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役に立つ薬の情報~専門薬学

ナウゼリン(ドンペリドン)の作用機序:消化管運動改善薬

 

慢性胃炎によって腹痛や胸焼けが起こったり、抗がん剤の副作用によって悪心・嘔吐が起こったりすると、生活の質が落ちてしまいます。

 

そこで、これらの消化管に関わる症状を抑える薬としてナウゼリン(一般名:ドンペリドン)が使用されます。ナウゼリンはD2受容体阻害薬と呼ばれる種類の薬になります。

 

ナウゼリン(一般名:ドンペリドン)の作用機序

 

胃の動きが停滞してしまうと、腹部膨満や上腹部不快感を引き起こします。胃炎が起きていると、腹痛なども感じるようになります。

 

これを改善するためには、胃の動きを活発にすることで胃の中に溜まった食物を素早く排出させる方法があります。消化管の運動(蠕動運動など)を活発にさせることにより、様々な消化管症状を改善させるのです。

 

このとき、消化管運動を刺激する物質としてアセチルコリンがあります。アセチルコリンが作用することにより、胃の運動が活発になって食物の排出が促進されます。

 

食事中など、私たちが体を休めている時は唾液が多量に分泌され、胃や腸の動きが激しくなります。これは、アセチルコリンが作用することによって起こっています。つまり、アセチルコリンの働きを強めることができれば、消化管の運動を改善させることができるようになります。

 

アセチルコリンによる消化管運動の改善

 

そして、このアセチルコリンの分泌を抑制している受容体としてD2受容体(ドパミン2受容体)があります。D2受容体が刺激されると、アセチルコリンの放出が抑制されます。

 

つまり、D2受容体を阻害することができれば、アセチルコリンの分泌を促すことで消化管運動を活発にすることができます。

 

このような考えにより、消化管に存在するD2受容体を阻害することでアセチルコリンの分泌を促し、胃や腸の運動を改善させる薬がナウゼリン(一般名:ドンペリドン)です。

 

ナウゼリン(一般名:ドンペリドン)の特徴

 

ナウゼリン(一般名:ドンペリドン)は消化管に作用することで胃や腸の動きを改善させますが、ドンペリドンは脳に存在する嘔吐中枢に対しても作用する働きがあります。

 

嘔吐中枢が刺激されると、嘔吐を引き起こすようになります。そして、この嘔吐中枢の近くにはCTZ(化学受容器引き金帯)と呼ばれる部位があります。

 

CTZが刺激されると、嘔吐中枢にも刺激が伝わって嘔吐が引き起こされます。モルヒネの副作用として嘔吐がありますが、これはモルヒネがCTZを刺激するために起こります。より詳しく言えば、CTZに存在するD2受容体が刺激されると、嘔吐中枢にシグナルが伝わります。

 

つまり、CTZに存在するD2受容体を阻害することができれば、嘔吐中枢へのシグナル伝達を阻害するために嘔吐を抑制できることが分かります。ナウゼリン(一般名:ドンペリドン)はCTZに対しても作用するため、強い制吐作用があります。

 

抗がん剤の副作用としても嘔吐があり、これは血液中の抗がん剤が直接CTZを刺激するために吐き気が起こります。ナウゼリンはこれら抗がん剤による嘔吐の抑制に対しても使用されます。

 

ナウゼリン自体は脳内への移行するための関門(血液脳関門)を通過しにくいため、脳に対する作用は少ないです。ただし、嘔吐中枢を刺激するCTZは血液脳関門の外にあるため、ナウゼリンによって問題なく嘔吐を抑制することができます。

 

また、ナウゼリンは脳内への移行性が低いために、D2受容体阻害薬で問題となる中枢(脳・脊髄)に対する作用やホルモン系の異常が少ない薬でもあります。このような特徴によって消化管運動を改善し、嘔吐を抑制する薬がナウゼリン(一般名:ドンペリドン)です。

 

 

ナウゼリン(一般名:ドンペリドン)の効能効果・用法用量

 

