排膿散及湯の効能:化膿症、にきび、副鼻腔炎(蓄膿症)
膿が関わる疾患は数多く存在します。例えば、皮膚に膿が溜まったものとして、にきびが知られています。副鼻腔炎などによって、副鼻腔に膿が溜まる蓄膿症などもあります。そこで、これらの疾患を緩和するために使用される漢方薬として排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)が知られています。
排膿散及湯には、炎症を鎮めたり膿を排出したりする作用があります。これにより、化膿症や皮膚疾患による症状(おでき、できものなど)を治療していきます。
排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。排膿散及湯であれば、次のような人が有効です。
・患部が発赤、腫脹している
・疼痛(痛み)を伴う化膿がある
このように、疾患部位が赤く腫れており、痛みを伴う場合に排膿散及湯が用いられます。皮膚や粘膜に膿が溜まった状態に対して、幅広く活用されます。
なお、排膿散及湯は江戸時代の医師である吉益東洞(よします とうどう)により、臨床経験から創出された薬です。
排膿散及湯の作用
皮膚や粘膜に生じた膿を排出する排膿散及湯には、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれています。これら生薬としては、以下の6種類が配合されています。
・桔梗(ききょう)
・枳実(きじつ)
・芍薬(しゃくやく)
・甘草(かんぞう)
・大棗(たいそう)
・生姜(しょうきょう)
生薬はそれぞれ効果が異なり、桔梗には膿を出す作用があります。また、枳実や芍薬、甘草などは炎症を取り去る働きが知られています。大棗は強壮・利尿作用があり、生姜は発汗・発散作用を有するなど、これらの働きを有する物質を組み合わせるのです。
排膿散及湯は、漢方の古典である金匱要略(きんきようりゃく)に記された「排膿散」と「排膿湯」を合わせた処方です。そこから、排膿散及湯と呼ばれています。
排膿散及湯の使用方法
排膿散及湯を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。
これら排膿散及湯としては、
・化膿症
・瘍(よう:できもの)
・せつ(おでき)
・面疔(めんちょう:顔のできもの)
・にきび
・副鼻腔炎(蓄膿症)
・歯肉炎、歯槽膿漏
などの症状に有効です。皮膚の粘膜に「できもの」を生じると、赤く腫れて痛みを伴います。このような皮膚疾患では、排膿散及湯がよく効く症状であるといえます。その他、膿が関わるにきびや副鼻腔炎(蓄膿症)などへも活用されます。
また、歯肉炎や歯槽膿漏も炎症や膿が関わる疾患の一つです。そこで、これら歯科領域の症状を改善させるために排膿散及湯を活用することもあります。
このような特徴により、発赤・腫脹した部位を生じてしまった場合など、化膿を伴う皮膚や粘膜の疾患を改善させる漢方薬が排膿散及湯です。
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