メトキシ基の電子吸引性と電子供与性
メトキシ基とは
メトキシ基は「-OCH3(-OMe)」という構造をもつ官能基である。この官能基にはある特徴があり、「アルキルに結合している」か「芳香環上に結合している」かによって、電子吸引性か電子供与性かが異なってくるのである。
つまり、「電子を与えるように働く」か「電子を引っ張るように働く」かが異なってくるのである。
このメトキシ基の「電子吸引性と電子供与の違い」をきちんと理解しておけば、有機化学を嫌いにならないで済むかもしれない。
アルキルに結合している場合
アルキルに結合している場合、何も難しく考える必要はない。高校化学の知識より、酸素原子は炭素原子よりも電気陰性度が強いことが分かる。メトキシ基の酸素原子によって周りの電子は引きつけられているのである。
つまり、アルキルにメトキシ基が結合している場合、電子吸引性を示すのである。
芳香環上に結合している場合
芳香環にメトキシ基が結合している場合、共鳴が起こる。共鳴が起こるということは、酸素原子の電子(ローンペア:非共有電子対)の移動が起こるということである。つまり、電子を外に押し出すのである。
電子を外に押し出すということは、電子を与えるように働くということである。つまり、この場合は電子供与性となっているのである。
「酸素原子の電気陰性度の強さにより、やはり酸素原子が電子を取り込むのではないか」と考えることもできる。
しかし、電気陰性度の強さよりも共鳴の影響の方が強力なのである。そのため、電気陰性度による電子を引きつける力よりも共鳴による電子を押し出す力の方が優先されるのである。
これが、芳香環上に結合したメトキシ基が電子供与性を示す理由である。なお、この知識は有機合成に限らず、NMR等を読むときにも役に立つ。
また、アルキルに結合しているか芳香環に結合しているかによって電子供与性・吸引性が変化するのは、メトキシ基だけではない。アミノ基なども芳香環に結合した場合は、電子供与性として働くのである。
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