悪心・嘔吐(吐き気)、食欲不振、腹部膨満、上腹部不快感、腹痛、胸やけ、ゲップと多くの消化器症状に対してナウゼリン(一般名:ドンペリドン)が利用されます。

 

慢性胃炎や胃下垂症、逆流性食道炎、胃切除後の症状、抗がん剤による副作用などで上記の症状が起こるため、ナウゼリンの投与によって症状を和らげます。

 

・成人(大人)でのナウゼリン

 

ナウゼリンを服用するとき、成人(大人)では1回ナウゼリン10mgを1日3回食前に服用します。ただし、パーキンソン病治療薬であるネオドパストン・メネシット(一般名:レボドパ、カルビドパ)などのレボドパ製剤を投与している人の場合、ナウゼリン1回5~10mgを1日3回食前に服用します。

 

食前に服用するのは、消化管の活動を高めるためです。食後や空腹時(食間)に薬を飲んでもいいですが、薬を服用する意味が薄くなってしまいます。

 

特に吐き気のある人の場合、食後では嘔吐と共に薬を吐き出してしまうことがあります。そのため、食前に服用します。食前は「食事の30分前」を指します。

 

なお、空腹感による吐き気があったり、気分の悪さによって絶食したりしているときなど特別な理由がある場合、頓服などで空腹時(食間)にナウゼリンを使用することがあります。

 

錠剤や粉薬を含め飲み忘れがあった場合、服用せずに次回に飲むようにします。2回分を服用したり、4~6時間の間隔をあけずに自己判断で追加投与したりしてはいけません。

 

・小児(子供)でのナウゼリン

 

小児(子供)に使用する場合、ナウゼリン1日1.0~2.0mg/kgを1日3回に分けて食前に経口投与します。年齢や体重、症状にあわせて減量や増量を行っていきます。このとき、小児へ使用するときは1日の投与量が30mg(大人の投与量)を超えないようにします。

 

また、6歳以上の子供の場合、1日最高用量は1.0mg/kgまでです。ただ、このときも1日の投与量が30mg(30kg以上の子供の場合)を超えてはいけません。

 

例えば体重35kgの場合、1日投与量は35mgではなく「1日30mgを3回に分けて服用していく」ようになります。

 

ナウゼリンには5mgと10mgがあります。このときは普通錠とOD錠(水なしで服用できる薬)を選ぶことができます。また、細粒1%やドライシロップ1%(粉薬)、坐剤などの剤形もあります。

 

患者さんによっては錠剤の一包化や半錠、粉砕などによって投与することがあります。ナウゼリンは一包化や粉砕をしても問題ない薬であり、簡易懸濁法を実施しても問題ありません。

 

・ナウゼリン坐剤の使用方法

 

なお、坐剤(座薬)を用いる場合、大人では1回60mgを1日2回、直腸内に投与します。吐き気など口からの服用が困難な場合、ナウゼリン坐剤を使用します。

 

また、小児に対して座薬を挿入する場合は以下のようになります。

 

・3歳未満:1回10mgを1日2~3回直腸内に投与
・3歳以上:1回30mgを1日2~3回直腸内に投与

 

ナウゼリン坐剤を子供に使用する場合、体重や年齢、症状に応じて減量や増量を行います。ナウゼリン坐剤は乳幼児下痢症、上気道感染症、抗がん剤による副作用などによる消化器症状を軽減します。薬が苦くて飲めないときや吐き気のあるときなどであっても、座薬であれば問題なく使用できます。

 

座薬は体温で溶けるように設計されているため、冷蔵庫など冷所で保存します。真夏に室温保存していると、溶けてしまうので涼しい場所で保存する必要があります。

 

ナウゼリン(一般名:ドンペリドン)の副作用

 

ナウゼリンを服用したとき、副作用を生じることがあります。主な副作用としては下痢、便秘、胸やけ、嘔吐、乳汁分泌、女性化乳房、眠気、発疹・薬疹などがあります。

 

