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骨粗しょう症(骨粗鬆症)と治療薬

 

 骨の構造と役割
・骨の構造
骨はその構造全てが硬くて丈夫な訳ではない。その内部はスポンジ状の穴が開いており、軽くて脆い。

 

この骨内部のスポンジ状構造となっている部分を海綿骨という。海綿骨は強度はないかもしれないが、スポンジ状であるため骨が重くなるのを防いでくれている。海綿骨により、私達の骨格の重さは平均7kgに抑えられている。

 

海綿骨の内腔には骨髄が存在する。

 

また、海綿骨の周りには硬くて丈夫な緻密骨が取り巻いており、緻密骨の外側を神経や血管が多く存在する骨膜が覆っている。

 

・骨の役割
骨は骨格を形成することにより、体を支えている。骨は体を形成するために必要不可欠であるが、その他にも重要な役割を担っている。

 

○支持機能;

骨格としての構造を保ち、体を動かせるようにする。

 

○保護機能:

外からの衝撃から守る役割をする。例えば脳は頭蓋骨に、肺・心臓は肋骨によって守られている。

 

○貯蔵機能:

骨の重要な構成成分にカルシウムがあるが、このカルシウムを溜める役割を担っている。これにより、血中のカルシウム濃度を一定に保つようにしている。

 

カルシウムの99%が骨と歯に存在している。

 

○造血機能:

骨髄で赤血球・白血球・血小板を産生し、血液を作る。

 

 骨の代謝(骨形成と骨吸収)
鉄筋の建物であれば、古くなり取り壊すまで同じ鉄筋で建物を支え続ける。それに対し、骨は「一度作ったら、ずっと同じ骨成分」という事はない。骨は常に「古くなった骨を取り除き、新しく骨を形成する」という作業が繰り返されている。

 

このように、古くなった骨を破壊してカルシウムを血液中へ溶かす工程を骨吸収と言う。この骨吸収を行う作業を破骨細胞が行う。

 

骨吸収は、骨がカルシウムを吸収するという意味ではない。実際にはカルシウムが血液中へ放出されるので、血液が骨のカルシウムを吸収するというイメージを持てばよい。

 

破骨細胞によって溶かされた部分へは、コラーゲン・リン・カルシウムなどをくっつけることで新しく骨を作る作業をする。この工程を骨形成と呼び、この骨形成は骨芽細胞によって行われる。

 

 骨粗しょう症の病態
骨粗しょう症とは、骨の量が少なくなることで内部がスカスカとなり、骨が脆く骨折が起こりやすくなっている状態(骨折が起こった状態)を指す。

 

骨の量は20代がピークであり、加齢と共にその骨量は減少する。特に女性の場合、男性よりも全体的な骨量が少なく、閉経によって急激な骨量減少が起こる。

 

老人の寝たきりとなる原因の上位に、「転倒による大腿部骨折」がある。この骨折に骨粗しょう症が関係しているのは、言うまでもない。

 

この骨粗しょう症であるが、骨吸収と骨形成のバランスが崩れるために起こる。正常の場合であると、「骨吸収 = 骨形成」となる。骨粗しょう症の場合では、「骨吸収 > 骨形成」となっている。

 

 骨粗しょう症の状態

 

・骨粗しょう症の分類
骨粗しょう症は原発性骨粗鬆症続発性骨粗鬆症の二つに大別される。

 

○原発性骨粗鬆症:

原因不明の骨粗しょう症のことである。加齢や閉経後に見られ、骨粗しょう症の90%を占める。

 

○続発性骨粗鬆症:

原因が明らかな骨粗しょう症のことである。例えば、「ステロイド剤投与による副作用」や「卵巣の摘出」などによって起こる。

 

 骨粗しょう症の治療薬
骨を形成するにはカルシウムが重要となる。また前述の通り、骨粗しょう症では骨を形成する速さ(骨形成の速さ)よりも骨が溶ける速さ(骨吸収の速さ)の方が上回っている。

 

そこで、骨粗しょう症の治療薬としては「腸管からのカルシウム吸収量を増やす薬」、「骨形成を助ける薬」、「骨吸収を遅らせる薬」の三つが主に使用される。

 

①腸管からのカルシウム吸収量を増やす薬
・カルシウム製剤
骨を作るためにはカルシウムが必要であるが、このカルシウム自体を補給する薬である。このような医薬品としてL‐アスパラギン酸カルシウム(商品名:アスパラCA)がある。

 

・活性型ビタミンD3製剤
カルシウムを摂取したとしても、腸管から吸収されなければ意味がない。そこで、腸管からのカルシウム吸収を促す薬が骨粗しょう症治療薬として使用される。

 

カルシウム吸収にはビタミンDが関わっており、日光に当たることでビタミンDが合成される。このビタミンDは肝臓や腎臓で活性型ビタミンD3となり、小腸のビタミンD受容体に働くことでカルシウム吸収が促される。

 

つまり、ビタミンD受容体を刺激することができれば、カルシウム吸収を促進することができる。このような作用をする医薬品としてはアルファカルシドール(商品名:アルファロール、ワンアルファ)、カルシトリオール(商品名:ロカルトロール)などがある。

 

