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役に立つ薬の情報~専門薬学

インチュニブ(グアンファシン)の作用機序:ADHD治療薬

 

ADHD(注意欠陥・多動性障害)とは、簡単に言えば「じっとしていられず、そわそわしていたり別のことに気を取られてしまったりするなどの症状」のことを指します。大人になって発症するものではなく、子どものころから症状が表れます。そのため、落ち着きのない子供と考えられてしまうことが多いです。

 

そこで、こうしたADHDを治療し、症状を抑えるために活用される薬としてインチュニブ(一般名:グアンファシン)があります。インチュニブはα2受容体作動薬と呼ばれる種類の薬であり、脳(中枢神経)に働きかけることで神経の緊張を取り去る働きがあります。

 

インチュニブ(一般名:グアンファシン)の作用機序

 

ADHDは発達障害の一つであり、珍しい病気ではありません。発達障害としてはアスペルガー症候群などがあり、ADHDとは別ですが、人によってはADHDとアスペルガー症候群を併発していることがあります。

 

「精神疾患の診断・統計マニュアル」によると、小児(子供)でのADHD有病率は5%、成人(大人)では2.5%であるとされています。子供に多い病気ですが、大人でも問題になりやすいです。

 

ADHD(注意欠陥・多動性障害)の症状としては、忘れっぽかったり、片付けができなかったりする「不注意」があります。また、落ち着きがないなどの「多動性」、思ったことをすぐ口にしたり、行動に移したりするなどの「衝動性」が表れます。

 

本人はこうした症状を自覚していることが多く、実際に悩んでいます。悪気があって行っているわけではないものの、なかなか改善することはできません。

 

学童期の子供であれば、そのうちの数パーセントはADHDの人がいます。そして、ADHDはレポート提出ができなかったり、約束をすっぽかしてしまったりと大人になっても問題になりやすいです。子供のころにADHDだった人は、約60%の割合で大人になっても症状が残るといわれています。

 

こうしたADHDでは、脳の神経伝達物質に異常が起こっています。物事は脳で判断しますが、こうした脳細胞での神経反応が正常ではないため、いくら自分で自覚してもその通りに動けないのです。

 

私たちは神経によって体の働きが決まっており、その中でも交感神経は私たちの体を制御する神経として重要な役割を担っています。

 

交感神経というのは、「運動時など体が活発に動いているときに働く神経」だと考えてください。運動時、気管支が拡張して呼吸しやすくなり、心臓の鼓動が速くなり、力を出すために血管が収縮します。交感神経が刺激されると、こうした働きが起こります。

 

 

ADHDに関していえば、交感神経が過剰に働いていると、運動時のように常に体が興奮している状態になっているといえます。こうした状態では、イライラしたり常に動き回ったりと過剰な活動性、衝動性、攻撃的行動が見られるようになります。

 

そこで、脳(中心神経)に作用することで交感神経の働きを抑えることができれば、ADHDによる「過剰な活動性、衝動性、攻撃的行動」を抑制できるようになります。

 

このように考えにより、交感神経の過剰な興奮を抑えることにより、ADHDによる多動性などの症状を軽減する薬がインチュニブ(一般名:グアンファシン)です。

 

より専門的にいうと、インチュニブ(一般名:グアンファシン)は「脳(中枢神経)のα2受容体を刺激する」という働きがあります。α2受容体には、交感神経の働きを抑制する作用があります。そのため、この受容体を刺激することにより、交感神経の働きを抑えるのです。

 

インチュニブ(一般名:グアンファシン)の特徴

 

もともと、インチュニブ(一般名:グアンファシン)はADHDの治療薬として用いられていたわけではなく、高血圧の治療薬として活用されていました。血管が収縮していると、その分だけ血圧が高くなります。そこで、血管を拡張させることができれば、血圧を下げることができます。

 

前述の通り、交感神経は運動時に働く神経であることから、交感神経が活発になると血管が収縮して血圧が上がります。そこで、交感神経の働きを抑制することができれば、血管が拡張して血圧が下がるようになります。このような考えにより、交感神経の働きを抑えるグアンファシンを高血圧治療薬として用いていました。

 

ただ、脳の覚醒を抑えることにより、ADHDによる過剰な活動性、衝動性、攻撃的行動を抑制できるのではと考えられました。そうして、ADHDの治療薬として開発したのです。