その他、腹部圧迫感、口渇、腹痛、腹部膨満感、動悸、じんましん、かゆみ、発汗、めまい・ふらつき、肝機能異常、QT延長(不整脈)などが知られています。

 

眠気、めまい・ふらつきなどの副作用があることから、自動車運転を含め危険作業を伴う作業のときは副作用が表れないか観察しながら使用する必要があります。

 

ナウゼリンの主作用であるドパミンD2受容体の阻害作用について、脳内のD2受容体を阻害することでプロラクチンというホルモンの分泌が活発になります。そのため、ナウゼリンの副作用にプロラクチン上昇があります。

 

プロラクチンは乳汁ホルモンと呼ばれ、産後に分泌されるホルモンです。そのため、プロラクチン分泌の増加によって女性化乳房、乳汁分泌(母乳が出る)、乳房膨満感、月経異常などの副作用を生じるようになります。

 

生理痛による吐き気を抑えるためにナウゼリンを活用することはあるものの、生理が遅れるなど生理不順の副作用があるのです。プロラクチンはホルモンの一つであるため、ホルモンバランスが崩れることがあります。

 

重大な副作用にはショック症状やアナフィラキシー症状があります。発疹、発赤、呼吸困難、血圧低下、浮腫(むくみ)、動悸、倦怠感などの症状が表れたら薬の使用を中止します。

 

錐体外路症状も重大な副作用です。パーキンソン病による症状として表れるものが錐体外路症状であり、このときは筋硬直や振戦(手足のふるえ)、アカシジア(手足のむずむず)などがあります。

 

ナウゼリンの投与によってこうした症状が表れた場合は投与を中止し、抗パーキンソン病薬を服用するなど適切な処置が必要です。

 

また、意識障害やけいれんを起こすことがあります。肝機能障害や黄疸も重大な副作用なので、これらの異常が表れた場合は使用を中止します。

 

ナウゼリン(一般名:ドンペリドン)の禁忌や飲み合わせ(相互作用)

 

ナウゼリン(一般名:ドンペリドン)には禁忌の患者さんがいます。これには、消化管出血、腸閉塞(イレウス)、消化管穿孔(腸などに穴のある患者)などがあります。胃・腸に出血や穴、閉塞がある場合、消化管運動を活発にさせると症状の悪化を招く恐れがあります。

 

また、プロラクチンは下垂体と呼ばれる部位から分泌されますが、下垂体腫瘍によってプロラクチンの分泌が過剰になっている人(高プロラクチン血症の人など)にも投与禁忌です。

 

併用禁忌の薬については、ナウゼリンは設定されていません。ただ、併用注意の薬(飲み合わせに注意すべき薬)はいくつかあります。

 

・統合失調症の薬

 

まず、統合失調症の治療薬と併用しても問題ありませんが、一部の薬は併用注意となっています。統合失調症では脳内のドパミンD2受容体を阻害する作用があるため、併用によってプロラクチンの異常や錐体外路障害を生じやすくなります。

 

統合失調症治療薬の中でもフェノチアジン系であるコントミン、ウインタミン(一般名:クロルプロマジン)、ノバミン(一般名:プロクロルペラジン)やブチロフェノン系のセレネース(一般名:ハロペリドール)とは併用注意です。

 

ただ、同じ統合失調症治療薬であっても系統が異なるリスパダール(一般名:リスペリドン)、ドグマチール(一般名:スルピリド)、エビリファイ(一般名:アフィピプラゾール)などの薬とは飲み合わせがありません。

 

・抗コリン薬

 

抗コリン薬との併用については、お互いに薬の作用を減弱させることがあります。ナウゼリンはアセチルコリンと呼ばれる物質の作用を強めることで効果を発揮します。一方で抗コリン薬には「アセチルコリンの作用を弱める働き」があります。

 

抗コリン薬には胃腸のけいれんを鎮めるブスコパン(一般名:ブチルスコポラミン)、チアトン(一般名:チキジウム)、セスデン(一般名:チメピジウム)などがあります。

 

・胃薬

 

