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役に立つ薬の情報~専門薬学

高血圧治療薬(利尿薬、α・β遮断薬、Ca拮抗薬)

 

 高血圧の治療薬
心臓は血管内に圧力をかけることで、絶えず組織へ血液を送っている。このときの圧力は以下の二つによって決定される。

 

 血圧 = 心拍出量 × 末梢血管抵抗

 

高血圧の治療薬は基本的に全てこの式だけで考えることができる。つまり、高血圧の治療薬は「心拍出量を抑制する」または「末梢血管抵抗を減らす」のどちらかである。

 

心拍出量を減らすことができれば、血管の中を流れる血液量が少なくなるので圧力が下がる。同じように、末梢血管抵抗(血液が流れる時の抵抗)を抑えることができれば圧力も低くなる。

 

なお、高血圧治療薬の中には心拍出量と末梢血管抵抗の両方を抑制する薬も存在する。

 

 利尿薬(血液量を減らす薬)
利尿薬とは、尿をたくさん出させる薬のことであり、尿の量を多くすることで血圧を下げることができる。

 

血液の成分としては赤血球や白血球などがある。そして、当然ながらこれら血液を構成する成分の中で最も多いものは水分である。つまり、「血液の容積≒含まれる水の容積」となる。  

 

前述の通り、血圧の上昇には心拍出量が関わっている。血液量が多ければ、その分だけ圧力も高まる。そのため、血液量を少なくすれば血管への圧力を減らすことができる。

 

この「体の中に流れる血液量を減らす方法」として、水分として尿をたくさん出させることがある。このように、尿量を増やす薬のことを総称して利尿薬と呼ぶ。

 

このように、尿の量を増やすことで血圧を下げる薬としてはフロセミド(商品名:ラシックス)、トラセミド(商品名:ルプラック)、スピロノラクトン(商品名:アルダクトンA)などがある。

 

 選択的アルドステロン阻害薬(血圧を上げる生理物質の働きを阻害する)
私たちの体にはさまざまな生理物質が存在している。その中には血圧を上昇させるように働く物質も存在する。このような物質の一つとしてアルドステロンがある。

 

アルドステロンは腎臓の尿細管に作用することでナトリウムの再吸収を促す。その結果、体内に流れる血液の量が多くなって血圧が上がる。

 

それでは、アルドステロンのような血圧を上げる生理物質を働けなくさせてしまえば、血圧の上昇を防ぐことができるはずである。この考えに基づいて創薬された薬がエプレレノン(商品名:セララ)である。

 

 選択的アルドステロン阻害薬(血圧を上げる生理物質の働きを阻害する)

 

アルドステロンは腎臓においてナトリウムの再吸収を促進させることで、水の再吸収も促す。そのため、アルドステロンを阻害することは結果として水の再吸収の抑制に繋がる。つまり、アルドステロンの阻害薬は利尿薬としての働きをする。

 

 

 βブロッカー(心拍数を減らす)
心臓の拍動数が多いと、その分だけ血液が血管へと送られてしまう。心臓が血液を血管へ送れば送るほど血圧も高くなってしまうのである。

 

そこで、心臓の拍動数を抑えることで「血管へと送られる血液の量」を減らしてやる。全体の心拍出量が減ることで血圧を下げることができるのである。

 

心臓には交感神経に関わるβ受容体が存在する。このβ受容体が心臓の拍動数に関与しており、β受容体が刺激されると心臓の拍動も活発になる。そのため、β受容体を遮断することで心拍数を減らすことができる。

 

 βブロッカー(心拍数を減らす)

 

このβ受容体を阻害する薬をβブロッカーと呼び、このようなβブロッカーとしてはプロプラノロール(商品名:インデラル)、メトプロロール(商品名:セロケン)、アテノロール(商品名:テノーミン)、ビソプロロール(商品名:メインテート)などがある。

 

 α受容体遮断薬(血管を拡げる)
血圧を下げる方法としては心拍出量を減らす以外にも、末梢血管抵抗を下げる方法もある。高血圧患者では動脈硬化などによって血管が細くなっており、その分だけ血圧も高くなる。

 

そこで、高血圧治療薬は細くなっている血管を広げることで圧力を減らすように作用する。これによって、高血圧の状態を改善することができる。

 

心臓にはβ受容体が存在しているが、血管にはα受容体が存在している。このα受容体が興奮することで、血管が収縮してしまうのである。

 

そのため、このα受容体を阻害することができれば血管の収縮を抑えることができる。「血管の収縮を抑える」という事は、「血管が拡張する」という意味にも繋がる。これによって、血圧の高まりを抑制することができる。

 

 α受容体遮断薬(血管を拡げる)

 

このようにα受容体を阻害することで高血圧を治療する薬としてはプラゾシン(商品名:ミニプレス)、ドキサゾシン(商品名:カルデナリン)などがある。

 

 

 Ca(カルシウム)拮抗薬:(血管を拡げる)
心臓や血管が収縮するためには、カルシウムが細胞内へ流入する必要がある。受容体を通してカルシウムが細胞内へ入ることによって血管が収縮し、血圧が高くなる。

 

そこで、カルシウムが流入するための受容体を阻害するのである。これによって、カルシウムが細胞内へ入る過程を遮断して血管を拡げる。この結果、血液の流れがスムーズになる。

 

カルシウム拮抗薬は脳や心臓、腎臓などの血液循環まで改善することができる。

 

 カルシウム拮抗薬(血管を拡げる)

 

このように、血管を拡げることによって高血圧を治療するカルシウム拮抗薬としてはニフェジピン(商品名:アダラート)、ベニジピン(商品名:コニール)、アムロジピン(商品名:ノルバスク、アムロジン)などがある。

 

一般名

商品名

薬理作用

フロセミド ラシックス 利尿薬
トラセミド ルプラック
スピロノラクトン アルダクトンA
エプレレノン セララ 選択的アルドステロン阻害薬
プロプラノロール インデラル βブロッカー
メトプロロール セロケン
アテノロール テノーミン
ビソプロロール メインテート
プラゾシン ミニプレス α受容体遮断薬
ドキサゾシン カルデナリン
ニフェジピン アダラート Ca(カルシウム)拮抗薬
ベニジピン コニール
アムロジピン ノルバスク
アムロジン

 

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