 

攻撃性に関わる交感神経の抑制が主な作用機序であるため、ぼ~っとするなどの注意力の欠如や、片付けができないなどの症状に対してインチュニブは効果を示しません。そうではなく、多動・衝動性に対する治療薬になります。

 

それまで用いられていたADHDの治療薬といえば、脳(中枢神経)の興奮を促す「中枢神経刺激薬」でした。一方でインチュニブは脳の興奮を促す働きではないため、「非中枢神経刺激薬」として活用されます。

 

このような特徴により、ADHDによる注意欠陥に対しては効果を望めないものの、過剰な活動性、衝動性、攻撃的行動に作用を示す薬がインチュニブ(一般名:グアンファシン)です。

 

 

グアンファシン(商品名:インチュニブ)の効能効果・用法用量

 

ADHD(注意欠陥・多動性障害)などの発達障害は子供に多いです。このとき、薬を投与するときは体重によって量を調節していきます。

 

まず、「体重50kg未満の小児の場合は1日1mgの投与」「体重50kg以上であれば1日2mg」から投与を開始して、1週間以上の間隔をあけながら1mgずつ増量していきます。このとき、体重によって規定された維持量まで増量させます。

 

インチュニブには1mgと3mgがあります。どの場合であっても1日1回投与であり、症状に合わせて薬の量を減量、増量させていきます。

 

用法用量としては、以下のようになります。

 

体重

初期用量

維持用量

最高用量

17kg以上~25kg未満

1mg

1mg

2mg

25kg以上~34kg未満

1mg

2mg

3mg

34kg以上~38kg未満

1mg

2mg

4mg

38kg以上~42kg未満

1mg

3mg

4mg

42kg以上~50kg未満

1mg

3mg

5mg

50kg以上~63kg未満

2mg

4mg

6mg

63kg以上~75kg未満

2mg

5mg

6mg

75kg以上

2mg

6mg

6mg

 

インチュニブ(一般名:グアンファシン)を使用するとき、6歳未満での小児に使用したときの有効性や安全性は確認されていません。そのため、基本的には6歳以上など、小学校を含め集団での活動が必要になる時期から使用できます。

 

18歳以上の成人(大人)がインチュニブを使用することについては、治療の有益性や安全性を考慮した上で使用していきます。有効性が認められない場合、投与を中止します。

 

実際にインチュニブの投与を中止するとき、急に薬をやめるのは危険です。離脱症状として、急激な血圧上昇や頻脈を生じる恐れがあるからです。そこで、3日以上の間隔をあけて1mgずつ血圧や脈拍数を確認しながら薬の量を減らしていきます。

 

なお、人によっては一包化や半錠、粉砕などによって薬を投与することがあります。これがインチュニブではどうかというと、一包化は問題ありません。しかし、半錠や粉砕などは不可です。

 

インチュニブは体内で徐々に溶け出すことで、薬がじっくりと作用するように調節された薬です。これを徐放製剤といいますが、こうした特殊な薬であるため、かみ砕いて服用するなどもしてはいけません。

 

薬を服用するタイミングについては、朝食後でも夕食後でも問題ありません。1日のうち、服用するタイミングを決めるといいです。飲み忘れた場合はそのときに服用し、1日中飲み忘れた場合は1回分を飛ばします。一度に2回分を服用してはいけません。

 

食事の影響については、少しだけその影響を受ける薬です。空腹時と食後での服用を比べたところ、食後投与の方が薬の総利用量(AUC)が約1.2~1.3倍高かったことが分かっています。ただ、食後や食前、空腹時(食間、寝る前、絶食時など)のうち服用しやすいタイミングで薬を飲めば問題ありません。

 

インチュニブ(一般名:グアンファシン)の副作用

 

薬である以上、インチュニブ(一般名:グアンファシン)には副作用があります。主な副作用としては傾眠(眠気)、血圧低下、頭痛が知られています。

 

その他、過敏症、発疹・薬疹、かゆみ、起立性低血圧、血圧上昇、頻脈、不整脈、不眠、めまい、不安、うつ病、倦怠感、体重増加、頻尿、喘息、胸痛、脱水などがあります。

 

