠症、ヒステリー、神経症(ノイローゼなど)
・つわり、咳、しわがれ声
・動悸、めまい、吐き気
・神経性食道狭窄、胃弱
・つわり
などの症状に有効です。
大きなストレスを感じると、多くの人は気分が停滞するようになります。その結果、消化機能が弱ってきて、喉の奥が詰まったような感覚を覚えることがあります。このような場合に半夏厚朴湯が特に有効です。神経が繊細な人であるほど、これらの症状に陥りやすいので半夏厚朴湯が処方されやすいです。
このような特徴により、心身の疲れによって生じる諸症状(うつ病、パニック、不眠症、つわりなど)を取り除くことを期待して投与される漢方薬が半夏厚朴湯です。
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