防風通聖散の効能:肥満症(ダイエット)、高血圧、むくみ、便秘
肥満症に悩む人は多いです。また、肥満に伴ってむくみや便秘などの症状を生じることもあります。つまり、肥満症は単に体重が増えるだけではなく、さまざまな病気を誘発する要因となるのです。そこで、これら肥満症などに使用される漢方薬として防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)があります。
太りやすい人では、肥満体質が問題になりやすいです。肥満によって高血圧や糖尿病などの生活習慣病を引き起こしやすくなります。このような肥満体質の改善にも防風通聖散は有効です。そのため、ダイエット目的で使用されることのある漢方薬です。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。防風通聖散であれば、次のような人が有効です。
・体力が充実
・腹部に皮下脂肪が多い(肥満症)
・便秘がち
太ってお腹が出ているような人に防風通聖散が使用されます。また、暑がりでのぼせがあり、体内の水分が停滞している人に適しています。そのため、体力が弱っている虚弱体質の人や痩せ型の人にとって、防風通聖散は合いません。適した人に使用することで、漢方薬は効果を発揮するのです。
なお、漢方の古典である「宣明論(せんめいろん)」に防風通聖散が記載されています。宣明論は中国で1172年に書き記された古典です。
防風通聖散の作用
肥満症を改善する防風通聖散には、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれています。これら生薬としては、以下の18種類が配合されています。
・防風(ぼうふう)
・黄芩(おうごん)
・大黄(だいおう)
・芒硝(ぼうしょう)
・麻黄(まおう)
・石膏(せっこう)
・白朮(びゃくじゅつ)
・荊芥(けいがい)
・連翹(れんぎょう)
・桔梗(ききょう)
・山梔子(さんしし)
・芍薬(しゃくやく)
・当帰(とうき)
・川芎(せんきゅう)
・薄荷(はっか)
・滑石(かっせき)
・生姜(しょうきょう)
・甘草(かんぞう)
これらを組み合わせることで、肥満症を改善します。生薬である防風(ぼうふう)には、病気の原因である邪気を発散させる作用があるとされています。この防風を主薬とした漢方薬が防風通聖散です。通聖とは、「聖人による」という意味があります。つまり、それだけ防風通聖散の価値が高いといえます。
薬の効果を調べる試験では、肥満に対する作用が動物実験などで確認されています。また、肥満症による症状だけでなく、防風通聖散は高血圧による諸症状(どうき、肩こり、のぼせなど)にも効果を示します。
防風通聖散の使用方法
防風通聖散を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。
慎重に使用すべき対象としては、「下痢、軟便のある人」「胃腸の虚弱な人」「食欲不振、悪心、嘔吐のある人」「体力の衰えている人」「発汗傾向の著しい人」などがいます。これらの人に防風通聖散を使用すると、症状の悪化や副作用の問題を生じる恐れがあります。
これら防風通聖散としては、
・肥満傾向がある人のむくみや便秘
・高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせなど)
・肥満症、肥満体質
などの症状に有効です。肥満症に用いられることから、ダイエット目的で防風通聖散を使用する方は多いです。ただ、漢方薬は体質の改善に作用するのであり、何も努力せずに痩せられるのとは意味が違います。
食事内容を見直して運動を取り入れるなど、生活習慣を改善させた上で防風通聖散を使用する場合はダイエットに有効なこともあります。ただ、薬に頼るだけで努力をしない場合は、防風通聖散を服用してもあまり意味がありません。
また、防風通聖散はお腹の出ている体力が充実した人に有効です。そのため、既に痩せている女性がダイエット目的で防風通聖散を服用しても、副作用だけが表れて効果を得られない可能性が高いです。漢方薬である以上は、投与対象の様子や体格などを見極める必要があります。
このような特徴により、肥満体質を改善させてむくみや便秘を緩和し、高血圧などによるどうきや肩こりなどの症状を和らげる漢方薬が防風通聖散です。
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