胃酸分泌を抑えることで、胃潰瘍や胃痛、逆流性食道炎を治療する薬ともナウゼリンは併用注意です。胃酸過多が改善されると胃内のpHが上昇するようになり、ナウゼリンの吸収が阻害されるからです。

 

こうした胃酸分泌を抑える薬にはH2ブロッカーとして知られるガスター(一般名:ファモチジン)があります。

 

また、プロトンポンプ阻害薬(PPI)のタケプロン(一般名:ランソプラゾール)、パリエット(一般名:ラベプラゾール)、ネキシウム(一般名:エソメプラゾール)も多用されます。さらに強力に胃酸分泌を抑えるタケキャブ(一般名:ボノプラザン)などもあります。

 

ただ、併用注意ではあっても胃酸分泌を抑制する薬とナウゼリンは頻繁に併用されます。

 

なお、胃酸分泌の抑制ではなく、胃薬の中でも胃粘膜保護によって胃痛や胸やけを改善するムコスタ(一般名:レバミピド)、セルベックス(一般名:テプレノン)などとは飲み合わせはありません。

 

消化管運動を活発にさせるガスモチン(一般名:モサプリド)、ガナトン(一般名:イトプリド)、アコファイド(一般名:アコチアミド)とも併用は問題なく、漢方薬の六君子湯(りっくんしとう)ともよく一緒に用いられます。

 

おならやお腹の張りをとるガスコン(一般名:ジメチコン)との飲み合わせもありません。

 

・肝代謝酵素による飲み合わせ

 

ナウゼリンには肝臓の代謝酵素が関わる飲み合わせがあります。ナウゼリンの代謝は主に肝臓で行われ、このときはCYP3A4という酵素が関わっています。

 

薬の中には、CYP3A4の働きを阻害する薬があります。こうした薬とナウゼリンを併用すると、ナウゼリンの代謝が進みにくくなります。その結果、ナウゼリンの血中濃度(血液中の薬物濃度)が上昇してしまい、副作用が表れやすくなります。

 

肝代謝酵素CYP3A4を阻害する薬としては、例えばイトリゾール(一般名:イトラコナゾール)、クラリス・クラリシッド(一般名:クラリスロマイシン)、エリスロシン(一般名:エリスロマイシン)などの感染症治療薬があります。

 

特に抗生物質エリスロシン(一般名:エリスロマイシン)と併用したとき、不整脈(QT延長)の副作用が報告されています。

 

ただ、同じ抗菌薬(抗生物質)であってもクラビット(一般名:レボフロキサシン)、フロモックス(一般名:セフカペン)、メイアクト(一般名:セフジトレン)、ミノマイシン(一般名:ミノサイクリン)、パセトシン・サワシリン(一般名:アモキシシリン)などの薬は肝代謝酵素CYP3A4が大きく関わらないため、飲み合わせはありません。

 

抗生物質は風邪や膀胱炎、髄膜炎と多くの場面で活用されます。抗生物質とナウゼリンを併用するとき、可能なら飲み合わせのない抗生物質を選択します。

 

なお、抗インフルエンザ薬であるタミフル(一般名:オセルタミビル)、イナビル(一般名:ラニナミビル)、リレンザ(一般名:ザナミビル)などとの飲み合わせは問題ありません。

 

ただ、グレープフルーツジュースは肝代謝酵素CYP3A4を阻害するため、こうしたジュースと併用するとナウゼリンの副作用が表れやすくなります。

 

ちなみに、アルコール(お酒)と一緒にナウゼリンを服用することについては、当然ながら推奨はされません。ただ、ナウゼリンを服用後に飲酒をしても問題ないとされています。

 

ストレスや緊張、自律神経の異常によって吐き気があったとしても、接待をしなければいけない場面など、社会人であると大人の事情が出てきます。そうしたとき、飲酒前にナウゼリンが活用されます。

 

高齢者への使用

 

吐き気を含め、高齢者で消化器症状を引き起こすケースはたくさんあります。そのため、高齢者に対してナウゼリン(一般名:ドンペリドン)を活用することはたくさんあります。