消化器症状には食欲減退、悪心・嘔吐(吐き気)、便秘、下痢、口渇(のどの渇き)、腹部不快感、消化不良などが知られています。

 

重大な副作用には低血圧や徐脈があります。もともと高血圧治療薬として開発された薬であるため、低血圧時の服用に注意しなければいけません。徐脈、ふらつき、動悸など、心血管系の副作用が表れた場合は薬の投与を中止したり休薬したりします。

 

また、低血圧や徐脈などの副作用に伴って失神してしまうことがあります。不整脈の一つである房室ブロックを起こすこともあり、こうしたことも重大な副作用です。

 

インチュニブ(一般名:グアンファシン)には慎重投与の方がいます。慎重投与の方では副作用が表れやすくなります。

 

まず、低血圧、起立性低血圧、徐脈、心血管疾患など心血管系の疾患をもっている人は薬の副作用に注意です。インチュニブは血圧や心拍数(脈拍数)を低下させることがあるからです。

 

高血圧患者についても、インチュニブの投与を急に中止したときに血圧上昇を招く恐れがあります。インチュニブを中止するとき、徐々に薬の量を少なくしなければいけません。

 

また、不整脈(QT延長症候群など)や狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの疾患を患っている人ではインチュニブの使用によって症状悪化を招くことがあります。

 

さらに、うつ病など抑うつ状態の人にも慎重投与です。インチュニブには鎮静効果があるため、うつ症状を悪化させることがあります。

 

インチュニブ(一般名:グアンファシン)の禁忌と飲み合わせ(相互作用)

 

インチュニブ(一般名:グアンファシン)には禁忌の患者が設定されています。まず、インチュニブに対して過敏症のある人は服用してはいけません。

 

また、重度の房室ブロック(不整脈)を起こしている人にも禁忌です。徐脈が進行し、症状悪化を招く可能性が高いからです。

 

なお、インチュニブには併用禁忌の薬はありません。ただ、禁忌ではないものの、飲み合わせ(相互作用)のため併用注意の薬は存在します。薬同士を併用することはあるものの、副作用を含め効果の表れ方に注意すべき薬が存在するのです。

 

まず、高血圧治療薬として活用される薬(降圧作用を示す薬)とは飲み合わせがあります。血圧低下や徐脈の作用の増強を起こすことがあります。

 

他には、インチュニブの代謝・排泄には肝臓と腎臓が関わっています。このうち、肝臓での代謝ではCYP3A4と呼ばれる代謝酵素の働きによってインチュニブの働きが不活性化されていきます。

 

薬の中には、CYP3A4の働きを阻害する薬が存在します。こうした薬とインチュニブを併用すると、薬の代謝が進まないのでインチュニブの血中濃度(血液中の薬物濃度)が上昇してしまうことがあります。これはつまり、副作用を起こしやすくなることを意味します。

 

CYP3A4の働きを抑制する薬(または食品)には以下のようなものがあります。

 

・抗真菌薬:イトリゾール(一般名:イトラコナゾール)、ブイフェンド(一般名:ボリコナゾール)、フロリード(一般名:ミコナゾール)

 

・抗生物質:クラリス・クラリシッド(一般名:クラリスロマイシン)

 

・食品:グレープフルーツジュース

 

例えば、抗真菌薬ケトコナゾール(内服薬)と併用することで、インチュニブでの薬の総利用量(AUC)が3倍増加したことが分かっています。

 

また、反対にCYP3A4の量を増やすように働く薬も存在します。こうした薬と併用すると、インチュニブが素早く代謝されるようになるので薬の効果が薄れてしまいます。CYP3A4をたくさん作るようにさせる薬(または食品)には以下のようなものがあります。

 

・抗生物質:リファジン(一般名:リファンピシン)、ミコブティン(一般名:リファブチン)

 

・抗てんかん薬:テグレトール(一般名:カルバマゼピン)、フェノバール(一般名:フェノバルビタールなど)、アレヒアチン・ヒダントール(一般名:フェニトイン)

 

・健康食品:セイヨウオトギリソウ含有食品(セントジョーンズワート)

 

例えばリファジン(一般名:リファンピシン)と併用することで、インチュニブの薬の総利用量(AUC)は約70%減少したことが分かっています。

 

