アジルバ(アジルサルタン)の作用機序:高血圧治療薬
高血圧を治療する薬の中でも、アンジオテンシンⅡ受容体阻害薬(ARB)と呼ばれる種類の薬が多用されます。
この薬の中でも、7番目に発売されたARBとしてアジルサルタン(商品名:アジルバ)があります。
血圧を下げたり、腎臓を保護したりする働きから高血圧治療薬として多用されているアンジオテンシンⅡ受容体阻害薬(ARB)ですが、この中でもアジルサルタンは最も血圧を下げる作用が強い薬とされています。
アンジオテンシンⅡ受容体阻害薬(ARB)の作用機序
高血圧を治療する時の概念はとても単純です。それは、「血圧を上昇させる物質を作用させないようにすれば良い」というだけです。
血圧を上昇させる物質が存在するために、血圧が上がってしまいます。そこで、この血圧上昇に関わる物質を阻害してしまうのです。すると、血圧が下がります。この時、血圧上昇に関わる物質の一つとしてアンジオテンシンⅡという物質があります。
そのため、このアンジオテンシンⅡの作用を弱めることができれば、「血圧上昇の逆」として血圧を下げることができます。
アンジオテンシンⅡはアンジオテンシンⅡ受容体に作用することで効果を発揮します。つまり、このアンジオテンシンⅡ受容体を阻害すれば、アンジオテンシンⅡの作用が無効化されるため、血圧を下げられることが分かります。
このように、血圧上昇に関わるアンジオテンシンⅡの受容体を阻害し、これによって血圧を下げる薬がアジルサルタン(商品名:アジルバ)です。このような作用をする薬を総称してアンジオテンシンⅡ受容体阻害薬(ARB)と呼びます。
高い降圧効果を示すアジルサルタン
臨床試験を行うときでも、従来のアンジオテンシンⅡ受容体阻害薬(ARB)はアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)と呼ばれる種類の薬との比較でした。それに対して、アジルサルタンは同じARBであるカンデサルタン(商品名:ブロプレス)と比較して臨床試験を行なっています。
カンデサルタンはARBの中でもシェアの高い医薬品ですが、この薬と比べても「アジルサルタンは有意に血圧を下げる作用が強い」という事が分かっています。また、副作用などの安全性に関しては、同程度というデータも得られています。
効果の違いですが、カンデサルタン8mgよりもアジルサルタン20mgの方が強い作用を得ることができます。また、カンデサルタン12mgよりもアジルサルタン40mgの方が血圧を下げる作用は有意に高いです。
アジルサルタンの降圧効果が強い理由としては、いくつかあります。1つ目に「体内に効率よく吸収される」という事があります。
服用した薬が全て体の中に吸収される事はほとんどありません。薬は腸から吸収されて肝臓を通り、そこでようやく全身を巡るようになります。そのため、服用した薬の内で「どれだけの割合で腸から吸収されたか」を確認する必要があります。
これを見てみると、全体の服用量の中でカンデサルタンは42.3%が腸から吸収されるのに対し、アジルサルタンは75%が腸から吸収されて利用されることが分かっています。
また、降圧効果が高い2つ目の理由として「組織への移行性が高い」という事があります。
薬が吸収されたとしても、その薬が目的とする組織に作用しなければ意味がありません。例えば、血圧を下げる薬であれば、心臓や血管に作用しなければ血圧を下げることができません。
これを踏まえた上で、アジルサルタンはカンデサルタンよりも効率よく心臓や動脈などに移行することが分かっています。
このような特徴によって、それまでのARBに比べて「血圧を下げる作用が最も強い薬」と期待されている薬がアジルサルタン(商品名:アジルバ)です。
なお、アジルサルタン(商品名:アジルバ)とカンデサルタン(商品名:ブロプレス)の構造式を比較した図を以下に載せています。
この中でも、緑の枠の部分がとても重要になります。緑の枠で囲った部分の構造が違うだけで、それまで以上の血圧を下げる新薬になるのです。
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