 

ただ、一般的に高齢者では生理機能が低下しています。そのため、副作用の出現に注意する必要があります。特にナウゼリンは肝臓の代謝酵素によって不活性化されるため、肝機能が低下している方では副作用が表れやすくなります。

 

一方で透析患者など、腎機能障害者では健常人と同じ量の薬を投与しても問題ありません。

 

小児(子供)への使用

 

ナウゼリン(一般名:ドンペリドン)は小児に対して頻繁に活用されます。感染性胃腸炎(胃腸風邪)やウイルス性胃腸炎(ノロウイルス、ロタウイルス)、インフルエンザなど、感染症による吐き気止め・嘔吐への薬として、小児科などでナウゼリンが処方されることは多いです。

 

ただ、子供では副作用が表れないかどうかに注意しながら活用しなければいけません。錐体外路症状、意識障害、けいれんなどの副作用が表れやすいのです。脱水時や発熱時では特に用量に注意して投与する必要があります。

 

ナウゼリンを過剰投与したとき、錐体外路症状、めまい、見当識障害(今日は何日か、いま自分は誰と話しているのかなどが分からなくなる)などの症状が表れます。こうした症状は小児で起こりやすいとされています。

 

また、3歳以下の乳幼児の場合、7日以上の連用を避けます。また、1歳以下の赤ちゃん(乳児)のときは同じように7日以上の連用を避け、用量については細心の注意を払うようにします。

 

妊婦・授乳婦への使用

 

妊娠中の方については、ナウゼリン(一般名:ドンペリドン)を使用してはいけません。ナウゼリンは妊婦に対して禁忌に設定されています。そのため妊娠中に限らず、妊娠を希望している人も避けるようにしましょう。

 

ただ、気づかずに服用してしまったり、後になって妊娠が発覚したりするケースはあります。過去には妊娠に気づかずナウゼリンを服用していたケースがありますが、このとき調査対象となった6人について、いずれも奇形などはなく正常な赤ちゃんが出産されたという報告があります。

 

禁忌であるために妊娠初期から妊娠後期に至るまで服用してはいけない薬であるため、妊婦に使用された報告は少ないものの、妊娠初期での服用を含め催奇形性のリスクは低いと考えられています。したがって、胎児への影響は少ないため妊娠継続は問題ありません。

 

授乳中の方にナウゼリンを用いることについては、問題なく使用することができます。母親がナウゼリンを服用したとき、乳児が摂取するナウゼリンは「母親が服用した量の0.1%以下」だとされています。

 

微量の薬が母乳に移行するだけのため、授乳中であっても安心して赤ちゃんに母乳を与えることができます。また、ナウゼリンは赤ちゃんにも使用できる薬であることから、微量の薬が赤ちゃんの口に入ることは問題ありません。

 

 

ナウゼリン(一般名:ドンペリドン)の効果発現時間

 

ナウゼリンを服用したとき、どれくらいの作用時間や効果発現時間になっているのでしょうか。

 

ナウゼリン(一般名:ドンペリドン)の血中濃度(血液中の薬物濃度)が最高値に到達するのは約1時間です。半減期(薬の濃度が半分になる時間)は10~12時間です。

 

薬を服用して30分ほどで薬の作用が表れるため、即効性のある薬です。食前に服用することにより、吐き気を抑えたうえで食事することができます。吐き気を生じているときだけ、頓服で用いることもあります。

 

効果持続時間は4~6時間ほどです。そのため、薬を服用するときの間隔としては、4~6時間ほど経過すれば問題ありません。普通錠とOD錠については、作用時間などはほとんど変わりません。

 

一方、ナウゼリン坐剤として、座薬を使用するときは薬の効果が表れるまでに少し時間がかかります。ナウゼリン坐剤では血中濃度が最高値に達するまで2時間ほどかかり、半減期は約7時間です。

 

座薬では効果が表れるまでに1時間ほどかかります。また、効果持続時間は6~8時間ほどです。座薬よりも錠剤の方が効き目は早いです。

 

