八味地黄丸の効能:頻尿、排尿困難、足腰の痛み
年を取ってくると、尿のキレが悪くなったり倦怠感を生じたりするようになります。こうした「年齢に伴う症状」に対して使用される薬として、八味地黄丸(はちみじおうがん)があります。
体力の衰えた方に対して、八味地黄丸は有効です。特に、泌尿器系など下半身の症状に八味地黄丸が使用されます。
八味地黄丸(はちみじおうがん)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。八味地黄丸であれば、次のような人が有効です。
・疲労、倦怠感が著しい
・尿量減少または頻尿がある
・口が渇く
・手足に対し、熱感と冷感を相互に感じる
高齢によって生じる、上記のような虚弱体質(虚証)の人に対して八味地黄丸は有効です。そのため、体力が旺盛でのぼせがある人(実証)の場合は八味地黄丸は不向きです。腎臓が弱った人に用いるため、漢方では「腎虚(じんきょ)の人に使用する」と表現されます。
八味地黄丸は、漢時代に書かれた「金匱要略(きんきようりゃく)」に載っている漢方処方であり、現在でも高齢患者に多用される薬です。
八味地黄丸の作用
下半身の衰えに作用する八味地黄丸の働きは、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分によって起こります。八味地黄丸には、以下の8種類の生薬が含まれています。
・地黄(じおう)
・山茱萸(さんしゅゆ)
・山薬(さんやく)
・茯苓(ぶくりょう)
・沢瀉(たくしゃ)
・牡丹皮(ぼたんぴ)
・桂皮(けいひ)
・附子(ぶし)
これらを組み合わせることにより、加齢による症状に対して使用するのが八味地黄丸です。生薬のうち、地黄(じおう)を主な成分として、8種類の生薬を含んでいるので八味地黄丸と呼ばれています。
薬の効果を調べる試験では、八味地黄丸は腎臓に対する作用の他にも、糖尿病や循環器、骨代謝への効果も動物実験などで確認されています。
八味地黄丸の使用方法
八味地黄丸を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。
慎重に使用すべき対象としては、「体力の充実している人」「暑がりで、のぼせが強い赤ら顔の人」「著しく胃腸の虚弱な人」「食欲不振、悪心、嘔吐のある人」があります。これは、薬の効果が強く出過ぎて副作用が表れたり、症状の悪化を招く恐れがあるからです。
なお、これら八味地黄丸としては、
・老化による全身の機能低下
・頻尿(トイレが近い)、排尿困難(尿のキレが悪い)
・腰や足の痛み・しびれ
・上記の症状を伴う糖尿病、高血圧、前立腺肥大
などの症状に有効です。単に下半身に対する作用だけでなく、八味地黄丸は糖尿病などの生活習慣病に対する効果も有しています。
このような特徴により、中高年による泌尿器・生殖器・腎臓などの機能低下による諸症状や生活習慣病に有効な漢方薬が八味地黄丸です。
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