②骨形成を助ける薬(骨形成促進薬)
・ビタミンK2製剤
血液凝固に重要な役割を行うビタミンKであるが、生理的に重要なビタミンKはビタミンK1とビタミンK2に分けられる。このうち、ビタミンK2が骨代謝に関わっており、ビタミンK2製剤が骨粗しょう症治療薬として使用される。

 

ビタミンK2は骨芽細胞に作用することで骨形成を促進する。同時に骨吸収を抑制することで、骨代謝のバランスを整える。このような作用をする医薬品としてメナテトレノン(商品名:グラケー)がある。

 

・副甲状腺ホルモン(PTH)
そもそも副甲状腺ホルモンは骨吸収を促進する役割がある。血中のカルシウム濃度を上昇させるために、副甲状腺ホルモンが重要となるのである。

 

副甲状腺ホルモンによる骨吸収促進は「持続的に副甲状腺ホルモンが分泌されている状態」で起こる。つまり、常に副甲状腺ホルモンの濃度が高いときに骨吸収が促進される。

 

ところが、断続的に途切れ途切れで副甲状腺ホルモンを投与し、一時的にのみ副甲状腺ホルモンの濃度を高めると、その逆に骨形成が促進される。副甲状腺ホルモンには「前駆細胞からの骨芽細胞への分化促進」と「骨芽細胞のアポトーシス抑制」の作用もあり、この骨形成促進作用のみが引き出されたと考えられる。

 

このような、副甲状腺ホルモン製剤による骨粗しょう症治療薬としてテリパラチド(商品名:フォルテオ)がある。

 

参考までに、テリパラチドは一日一回投与で半減期は約42分である。なお、テリパラチドを持続的に投与すると骨吸収が上回ってしまい、骨量は減少してしまう。

 

③骨吸収を遅らせる薬(骨吸収抑制薬)
・カルシトニン製剤
カルシトニンは甲状腺から分泌されるホルモンであり、破骨細胞に作用することで骨が溶けだすのを抑える。

 

ただし、カルシトニン製剤としての効能・効果は骨粗しょう症の治療ではなく、骨粗しょう症によって起こる疼痛(腰や背中の痛み)の緩和となっている。このような医薬品としてエルカトニン(商品名:エルシトニン)などがある。

 

・イプリフラボン
イプリフラボンは植物性ビタミン様物質であり、合成によって作られたフラボノイドである。骨吸収を抑制する作用をもつ。

 

このような医薬品としてイプリフラボン(商品名:オステン)がある。

 

・ビスホスホネート製剤
ビスホスホネート製剤は破骨細胞の働きを強力に抑えることで骨吸収を防ぎ、骨量を増やすことができる。

 

中~重度の骨粗しょう症に使用されるが、ビスホスホネート製剤は腸管からの薬物吸収が悪い。そのため、「起床後すぐに服用し、その後30分は水以外を飲んだり食べたりしてはいけない」などの制限がつく。

 

ビスホスホネート製剤による骨粗しょう症治療薬としてエチドロン酸(商品名:ダイドロネル)、アレンドロン酸(商品名: フォサマック、ボナロン)、リセドロン酸(商品名: アクトネル、ベネット)、ミノドロン酸(商品名:ボノテオ、リカルボン)などがある。

 

・エストロゲン製剤
エストロゲンは女性ホルモンの一つであるが、エストロゲンは骨吸収を抑制する作用がある。閉経後の女性は急激に骨量が減少するが、この主な原因としてエストロゲンの欠乏がある。

 

そのため、閉経後の骨量減少に対してエストロゲン製剤を投与すると骨量の減少を抑え、結果として骨量増加に繋がる。このような骨粗しょう症治療薬としてエストラジオール(商品名:ジュリナ)などがある。

 

ただし、エストロゲンには乳がんなどの発がん性がある。

 

・選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)
前述の通り、エストロゲンは骨吸収抑制作用を示すが、それと同時に発がん性も示す。

 

そのため、子宮や乳房のエストロゲン受容体には作用せず、骨のエストロゲン受容体にのみ作用することができれば、エストロゲンによる発がん性を気にすることなく服用することができる。

 

このような骨のエストロゲン受容体に対して選択的に作用する医薬品に選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)がある。選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)としては、ラロキシフェン(商品名:エビスタ)、バゼドキシフェン(商品名:ビビアント)などが使用される。

 

ビスホスホネート製剤のような服用時間や食事の制限はない。主に女性の閉経後に起こる骨粗しょう症治療に使用される。

 

分類

薬物名

商品名

簡単な作用機序

カルシウム製剤

L‐アスパラギン酸
カルシウム

アスパラCA

腸管からの

カルシウム吸収増加

活性型ビタミンD3製剤 アルファカルシドール

アルファロール
ワンアルファ

カルシトリオール ロカルトロール
ビタミンK2製剤 メナテトレノン グラケー

骨形成促進

副甲状腺ホルモン
(PTH)

テリパラチド フォルテオ
カルシトニン製剤 エルカトニン エルシトニン

骨吸収抑制

イプリフラボン イプリフラボン オステン
ビスホスホネート製剤 エチドロン酸 ダイドロネル
アレンドロン酸

フォサマック
ボナロン

リセドロン酸

アクトネル
ベネット

ミノドロン酸

ボノテオ
リカルボン

エストロゲン製剤 エストラジオール ジュリナ

選択的エストロゲン
受容体モジュレーター
(SERM)

ラロキシフェン エビスタ
バゼドキシフェン ビビアント

 

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