感染性胃腸炎などの嘔吐下痢症では、ナウゼリン坐剤を挿入した後に下痢によってトイレに行きたくなることがあります。この場合、すぐにトイレで排便すると薬の効果を得られませんが、挿入後30分以上経過している場合は問題ありません。

 

なお、ナウゼリンには細粒やドライシロップ(粉薬)などもあり、これらでは血中濃度が最高値に達するまで30分ほどであり、より早く薬の効果が出現します。

 

このように即効性を求めてナウゼリンを服用しますが、長期服用しても大きな問題になることは少ないです。ただ、前述の通り3歳以下の乳幼児に対しては7日以上の長期投与を避けます。

 

大腸内視鏡検査でのナウゼリン

 

大腸内視鏡検査のとき、ナウゼリン(一般名:ドンペリドン)を服用することがあります。ナウゼリンは胃腸を活発にさせ、嘔吐を抑えます。大腸検査時は腸内洗浄液を飲むことがあり、これを飲んだときに吐かないようにするのです。

 

大腸内視鏡検査のとき、事前に便を排泄することで腸内をキレイにしておく必要があります。そのため、内視鏡検査のときはプルゼニド(一般名:センノシド)、ラキソベロン(一般名:ピコスルファート)、マグミット・マグラックス(一般名:酸化マグネシウム)などの薬と併用することがあります。

 

薬の副作用を抑えるナウゼリン

 

抗がん剤など、薬によっては副作用として嘔吐を生じることがあります。そうしたとき、ナウゼリンを用います。

 

例えば、抗がん剤であるゼローダ(一般名:カペシタビン)やエルプラット(一般名:オキサリプラチン)などを用いるとき、吐き気や嘔吐に伴う倦怠感を予防するためにナウゼリン(一般名:ドンペリドン)やプリンペラン(一般名:メトクロプラミド)、ゾフラン(一般名:オンダンセトロン)などの薬を活用します。

 

また、抗うつ薬による吐き気を予防するためにもナウゼリンが処方されます。うつ病を治療するとき、SSRIやSNRIと呼ばれる種類の抗うつ薬が使用されます。

 

SSRIやSNRIとしてはルボックス・デプロメール(一般名:フルボキサミン)、パキシル(一般名:パロキセチン)、ジェイゾロフト(一般名:セルトラリン)、レクサプロ(一般名:エスシタロプラム)、サインバルタ(一般名:デュロキセチン)などがあります。

 

他には、統合失調症の治療薬であるエビリファイ(一般名:アリピプラゾール)には眠気やアカシジア、体重増加の他にも吐き気の副作用があり、これを抑えるために併用することがあります。つまり、薬の副作用による吐き気防止のために広くナウゼリンが用いられます。

 

病気に伴う吐き気にナウゼリンを用いる

 

当然、病気によって吐き気を生じたときにもナウゼリンが活用されます。吐き気を生じる場面は感染性胃腸炎(胃腸風邪)だけでなく、他にもたくさんあります。

 

・片頭痛、痛み

 

病気による吐き気としては、例えば片頭痛があります。片頭痛は女性に多い頭痛であり、脈拍に伴って強烈な痛みを生じます。片頭痛による痛みにより、吐き気を感じるほどになります。

 

そうしたとき、痛みを抑えるためにトリプタン製剤であるマクサルト(一般名:リザトリプタン)、ゾーミック(一般名:ゾルミトリプタン)、イミグラン(一般名:スマトリプタン)、レルパックス(一般名:エレトリプタン)、アマージ(一般名:ナラトリプタン)などの薬が活用されます。

 

トリプタン製剤を服用すれば片頭痛による発作時の痛みを軽減できます。このとき、片頭痛による吐き気を防止したいときは頓服などでナウゼリンを飲みます。

 

また、片頭痛が起こらないために予防する薬として抗てんかん薬のデパケン・セレニカ(一般名:バルプロ酸ナトリウム)やカルシウム拮抗薬ミグシス(一般名:ロメリジン)などを活用することがあります。こうした薬を服用中に片頭痛の発作が起こり、吐き気を生じたときでもナウゼリンを飲んで大丈夫です。

