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役に立つ薬の情報~専門薬学

消化と吸収

 

食物を食べると口腔、咽頭、食道、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)、大腸(盲腸、結腸、直腸)、肛門という過程を通って最終的に排泄される。口から肛門へと続く管を消化管とよぶ。

 

消化管内ではさまざまな分泌液が出ており、この腺を消化腺という。これらの消化液には消化酵素が含まれている。

 

 口腔、咽頭、食道
最初に食物が通る場所がこの場所である。咽頭の下方では食物が通る食道と気管・肺へと続く道がある。食道は胃につながっている。

 

咽頭と食道は胃へ食物を運ぶために嚥下を行う。嚥下とは「食物を飲み込むこと」であり、口腔から胃へ食物を届ける作用をする。また、食道は普段は閉じているが飲食物が来ると繻動が起こり、飲食物は速やかに胃へ運ばれる。

 

 嚥下

 

なお、繻動は食道だけでなく胃や腸でも見られる。

 

・だ液
成人ではだ液を一日に約1リットル分泌する。交感神経の作用を受けると濃くて粘り気のあるだ液が少量分泌され、副交感神経の作用を受けると粘り気の少ないだ液が多量に分泌される。

 

だ液には消化酵素であるプチアリンと糖タンパク質であるムチンが含まれている。プチアリンはデンプンを分解する作用をもっており、デンプンをデキストリンや麦芽糖に変える。

 

しかし、プチアリンはわずかに酸性(pH6.8くらい)のときに最もよく働く性質をもっている。そのため、ほぼ中性の口腔ではあまり作用を示さない。プチアリンは胃に入り、胃酸によって酸性に傾きだすと作用を示しだす。

 

ムチンは粘性が高く、嚥下を容易にする働きがある。

 

 
胃は胃底、胃体、幽門部の三つ部分からなる。胃の粘膜からは胃液が分泌されており、胃底と胃体の粘膜からはペプシンガストリチンリパーゼなどの消化酵素が含まれている。幽門部からの胃液には消化酵素が含まれていない。

 

ペプシンはタンパク質を分解する作用を示す。

 

 胃の構造

 

胃液が強い酸性を示すのは塩酸を含むためである。ペプシンはペプシノーゲンという形で分泌されているが、塩酸によってペプシンに変わることで作用を表す。口腔から分泌されるプチアリンも塩酸によって酸性に傾くことで効果が強く表れる。

 

乳児の胃液にはレンニンという酵素が含まれており、乳汁を凝固させる働きがある。この酵素は成人の胃液には含まれていない。

 

 

 小腸
小腸は十二指腸空腸回腸の三つ部分からなっている。腸の粘膜からは分泌液がでており、この液を腸液という。腸液のほとんどは粘液であり、消化酵素は含まれていない。

 

小腸では腸液以外にもすい臓から分泌される膵液と肝臓から分泌される胆汁も加わる。これらの消化酵素によって、食物中の栄養素が吸収できる大きさまで小さくなる。

 

 大腸
大腸は盲腸結腸直腸の三つからなる。大腸では消化酵素が分泌されず、吸収だけが行われる。その吸収物は主に水である。

 

盲腸は回腸の先から出たところより下に伸びている部分である。盲腸の先には虫垂があり、ここが炎症になることで虫垂炎となる。虫垂炎が世間で言われる盲腸炎である

 

 大腸の構造

 

 すい臓
すい臓には外分泌腺と内分泌腺が存在し、二つの異なる働きをしている。

 

・外分泌
膵液にはタンパク質分解酵素であるトリプシンカルボキシダーゼ、脂肪分解酵素である膵リパーゼ、糖分分解酵素であるアミラーゼ、マルターゼ、ラクターゼが含まれている。

 

トリプシンはタンパク質をペプチドまで分解し、カルボキシダーゼはペプチドをアミノ酸まで分解する。膵リパーゼは中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解する。アミラーゼはデンプンを二糖類まで分解する。マルターゼは麦芽糖をグルコースに分解し、ラクターゼは乳糖をグルコースとガラクトースに分解する。

 

・内分泌
すい臓にはランゲルハンス島とよばれる細胞集団が存在する。ランゲルハンス島からはインスリングルカゴンが分泌されている。

 

 肝臓
肝臓は消化酵素の分泌や栄養の貯蔵など、さまざまな役割を果たしている器官である。肝臓が分泌している消化酵素には胆汁があり、その成分は胆汁酸胆汁色素である。

 

肝臓は血液中のグルコース(ブドウ糖)をグリコーゲンに変えて貯える。また、体に必要なリン脂質やステロール類などの脂質や生体に必要なタンパク質(例、アルブミン、フィブリノーゲン)をアミノ酸から合成する。

 

尿素は肝臓で作られ、そのあと腎臓の作用によって排出される。つまり肝臓は老廃物の合成も行う。また、有害物質は無毒な物質に解毒する作用も果たしている。

 

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