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役に立つ薬の情報~専門薬学

土:農薬の被害

 

土は植物を育てます。植物は太陽からの光を浴びて有機物を作り出します。この有機物が私達の栄養となります。

 

植物の栄養である無機物(窒素など)は、土の中にいる微生物が生み出します。動物の死骸や枯れ葉などの有機物を分解して、植物の栄養となる無機物に変換するのです。

 

植物は空気から窒素を吸収できません。そのため、微生物が生産した窒素を土壌から吸収します。つまり、微生物がいなければ植物は窒素を吸収することができないのです。

 

土が化学物質によって汚染されると多くの問題が発生します。ここでは農薬が環境へ及ぼす影響について述べようと思います。

 

 農薬の蓄積
草を枯らすために、また虫を駆除するために、農薬を農場に散布します。するとその成分は土に染み込んでいきます。もし農薬が素早く分解され消えていくならば、農薬はそこまで問題となりません。しかしながら、これら農薬は何年もの間、分解されずに土壌に染み付くことがあります。

 

分解される速度が遅いと何年もの間、そこで生産される農作物から有害な化学物質が検出されます。一度植物の体内に入れば取り除くことはできません。私達はその農作物を食べないといけないのです。

 

農薬の使用をやめたとしても、土壌が化学物質を含まない本来の状態に戻るには多くの年月を必要とします。

 

日本の有機栽培には「化学合成農薬、化学肥料、化学合成土壌改良材を使わないで、3年以上を経過」という条件があります。農薬の使用をやめて次の年に全く同じ土地で栽培された農作物は「有機栽培によって生産された農作物」と言うことはできません。

 

これは、それまで使用した化学物質が土壌に蓄積していることを考慮しなければいけないからです。

 

農薬の使用をやめたにもかかわらず、化学物質を含む農作物が毎年のように生産されてしまうことは実際にあります。

 

化学物質は土を汚染するだけではありません。農薬は土に染み込み、そこの土に住みついている微生物まで被害を及ぼします。

 

微生物は植物の栄養を生産します。土が汚染し微生物の数が減ると植物の栄養の生産は少なくなります。邪魔となる草は枯れて、食い荒らす虫を退治することはできました。しかしその分、植物が吸収するべき栄養の量が減ってしまうのです。

 

このような化学物質を使用すると有害物質は土壌中に長い間蓄積し、土に含まれる栄養は減るのです。

 

 鳥への影響
アメリカで害虫駆除に化学薬品が使用されたことがあります。すると動物達は異常行動を起こし、鳥たちは大きな被害を受けました。

 

鳥が化学物質の被害を受けるのには、化学物質の散布によって直接作用することが考えられます。しかしそれだけではありません。鳥の餌による作用も考えられます。

 

土の中に住み着いているのは微生物だけではありません。ミミズやさまざまな幼虫が土の中で生活しています。土の中に化学物質が存在すると、必然的にミミズや幼虫の体内にも化学物質が蓄積していきます。

 

汚染された土に住む鳥の餌(ミミズや幼虫など)の体内には有害物質が蓄積しています。そのため体の中に有害物質を溜め込んだ餌を食べてしまうことよる中毒も考えられます。

 

それらの餌を鳥が食べることで間接的に有害な薬剤を摂取していることになります。これにより、鳥は中毒を起こしだしました。

 

 農薬の功罪
この文章を読まれた方や「沈黙の春」を読まれた方、他の農薬に関わる文献を読まれた方で「農薬=悪」という認識をされた方がいるかもしれません。

 

しかし、そう認識してしまった方々は、私がこのサイトの「サイト概要」で紹介した「さまざまな情報の中から、どの情報が真実かを自分で見極める」ことが実践できていないと思います。

 

農薬には確かに多くの悪い面をもっています。「農薬の悪い面を述べよ」と言われればあなたは多くのことを述べることができると思います。しかし、「農薬の良い面を述べよ」と言われると黙ってしまうのではないでしょうか。

 

「実際には2008年まで減反政策を施工し、米の生産制限を行っていたのだから、農薬を全面禁止にすればいいではないか」、そう思う人がいても仕方がありません。しかし実際に農薬を全面禁止にすることはかなり困難なのです。

 

稲などの農作物を除草剤なしで育てるとします。そのときの経済損失は年間何千億円にもなります。

 

他にも「りんご」や「もも」などの果物を考えてみてください。

 

農薬を使用しないと「りんご」や「もも」は栽培できないと言っても過言ではないのです。農薬を全面禁止にすると私たちはりんごやももを食べることはできなくなることでしょう。

 

なお、「農薬なしにリンゴを育てることはできない」という常識を覆した日本人がいます。どうやって可能にしたか、周りの反応は、無農薬リンゴが実った時の感動、そのヒューマンドラマから私達は学ぶことができます。

 

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