 

ちなみに頭痛薬としては、解熱鎮痛剤であるロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)、ボルタレン(一般名:ジクロフェナク)、ポンタール(一般名:メフェナム酸)、カロナール(一般名:アセトアミノフェン)、バファリン配合錠などを服用することがあります。

 

ただ、こうした薬は片頭痛の発作時の痛みには効果がありません。

 

これら解熱鎮痛剤は一般的な頭痛の他にも、風邪による発熱や生理痛の痛みを軽減するときに活用されます。そのためナウゼリンと併用する機会は多いですが、飲み合わせは問題ありません。

 

・めまいによる吐き気

 

めまいが原因で吐き気を生じることがあります。めまいが起こる病気としては、メニエール病が有名です。メニエール病ではめまいの他にも耳鳴りや難聴を引き起こします。

 

メニエール病の治療薬としてはメリスロン(一般名:ベタヒスチン)、セファドール(一般名:ジフェニドール)などの薬が多用されます。こうした抗めまい薬と共に、吐き気を予防するためにナウゼリンを服用します。

 

二日酔い、乗り物酔い(車酔い)に使用するナウゼリン

 

場合によっては、二日酔いや乗り物酔い(車酔い、船酔いなど)にナウゼリン(一般名:ドンペリドン)を経口投与することがあります。

 

アルコール(お酒)を大量に飲むことによって、頭痛や吐き気などを生じるようになります。また、食べ過ぎによって腹部膨満感を覚えているかもしれません。こうしたとき、吐き気を予防するためのナウゼリンは効果的です。ただ、嘔吐予防の薬であるため、頭痛に効くことはありません。

 

また、車酔いや船酔いなどの乗り物酔いに悩む人は多いです。このとき、CTZ(嘔吐に関わるスイッチ)に作用するナウゼリンを服用すれば吐き気には効果があります。

 

ただ、乗り物酔いの薬としてはトラベルミン(一般名:ジフェンヒドラミン、ジプロフィリン)があり、こちらの方が頻繁に乗り物酔いに用いられます。

 

トラベルミンに含まれるジフェンヒドラミンは抗ヒスタミン薬であり、アレルギー治療などに用いられます。ただ、この成分は嘔吐中枢を抑えることで吐き気を予防します。

 

また、目から入ってくる情報と耳での平衡感覚がズレると乗り物酔いを引き起こしますが、トラベルミンでは平衡感覚に関わる神経を鎮静化させます。これにより、ナウゼリンよりもトラベルミンの方が乗り物酔いに活用されます。

 

なお、人によっては飛行機など気圧の変化によって吐き気を生じることがあります。こうした飛行機による吐き気など、気圧が関わる場合もナウゼリンは有効です。

 

プリンペランとの違い

 

ナウゼリンと同じように吐き気に処方される薬としてはプリンペラン(一般名:メトクロプラミド)があります。ナウゼリンとプリンペランは作用機序が異なるため副作用に違いがありますが、活用法も少し変わってきます。

 

前述の通り、ナウゼリンは妊婦に禁忌です。そのため、妊婦に対して使用されることは原則ありません。

 

一方でプリンペランの場合、妊娠中の人であっても問題なく使用できることがわかっています。そのため、妊娠後期に起こる「つわりによる吐き気」に対してはプリンペランが使用されます。妊婦に禁忌である以上、つわりの吐き気止めにナウゼリンを使用することはありません。

 

ただ、実際に赤ちゃんが生まれた後はナウゼリンが活用されます。プリンペラン(一般名:メトクロプラミド)は有効成分が母乳中に移行しやすいため、授乳中の人はナウゼリンを服用するといいです。

 

なお、プリンペランは適応外処方でしゃっくり(吃逆)に使用されることがあります。ナウゼリンではなく、しゃっくりに活用されるのはプリンペランになります。

 

抗不安薬と一緒にナウゼリンを服用する

 