他には、睡眠薬や抗不安薬などの薬と併用すると、鎮静作用の増強を招くことがあります。こうした薬にはマイスリー(一般名:ゾルピデム)、デパス(一般名:エチゾラム)、レキソタン(一般名:ブロマゼパム)、ワイパックス(一般名:ロラゼパム)などがあります。

 

不眠症・不安症状(パニック障害)とADHDを併発している患者さんはたくさんいます。そのため、睡眠薬や抗不安薬とインチュニブを併用することはよくあります。ただ、その鎮静作用には注意すべきということです。

 

アルコール(お酒)と一緒にインチュニブを服用することについては、当然ながら推奨されません。アルコールも鎮静作用があるため、インチュニブとの併用で作用増強を招く恐れがあります。そのため、飲酒後の服用などでは薬の効果が強く表れないか確認しながら薬を使用する必要があります。

 

ちなみに、睡眠薬の治療薬ではロゼレム(一般名:ラメルテオン)という薬があります。この薬は体内時計(メラトニン)に作用する薬であり、脳機能を抑制させる薬ではないので飲み合わせはありません。

 

また、抗てんかん薬として知られるデパケン・セレニカ(一般名:バルプロ酸ナトリウム)も飲み合わせがあります。併用によってデパケン・セレニカの血中濃度の上昇を招いたという報告があります。

 

高齢者への使用

 

ADHDは子供に多いですが、成人(大人)であってもADHDに悩んでいる人は存在します。ADHDは発達障害の一つとして考えられており、アスペルガー症候群などと併発していることもあります。

 

インチュニブによってアスペルガー症候群が改善することはないものの、ADHDに対しては効果を示します。このとき、大人のADHDについてもインチュニブは作用を示します。

 

ただ、日本ではいまのところ小児だけの適応になるため高齢者を含め大人が使用するケースは少ないです。

 

また、高齢者では生理機能が低下しているため、一般的に薬の作用が表れやすくなっています。インチュニブは肝臓や腎臓の両方で代謝・排泄されるため、特に肝機能や腎機能が悪化している人は服用注意です。

 

なお、基本的には毎日服用する薬ですが、薬を長期服用する場合は定期的に薬の有用性を再評価して漫然と投与しないように注意する必要があります。

 

小児(子供)への使用

 

主に小児に対して用いられる薬がインチュニブ(一般名:グアンファシン)です。

 

ただ、投与する子供の年齢には注意する必要があります。前述の通り、低出生体重児、新生児、乳児など6歳未満の小児に対してはインチュニブを使用することによる安全性は確立されていません。基本的には6歳以上の子供に使用する薬です。

 

なお、子供にインチュニブを過剰投与した場合、低血圧、徐脈、投与初期の一過性(一時的な)高血圧、嗜眠(しみん:眠ったような状態になり、強い刺激を与えないと起きないこと)、呼吸抑制などを起こします。

 

透析によってインチュニブ(一般名:グアンファシン)の有効成分を除去することはできませんが、過剰投与のときは胃洗浄や活性炭の投与が有効なケースがあります。

 

妊婦・授乳婦への使用

 

妊娠中の方がインチュニブ(一般名:グアンファシン)を使用することについて、禁忌なので服用してはいけません。妊娠している可能性のある人を含め、インチュニブは禁忌なので使用を中止する必要があります。

 

ヒトへの影響は不明ですが、動物実験(マウス)では大量投与することによって催奇形性(外脳症,脊椎破裂症)が報告されています。

 

授乳中の人についても、基本的には服用を避けるのが望ましいです。授乳中の方がインチュニブを服用することによる赤ちゃんへの影響は分かっていませんが、一般的には断薬するか授乳を避けるかのどちらかを選択します。

 

なお、男性についてはインチュニブを服用していても胎児に影響が表れることはありません。

 

 

インチュニブ(一般名:グアンファシン)の効果発現時間

 

実際にインチュニブ(一般名:グアンファシン)を服用したときの作用時間や効果発現時間はどのようになっているのでしょうか。

 

インチュニブを服用したとき、血中濃度(血液中の薬物濃度)が最高値に達するまで5時間かかります。また、半減期(薬の濃度が半分になるまでの時間)は18.4時間です。そのため、薬を服用して24時間以上の効果を得ることができます。

