呉茱萸湯の効能:片頭痛、悪心・嘔吐、肩こり
心臓の拍動に伴って激しい頭痛を生じる疾患を片頭痛といいます。片頭痛による痛みは強烈であり、これによって吐き気を催すほどです。そこで、片頭痛を治療するために用いられる漢方薬として呉茱萸湯(ごしゅゆとう)が知られています。
呉茱萸湯には、手足の冷えや肩こり、頭痛を改善させる作用があります。これにより、周期的に起こる反復性の片頭痛を抑制します。
呉茱萸湯(ごしゅゆとう)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。呉茱萸湯であれば、次のような人が有効です。
・手足が冷えやすい
・体力は中等度以下
・周期的に頭痛を生じる
頭痛の多くは片頭痛によるものであり、生活が困難になるほどの痛みが起こります。また、頭や体を動かすと痛みが増大するという特徴があります。このような頭痛の発作は寒冷の環境で起こりやすいです。そこで、呉茱萸湯は体を温めることで頭痛や嘔吐を軽減します。
手足の冷えや肩こりに対しても、呉茱萸湯は有効です。なお、漢方の古典である「傷寒論(しょうかんろん)」や「金匱要略(きんきようりゃく)」に呉茱萸湯が記載されています。
呉茱萸湯の作用
片頭痛に対して用いられる呉茱萸湯には、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれています。これら生薬としては、以下の4種類が配合されています。
・呉茱萸(ごしゅゆ)
・大棗(たいそう)
・人參(にんじん)
・生姜(しょうきょう)
主薬(主な構成成分)である呉茱萸には、頭痛や肩こり、嘔吐などを抑える働きがあります。ここに、他の3つの生薬を加えたものが呉茱萸湯です。主薬の名前を取り、呉茱萸湯と名付けられています。
片頭痛の治療を行う場合、トリプタン製剤やNSAIDsと呼ばれる種類の薬が頻用されます。ただ、これらは西洋薬です。そこで、漢方薬として片頭痛の治療を行う薬が呉茱萸湯です。呉茱萸湯は単独でも用いられますが、多くはトリプタン製剤やNSAIDsと一緒に活用されます。
呉茱萸湯の作用が表れている場合、トリプタン製剤やNSAIDsの服用回数を減らすなどの効果を期待できます。頭痛で西洋薬を何度も用いると頭痛の悪化(薬剤性頭痛)を招く恐れがあるため、そういう意味では漢方薬によって「西洋薬の服用回数を減らす」ことは大きな意味があります。
呉茱萸湯の使用方法
呉茱萸湯を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。
これら呉茱萸湯としては、
・習慣性の片頭痛
・悪心、嘔吐
・脚気衝心
などの症状に有効です。片頭痛に用いられる漢方薬としては、五苓散(ごれいさん)と呉茱萸湯(ごしゅゆとう)が主です。西洋薬以外の選択肢として、これらの漢方薬を選択することもできます。
このような特徴により、手足に冷えを生じている体力中等度以下に人に対して用いられ、片頭痛や嘔吐、肩こりなどを改善させる漢方薬が呉茱萸湯です。
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