防已黄耆湯の効能:肥満症、多汗症、浮腫(むくみ)、関節痛
水分が体内に溜まっているような水太り体質の人では、足のむくみや疲れ、多汗症(汗をかきやすい)などの症状が表れるようになります。水分で足がむくんだり、汗として水分が外へ出るようになったりするのです。そこで、これらの症状を改善するために使用される漢方薬として防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)があります。
防已黄耆湯には、水分代謝を活発にする働きがあります。これにより、体内に水が溜まることによる疲れや痛みなどの諸症状を取り除きます。
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。防已黄耆湯であれば、次のような人が有効です。
・色白で筋肉が軟らかい
・水太り体質
・汗が多くて尿量が少ない
・下肢に浮腫(むくみ)がある
・膝関節の腫れによる痛みがある
上記に挙げた内容は、いずれも体に水分が貯留していることによって生じる症状です。水が多いと下半身にむくみを生じるようになりますし、膝関節に水が溜まると痛みを引き起こすようになります。また、余分な水分は汗として出てきます。
このような状態を改善するのが防已黄耆湯です。そのため、水太り体質(肥満症)を解消させるため、ダイエットを目的として防已黄耆湯を使用する人もいます。
なお、漢方の古典である「金匱要略(きんきようりゃく)」に防已黄耆湯が記載されています。金匱要略は漢方の原点ともいえる古典です。
防已黄耆湯の作用
体内に水が溜まっている状態を改善させる防已黄耆湯には、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれています。これら生薬としては、以下の6種類が配合されています。
・防已(ぼうい)
・黄耆(おうぎ)
・蒼朮(そうじゅつ)
・生姜(しょうきょう)
・大棗(たいそう)
・甘草(かんぞう)
防已(ぼうい)は、炎症や痛みを緩和し、体内で停滞している水分を取り去る作用が知られています。また、黄耆(おうぎ)には滋養強壮作用があり、汗を止める働きがあります。このように多彩な作用を示す生薬を組み合わせることで、水分貯留を改善させます。
体内の水分が問題になる疾患は数多く存在します。そのため、単なるダイエットやむくみの改善だけでなく、腎炎やネフローゼ、関節炎、月経不順などにも防已黄耆湯が使用されます。
防已黄耆湯の使用方法
防已黄耆湯を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。
これら防已黄耆湯としては、
・肥満症(水ぶとり体質)
・肥満に伴う関節の腫れや痛み
・多汗症(汗が多い)
・浮腫(むくみ)、腫れ
・腎炎、ネフローゼ
・関節炎
・月経不順
などの症状に有効です。筋肉に締まりのない人に有効な漢方薬が防已黄耆湯であるため、「汗がたくさん出る」「足にむくみがある」からといって、スポーツをしている筋肉質の人が防已黄耆湯を服用してもあまり意味はありません。体質に合わないため、副作用の方が問題になります。
また、防已黄耆湯をダイエット目的で使用するにしても、薬を服用するだけでは効果がありません。食事内容を見直したり運動をしたりすることで、ようやく意味のあるものになります。
このような特徴により、体内に水分が溜まっている水太り体質の人に使用することで、水分貯留によって生じる多汗症や浮腫、関節炎などの症状を改善させる漢方薬が防已黄耆湯です。
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