 

定常状態(薬の作用を安定して得られる状態)になるまでには5日ほどの時間が必要です。

 

脳に働きかける薬であるため、即効性があるわけではありません。薬の効果を得られるまでには、何日かの時間が必要です。

 

類似薬との違い

 

ADHDの治療薬には他にも種類があります。例えば、中枢神経刺激薬としてコンサータ(一般名:メチルフェニデート)があります。メチルフェニデートはナルコレプシー(急に眠たくなる病気)の治療薬として、リタリンという商品名でも活用されています。

 

リタリンの有効成分を少なくさせ、有効成分が徐々に溶け出すようにした薬がコンサータです。脳内に作用することでドパミンやアドレナリン量を増やし、ADHDを改善します。

 

ただ、中枢神経(脳や脊髄)を刺激するリタリン・コンサータには依存性や耐性を生じるリスクがあります。

 

他には、非中枢神経性のADHD治療薬としてストラテラ(一般名:アトモキセチン)があります。コンサータのような覚せい作用はなく、依存性や耐性も問題ないものの、コンサータに比べると作用が穏やかなので効果を得るためには何日もの服用が必要です。

 

ストラテラは脳内のノルアドレナリン量を増やすことによって、学校や社会生活での行動を改善させます。不注意、多動性、衝動性のすべてに対して効果を示します。

 

一方でインチュニブ(一般名:グアンファシン)は覚せい作用のない非中枢神経性の薬です。前述の通りADHDの中でも、過剰な活動性、衝動性、攻撃的行動を抑制します。

 

ちなみに、以前ではナルコレプシー治療薬としてベタナミン(一般名:ペモリン)が用いられ、ADHDの治療にも応用されていました。しかし、現在では肝障害の副作用からあまり利用されていません。

 

統合失調症治療薬との併用

 

ADHDの症状を抑えるとき、統合失調症治療薬を利用することがあります。統合失調症治療薬には鎮静作用があり、これによってADHDによる多動や衝動性を抑制します。

 

インチュニブ(一般名:グアンファシン)の作用は「ADHDによる攻撃性を抑えること」であるため、効果が不十分な場合は統合失調症治療薬と併用して様子をみます。こうした薬にはリスパダール(一般名:リスペリドン)、ジプレキサ(一般名:オランザピン)などがあります。

 

また、リスパダールやジプレキサなどよりも穏やかな作用を示す統合失調症治療薬にエビリファイ(一般名:アリピプラゾール)があります。エビリファイは双極性障害(躁うつ病)やうつ病の治療にも活用されます。

 

ちなみに、これら統合失調症治療薬の薬には、副作用として体重増加(太る)があります。

 

抗うつ薬との併用

 

また、ADHD患者ではうつ病を併発していることがあります。他の人たちと仲良くなれなかったり社会生活に溶け込むことができなかったりして、抑うつ状態を招いてしまうのです。こうしたとき、インチュニブと抗うつ薬を併用することがあります。

 

うつ病の治療ではSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が多用され、SSRIにはパキシル(一般名:パロキセチン)、ルボックス・デプロメール(一般名:フルボキサミン)、レクサプロ(一般名:エスシタロプラム)などが知られています。

 

他には、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)として知られるサインバルタ(一般名:デュロキセチン)、トレドミン(一般名:ミルナシプラン)もうつ病治療で活用されます。

 

最初は抗てんかん薬として開発されたものの、現在では双極性障害の治療で活用されるラミクタール(一般名:ラモトリギン)との併用も行われます。

 

ADHD治療薬であるストラテラはノルアドレナリンの作用を強めることから、作用機序が重なるサインバルタやトレドミンとは併用注意です。

 

なお、インチュニブ(一般名:グアンファシン)の副作用に抑うつがあるため、薬の使用によってうつ病の症状悪化をもたらすことがあります。また、攻撃性を緩和する目的でインチュニブを使用するため、抑うつ状態にある人にインチュニブを用いる機会は比較的少ないです。

 

このようにインチュニブの特徴や働きについて解説してきました。インチュニブはADHDの標準治療薬として世界で広く活用されている薬です。血圧低下などの副作用に注意する必要はあるものの、ADHDによる攻撃性を抑える薬として用いられています。

 

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