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役に立つ薬の情報~専門薬学

感染症とは(感染症成立の条件、病原微生物の大きさによる分類、細菌の分類)

 

風邪はウイルスなどの病原微生物に感染することによって発症します。このように、病原微生物によって起こる咳や発熱などの症状を感染症と呼びます。

 

これらの感染症を治療するために抗菌薬(抗生物質)があります。

 

なお、抗菌薬はもの凄い数があるため、一つ一つ紹介するとその数の多さから確実にやる気をなくしてしまいます。そのため、感染症の専門家でない限りこれらの薬を全て覚えても仕方ありません。

 

 ○感染症成立における三つの条件
感染症が成立するためには、三つの要因が成り立つ必要があります。この要因としては、主に「病原微生物、感染経路、感受性宿主」があります。

 

この三つのうちどれか一つだけでも防ぐことができれば、感染症を発症することはありません。ただし、よく考えてみれば「この三つが感染症成立に必要である」という事は容易に理解することができます。

 

 感染症成立の三大要因

 

 ・病原微生物
まず一つ目が「病原微生物」です。病原微生物とは、感染症を引き起こす原因微生物のことです。病気を起こす菌がいるから感染症が起こるという考えです。

 

感染症はそこに病原微生物がいて悪さをすることで発症するため、当然ながら感染症が成立するためには病原微生物の存在が必要になります。

 

 ・感染経路
二番目が「感染経路」です。ここでの感染経路とは、病原体が新たに感染を起こすための経路のことです。

 

たとえ、病原微生物が存在していたとしても、これらの病原微生物が口や鼻など「感染症を引き起こすための経路」にいなければ感染は成立しません。そのため、この感染経路をシャットアウトすることが出来れば、病原微生物による感染を防ぐことができます。

 

 ・感受性宿主
三番目に「感受性宿主」があります。感受性宿主とは、簡単に言ってしまえば私たちの免疫力のことを指します。病原微生物による感染が起こったとしても、免疫力がしっかりしていれば感染症は起こりません。

 

そのため、必ずしも「病原微生物への感染 = 感染症の発症」という訳ではありません。私たちの抵抗力よりも、病原微生物による影響が勝ったときにのみ感染症が引き起こされます。

 

小児の免疫力は成人に比べて十分とは言えないため、これら感受性宿主には年齢などの要因も関与します。

 

なお、これら「病原微生物、感染経路、感受性宿主」の三つの要因が全て重なることで感染症が起こります。逆に言えば、どれか一つの要因でも取り除くことが出来れば感染症に罹ることはありません。そのため、これらの要因を取り除くことが感染症対策に繋がります。

 

 ○病原微生物の分類
「動物」と言っても、その種類として様々な動物がいるのと同じように、病原微生物にも多くの種類があります。

 

この中でも病原微生物を分類する最も簡単な考え方として、「病原微生物の大きさ」があります。この大きさによって「ウイルス」、「細菌」、「真菌」、「原虫」の四つに分けることができます。

 

病原微生物自体の大きさが小さいと、その分だけ体の中に入れることのできる情報が少なくなります。そのため、基本的には小さい病原微生物であるほど単純な構造になります。

 

なお、それぞれの病原微生物の大きさとその種類については以下のようになります。

 

 病原微生物の大きさ

 

例えば、ウイルスは「DNAなどの遺伝子情報の周りを細胞の膜で覆っているだけの構造」となっています。そのため、自分だけの力で増殖することもできず、とても単純な構造となっています。

 

それに対して、細菌には自分で増殖するための機能が備わっています。細菌はウイルスよりも多くの情報が確保されているため、その分だけ構造もウイルスより大きいです。これと同じように考えて、病原微生物の大きさは「ウイルス < 細菌 < 真菌 < 原虫」の順となっています。

 

ウイルス

細菌

真菌(カビなど)

原虫

インフルエンザ

麻しん

結核

破傷風

白癬症

カンジダ症

マラリア

膣トリコモナス症

 

 ○細菌の分類
食中毒の原因菌として有名な腸管出血性大腸菌は細菌の一種です。他にも、結核や破傷風なども細菌となります。そのため、病原微生物の中でも細菌による感染症は特に重要となります。

 

このような細菌は「形状」によって三種類、「増殖に酸素を必要とするかどうか」によって三種類、さらに「グラム染色」と呼ばれる方法によってさらに二種類に分けることができます。

 

ただし、これら細菌の分類に関しては厳密に理解しなくても「大まかに理解できるレベル」で全く問題ありません。

 

 ・形状による分類
細菌はその形によって大きく三つに分けることができます。つまり、顕微鏡などで観察した時の「見た目」によって分類されます。

 

このような分類としては「球菌」、「桿菌」、「らせん菌」があります。

 

 球菌、桿菌、らせん菌

 

球菌はその名の通り、丸い形をした細菌となります。桿菌は細長い棒状の細菌であり、らせん菌はらせん階段のような渦を撒いたような形をした細菌です。

 

このように、細菌は見た目によって三つに分けることができます。

 

 ・増殖に酸素を必要とするかによる分類
私たちは酸素がないと生きていくことができません。しかし、細菌の種類によっては酸素が必要である場合があれば、むしろ酸素がない状態でのみ増殖できる場合もあります。

 

このように、細菌には「酸素が必要な場合」と「酸素が必要でない場合」、そして「酸素があってもなくても、どちらでも良い場合」の三つに分けることができます。

 

酸素が必要な細菌は「空気が好きな細菌」として好気性菌と呼ばれます。それに対して、酸素のない状態が好ましい細菌は「空気が嫌いな細菌」として嫌気性菌と呼ばれます。

 

酸素があってもなくてもどちらでも良い細菌の場合、「通常は空気がなくても増殖できる細菌」として通性嫌気性菌と呼ばれます。

 

 好気性菌、嫌気性菌、通性嫌気性菌

 

 ・グラム染色法による分類
私たちを構成している細胞には薄い膜があります。この膜を細胞膜と呼びますが、細菌にも同じように細胞としての形を保つための構造があります。

 

そして、細菌の細胞表面の構造はその種類によって異なっています。この「細菌の細胞表面の構造」を調べるための方法としてグラム染色法があります。

 

グラム染色の方法や細かい細胞構造の違いを理解する必要はありません。重要なのは、「グラム染色法によって、細菌の細胞表面の大まかな構造の違いを見分けることができる」という事です。

 

この時、グラム染色によって紫色に染まるものをグラム陽性と表現します。それに対して、紫色に染まらずに赤色に見えるものをグラム陰性と呼びます。

 

 グラム染色法(グラム陽性、グラム陰性)

 

このように細菌の分類について説明してきました。ただ、実際に表記される細菌の分類としては、例えば「グラム陰性嫌気性球菌」などと表現されます。

 

このような単語を見たとき、何となくでも良いので「グラム染色と呼ばれる方法によって染まらず、空気(酸素)がない状態でのみ成長でき、球形の丸い形をしている細菌」という事を思い浮かべることができれば問題ありません。

 

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