キラリティーと鏡像(光学)異性体
キラルとアキラル
右手と左手は鏡写しの関係である。しかし、平面上で重ね合わせることはできない。このように鏡像と重ね合わすことのできない分子をキラルという。
アキラルとは、キラルの反対である。アキラルの物質では、ただ単にキラル中心(不斉炭素原子)が存在しないというだけである。※キラル中心をもつが、アキラルである物質も存在する
ラセミ体とメソ体
不斉炭素原子をもつ分子において、それらの分子が等量存在する場合をラセミ体という。不斉炭素原子をもつということは、右旋性物質と左旋性物質が存在するということであるが、ラセミ体ではこれらの物質の量が同じであるため旋光度はゼロとなる。
なお、不斉炭素原子をもつと必ず鏡像異性体となるかというとそうでもない。下に2,3-ジブロモブタンの構造式を示す。
2,3-ジブロモブタンでは上のような四つの構造を描くことができる。そのうち、(a)、(b)の物質は鏡像異性体である。
しかし、(c)と(d)の物質は互いに鏡像異性体ではなく、全く同じ物質である。(c)の物質を平面上で180°回転させれば、(d)の物質と完全に重なるのである。このように、不斉炭素原子をもつがアキラルな物質をメソ体という。
エナンチオマー(鏡像異性体)とジアステレオマー
エナンシオマーとジアステレオマーの関係を、今度は2,3-ジブロモブタノールを使って説明しようと思う。下に構造式を示す。
(a)と(b)の立体異性体を見てみると、それぞれ鏡写しのような関係であることが分かる。このような関係がエナンチオマーであり、「エナンチオマー=鏡像異性体」と考えることができる。同じように(c)と(d)の関係もエナンチオマーである。
次に(a)と(c)を見てみようと思う。(a)と(c)はそれぞれ立体異性体をもつが、鏡写しの関係ではないことが分かる。このように、鏡像の関係にない立体異性体をジアステレオマーという。同じように、「(a)と(d)」「(b)と(c)」「(b)と(d)」の関係もジアステレオマーである。
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