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役に立つ薬の情報~専門薬学

サムスカ(トルバプタン)の作用機序:心不全治療薬

 

心臓の働きが弱くなり、血液を十分に送り出せない状態を心不全といいます。心不全では血流が滞り、全身の臓器に水分がたまることで浮腫が起こります。

 

そこで、心不全による体液の貯留(浮腫)を改善する薬としてトルバプタン(商品名:サムスカ)が使用されます。トルバプタンはバソプレシンV2受容体阻害薬と呼ばれる種類の薬になります。

 

また、肝硬変によって浮腫が引き起こされることもあり、この状態に対してもトルバプタン(商品名:サムスカ)を使用します。

 

 トルバプタン(商品名:サムスカ)の作用機序
心不全によって心臓の収縮力が弱いと、全身へ十分に血液を送り出せません。これは、心臓に血液がなかなか戻ってこないということも意味しています。つまり、全身に水分がたまります。

 

静脈にたくさんの水分(血液)がたまると、その分だけ圧力(血圧)が高くなります。その結果、各臓器の細胞に水分が貯留してしまいます。この状態が浮腫です。体内への水分の貯留により、肝腫大や下肢浮腫、肺うっ血などが引き起こされます。

 

また、肝硬変によって肝臓の機能が低下すると、アルブミンと呼ばれるタンパク質の合成が少なくなります。血液中のタンパク質が減るため、浸透圧の関係で水分が血液中からそれぞれの細胞へと移行しやすくなります。

 

そのため、肝硬変を発症すると手足がむくんだり、腹に水がたまったりします。そこで、体内にたまっている水分を尿として排泄させ、浮腫を改善させるのです。

 

尿は腎臓で作られます。血液が腎臓を通るとき、ろ過することで血液中から老廃物を排除します。この時に作られる原尿は1日に150リットルにもなるといわれています。

 

しかし、これだけの水分を排出しては生命維持ができないため、腎臓でろ過されたときの水分は再び体内へと吸収されます。これを、再吸収と呼びます。

 

腎臓でろ過された物質が膀胱へたどり着くためには、尿管を通る必要があります。この尿管の中でも、膀胱側には「集合管」と呼ばれる部位があります。この集合管で水分の再吸収が行われます。

 

 サムスカ(トルバプタン)の作用機序

 

つまり、集合管での水分吸収を阻害すれば、その分だけ膀胱に水分が流れることになります。尿の量が増えて体内の水分をたくさん出すことができるため、体内に貯留している水分も少なくなります。

 

そして、集合管に存在し、水分の再吸収に関わる受容体にバソプレシンV2受容体があります。この受容体を阻害すれば、水分の吸収が起こらなくなります。その結果、尿量を増やすことで体内に貯留している水分の排出が可能になります。

 

このような考えにより、心不全や肝硬変による浮腫を改善する薬がトルバプタン(商品名:サムスカ)です。尿をたくさん出させる作用を「利尿」と呼び、利尿作用を有する薬を利尿薬と呼びます。

 

 トルバプタン(商品名:サムスカ)の特徴
従来の利尿薬は水を排泄すると共にナトリウムやカリウムなどの電解質まで排泄するという性質をもっていました。そのため、副作用として低ナトリウム血症や低カリウム血症などが問題となりました。電解質の低下だけでなく、降圧作用によってめまいやふらつきなどの副作用を引き起こすこともあります。

 

そこで、従来の利尿薬の増量・追加が難しい患者さんに対して、他の作用機序によって利尿作用を有する薬として開発された薬がトルバプタン(商品名:サムスカ)です。

 

バソプレシンV2受容体を阻害するため、トルバプタンは電解質に影響を与えずに水分だけを排泄することができます。

 

トルバプタンは他の利尿薬に追加投与することでも、優れた利尿作用を有する薬です。この時の追加投与によっても、血液中の電解質を低下させないことが分かっています。

 

また、肝硬変によってタンパク質の一種であるアルブミンが作られない状態(低アルブミン血症)の患者さんに対しても、トルバプタン(商品名:サムスカ)は優れた利尿効果を有することが示されています。

 

ただし、水分をたくさん出す作用のため、主な副作用としては口渇(口の中が渇く)や頻尿などが知られています。

 

このような特徴により、心不全や肝硬変に伴う体液の貯留(浮腫など)を改善する薬がトルバプタン(商品名:サムスカ)です。

 

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