カルボン酸誘導体の反応性
カルボン酸誘導体の反応性と安定性
カルボン酸誘導体において最も大切な表を以下に示す。
これはカルボン酸誘導体の求核試薬に対する反応性を示している。なお、この表を理解することができれば「カルボン酸誘導体」の項目はほぼマスターすることができる。
なお、「反応性が高い」ということは「安定性が低い」ということを理解しないといけない。安定性が低いために、早く反応して他の物質に変わりたいのである。
例えば、塩化アシルに水を加えるとすぐに反応してカルボン酸が生じる。しかし、常温でアミドに水を加えるだけでは全く反応は進行しない。
カルボン酸誘導体の反応例
例えば、サリチル酸と無水酢酸を反応させたいと思う。このとき、二つの生成化合物が予想することができる。
しかし、実際に生成するのは主に①の化合物である。なぜそうなるかは、一番最初の「カルボン酸誘導体の安定性」の表を見れば分かる。表によると酸無水物よりもエステルの方が反応性が低く、安定であるからである。
「物質は安定な方へ行く」という性質があるので、反応するにしてもより安定なエステルとなる。不安定な物質から安定な物質への変換は容易に起こるが、安定な物質から不安定な物質への変換の方が難しいのである。
また、カルボン酸誘導体の反応は求核置換反応となる。以下にその例を示す。
なお、ヒドリドやグリニャール試薬との反応では求核置換反応のみで反応が停止しない。
ヒドリドの場合ではアルデヒドの状態から求核付加によってもう一段回の反応を起こす。グリニャール試薬の場合も同じで、ギ酸エステルやエステルの状態から求核付加を起こし、それぞれ第二級アルコールや第三級アルコールを得ることができる。
以下にその反応を示す。
・ヒドリド (LiAlH4)
・グリニャール試薬
このように、二段階の反応で進行する。
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