解糖系
解糖系
全ての哺乳類は糖(グルコース)を解糖系で代謝しピルビン酸か乳酸を生成する。もし、酸素が存在しないならば最終産物は乳酸のみである。酸素が存在するならばピルビン酸は代謝されアセチルCoAとなる。
解糖系は酸素が存在しなくても反応は進むが、クエン酸回路の反応は進まない。これは電子伝達系の反応の最後にO2が必要になるためであり、酸素がないと反応が完了しないためである。
解糖系の反応は細胞質基質で発生する。クエン酸経路はミトコンドリア内にあるため、解糖系で産出したピルビン酸を利用する場合、ピルビン酸をミトコンドリア内に輸送しなければならない。
解糖系の反応はグルコースから反応が始まり、ピルビン酸を経由して乳酸を生成する。
glucose→→→ピルビン酸→乳酸
なお、グルコースの炭素数は6で乳酸の炭素数は3である。つまり、グルコース1個が解糖系に入り乳酸に変化すると乳酸は2個できる。
ATP収支
解糖系でグルコース1分子を分解して得られるATPは2分子である。下の図を見ると、ATP収支は0に思われるがグリセルアルデハイドが2分子生成されるためにATP収支は2分子となる。また、NADHの収支は0になる。
もし酸素が存在する状態であり、反応が乳酸まで進行せずピルビン酸で終わりクエン酸経路に入るならNADHの収支は2である。
アセチルCoAのCoAとはコエンザイムA(補酵素A)のことである。
CoAの構造は、となっている。
ピルビン酸とアセチルCoAの構造はそれぞれである。
ピルビン酸→アセチルCoAへと変化するとき、ピルビン酸のCOO-の部分はCO2として脱離する酸化的脱炭酸反応が起こる。
以下に上図の※部分の反応を示す。
ミトコンドリアに移行したピルビン酸は様々な酵素によって触媒される。この触媒する酵素の総称をピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体という。ピルビン酸はピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体によって酸化的炭酸素されてアセチルCoAへと変化していく。
1.ピルビン酸はピルビン酸デヒドロゲナーゼにより脱炭素されTDP(チアミン二リン酸)に変わる。
チアミンとはビタミンB1のことである。
2.ジヒドロポイルトランスアセチラーゼの分子中に含まれているリポ酸によってコエンザイムAと反応しアセチルCoAを生成する。
3.反応したリポ酸の部分はFADによって酸化され反応回路が完成する。
4.FADが還元されFADH2となった後、NAD を酸化してNADHを生成する。
ピルビン酸 NAD CoA → アセチルCoA NADH H CO2
また、この経路は産物であるアセチルCoAとNADHによりフィードバック阻害される。つまりアセチルCoAとNADHによって反応速度が調節されるのである。ここではアセチルCoAとNADHがアロステリックエフェクターとして働いている。
速度調節
解糖系には一方通行の反応が3ヶ所ある。よって、この部分で速度調節するのが望ましい
・ホスホフルクトキナーゼ(PFK)
→クエン酸、ATPで阻害
・ヘキソキナーゼ
→G-6-Pがアロステリックに阻害
・ピルビン酸キナーゼ(PK)
→ATPで阻害
乳酸の調節
乳酸が生成されるには乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)が必要である。なお、臓器のなかでもLDHの活性が強い臓器とそうでない臓器が存在する。
筋肉など酸素が不足しがちな臓器はLDHの活性が強く、心臓など酸素が豊富な臓器ではこの活性が弱くなる。
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