遺伝子:DNAと染色体
DNAは核内に存在している。真核生物の場合DNAは直鎖状であるが、細菌ではDNAが環状である。
セントラルドグマ
生体はDNAの情報を読みとることで、タンパク質の合成に必要な情報を読み取る。このとき、タンパク質合成の流れとしては次のようになっている。
DNA → mRNA → タンパク質
ここで、「なぜRNAが必要なのか」と思う人がいると思います。例えば、あなたが料理をするときにはレシピが必要になります。そのレシピを図書館で調べるときに本が持ち出し禁止だとすると、本に書いてある内容を紙に写さないといけません。この紙を家に持ち帰ります。これによって初めて料理が可能となります。
この場合では情報が載っている本がDNA、情報を写す紙がRNA、紙に書かれた情報(RNA)によって作られる料理がタンパク質である。このDNAからRNA、RNAからタンパク質が合成される流れをセントラルドグマと呼ぶ。
DNAから染色体の構築
DNAは二重らせん構造をとっている。このDNAはヒストン八量体に1.75回巻きつくことで、ヌクレオソーム構造をとっている。
ヒストンとは「よく似た塩基性タンパク質の総称」である。ヒストン自体にDNAを巻きつけることで、コンパクトに収める役割を果たしている。つまり、真核生物のDNAは高度に圧縮されている。
ヒストンタンパク質にはH1、H2A、H2B、H3、H4の5種類が知られている。
ヌクレオソームの芯(ヒストン八量体)は4種類のヒストンタンパク質であるH2A、H2B、H3、H4から構成されている。
この4種類のヒストンのうち、H3とH4はそれぞれ2個ずつ含んでいるヒストン四量体 (H3/H4)2 を形成し、H2AはH2B一個ずつ含むヒストン二量体 (H2A-H2B) や (H2A-H2B)n の多量体を形成する。
ヒストン八量体はH3とH4を含んでいる1つのヒストン四量体と、H2AはH2Bを含んでいる2つのヒストン二量体から構成されている。なお、H1ヒストンはヌクレオソーム同士の連結を安定させる役割を果たしている。
またヌクレオームは超らせん構造を形成しており、ソレノイドと呼ばれている。
クロマチン
クロマチンとは「DNAとタンパク質が一緒になって存在する、特定の構造体」であり、簡単に言えば染色体のことである。
DNAの密度は一定ではなく、クロマチンには密度が濃い部分と密度が薄い部分がある。密度が薄いと、その分だけDNAに書かれている情報を読み取りやすくなる。つまり、この部分では転写活性が高い。この密度が薄い部分を真性クロマチンという。
DNAの密度が薄い真性クロマチンに対し、密度が濃い部分では転写活動があまり行われていない。この部分を異性クロマチンという。
ただし、異性クロマチンには構成的ヘテロクロマチンと条件的ヘテロクロマチンの2種類が存在する。構成的ヘテロクロマチンは細胞分裂後なども高い密度を保っており、常に凝縮しているため不活性である。
しかし、条件的ヘテロクロマチンは必要なときには、凝縮がほどけて密度が薄くなり活発に転写を行う。このときは真性クロマチンとして観察される。
条件的ヘテロクロマチンは繰り返し配列が多く、動原体(セントロメア)付近に観察される。
・反復配列
DNAが密に存在している部分は反復配列の場合が多い。
遺伝子多型
遺伝子多型とは、個人によってDNAの配列が異なっているということである。この遺伝子多型によって個人差や個体差が生まれているのである。
このようなDNA配列の違いは「人口の1%以上の頻度で存在する」と定義される。
遺伝子多型の一つとしてSNP(一塩基多型:スニップ)がある。SNPはDNA配列の中である特定の一塩基だけが異なっていることを指す。この一塩基が異なっているだけである病気にかかりにくかったり、かかりやすかったりする。
逆にいえば、このSNPを詳しく知れば病気の予防や薬の使用量を個人によって使い分けることなどが可能になる。
あるSNPによって特定の病気への疾患率が大幅に異なっているとすれば、その遺伝子領域を知ることで病気にかかりやすいかどうかを知ることができる。
また、個々人の薬物感受性もSNPを調べることで予想することができる。これは、シトクロム-450のどの酵素が欠損しているかを調べることができるからである。
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