アルコール・エーテル
アルコールの反応
・酸化反応
アルコールは過マンガン酸カリウム(KMnO4)などの酸化剤によってケトンやカルボン酸に変えられる。第一級アルコールの場合はカルボン酸に、第二級アルコールの場合はケトンになる。
第一級アルコールを酸化してアルデヒドを得るにはPCCを使う。PCCは有機溶媒中でも使用できる。
重要なのは第一級アルコールに過マンガン酸カリウムなどの酸化剤と反応させるとカルボン酸が生成するのに対し、PCCと反応させるとアルデヒドを生成するということである。
・アルコキシド
アルコールはアルカリ金属やグリニャール試薬と反応して金属アルコキシドを生じる。
また、金属アルコキシドはハロゲン化アルキルと反応してエーテルを生成する。
・アルケンの生成
アルコールからアルケンを生成させるにはE1反応やE2反応を利用する。
ヒドロキシル基はそのままの状態では脱離しにくい。しかし、プロトン化させると脱離しやすくなりE1機構で反応が進む。また、ピリジン存在下で塩化チオニルや塩化ホスホリルと反応させるとE2機構で反応が進む。
E2反応では立体障害をあまり受けないので、第三級ハロアルカンでも関係なく反応が進行する。ただし、第一級ハロアルカンではSN2反応が進行しやすい。
エーテルの反応
エーテルは反応性が低く、有機反応の溶媒として用いられることが多い。しかし、エーテルは酸に弱く強酸と反応すると開環してしまう。
下にジメチルエーテルとconc.HBrを反応させたときの反応式を示す。
酸によるエーテルの開環反応はSN2で進行する。ただし、ベンゼン環上ではSN2反応が起こらないため、アニソールと臭化水素の反応での生成物はフェノールと臭化メタンとなる。
2-メトキシ-2-エチルプロパンとconc.HBrを反応させた時の主生成物は1,1-ジメチルプロパン-1-オールとなる。これは、中間体として第三級カルボカチオンを経由するからである。
オキシランの開環反応
オキシランとは三員環の環状エーテルである。オキシランが開環するときは位置選択性であり、開環する位置は溶液が塩基性か酸性かによって異なる。
オキシランは過酸とアルケンを反応させることで得ることができる。
・塩基による開環
オキシランはアルコキシド(R-O-Na+など)によって攻撃を受けると開環する。このとき、攻撃する炭素は立体障害の少ない炭素を攻撃することになる。つまり、置換基の少ない炭素を攻撃する。
・酸触媒による開環
酸が存在するとオキシランの酸素原子はプロトン化を起こし、このプロトン化した酸素原子はプラスの電荷を帯びることになる。
ところで、カルボカチオンの安定性は第三級>第二級>第一級の順番であり、より多くの置換基をもつ炭素原子の方がより強い正電荷を帯びることになる。例として、下に2,2-ジメチルオキシランを示す。
上の図で左側の炭素は第一級で右側の炭素は第三級である。つまり、右側の炭素の方が強い正電荷を帯びている。この炭素と正電荷を帯びた酸素原子が反発するため、置換基を多くもつ炭素の方が求核試薬の攻撃を受けやすくなるのである。
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