自律神経失調症、ストレス性胃腸炎などのように自律神経の乱れや精神不安によって吐き気を生じることがあります。また、自分や他人が吐くことに対して強い不安を覚えるものに嘔吐恐怖症があります。嘔吐恐怖症は一種のパニック障害だと考えられています。

 

こうしたとき、不安症状を和らげるために抗不安薬(精神安定剤)を活用します。

 

抗不安薬にはデパス(一般名:エチゾラム)、コンスタン・ソラナックス(一般名:アルプラゾラム)、リーゼ(一般名:クロチアゼパム)、レキソタン(一般名:ブロマゼパム)、ワイパックス(一般名:ロラゼパム)、メイラックス(一般名:ロフラゼプ酸)などがあります。

 

自律神経や不安症状を抑える抗不安薬とナウゼリンを併用することで、吐き気を防止することはよくあります。これについては、嘔吐恐怖症も同様です。

 

座薬同士の活用

 

ナウゼリンには座薬があり、場合によっては座薬を併用することがあります。ただ、内服薬とは違って座薬は一つずつしか挿入できません。こうしたとき、どのように薬を活用すればいいのでしょうか。

 

ナウゼリン坐剤と一緒に使用される薬としては、解熱鎮痛作用のあるアンヒバ坐剤(一般名:アセトアミノフェン)や熱性けいれんなどに用いるダイアップ坐剤(一般名:ジアゼパム)などがあります。

 

座薬を併用するとき、1つの座薬を入れた後に30分以上経過して挿入するようにします。

 

さらに、入れる順番にも注意します。座薬には水溶性基剤と脂溶性基剤の2種類があります。ナウゼリン坐剤とダイアップ坐剤は水溶性基剤であり、アンヒバ坐剤は脂溶性基剤です。このとき、「水溶性基剤 → 脂溶性基剤」の順番で使用しないと薬の効果が落ちてしまいます。

 

そのため、薬を使用するときは「ナウゼリン坐剤 → 30分以上あけてアンヒバ坐剤」「ダイアップ坐剤 → 30分以上あけてアンヒバ坐剤」という順番で服用していきます。

 

もし、先にアンヒバ坐剤などの脂溶性基剤を使用した場合、2時間以上の時間をあければナウゼリン坐剤などの水溶性基剤を活用しても問題ありません。

 

ナウゼリン坐剤とダイアップ坐剤については両方とも水溶性基剤ですが、けいれんなどの症状を抑えるために先にダイアップ坐剤を使用するケースが多くあります。

 

その他の薬との併用

 

吐き気は多くの人で問題となるため、ナウゼリン(一般名:ドンペリドン)は頻用される薬の一つです。そのため、他の薬と併用する機会が多いです。

 

こうしたとき、飲み合わせについて心配する人がいます。そこで、一般的な薬の中で飲み合わせが問題ない薬を以下に一部記します。

 

・風邪薬、抗アレルギー薬

 

解熱鎮痛剤:ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)、バファリン配合錠

 

鎮咳薬:アスベリン(一般名:チペピジン)、メジコン(一般名:デキストロメトルファン)

 

痰切り:ムコダイン(一般名:カルボシステイン)

 

抗ヒスタミン薬:ペリアクチン(一般名:シプロヘプタジン)、アレグラ(一般名:フェキソフェナジン)

 

漢方薬:葛根湯

・消化器疾患の薬

 

消化酵素剤:エクセラーゼ、マーズレン、ベリチーム

 

整腸剤:ラックビー、ビオフェルミン、ビオスリー、ミヤBM、レベニン

 

止瀉薬(下痢止めの薬):ロペミン(一般名:ロペラミド)

・ピル

 

低用量ピル:ルナベル

 

注用量ピル:ソフィアA、ソフィアC、ルテジオン

・睡眠薬

 

マイスリー(一般名:ゾルピデム)、レンドルミン(一般名:ブロチゾラム)

 

ナウゼリンによる飲み合わせ(相互作用)については、併用注意となる主な薬を既に解説しました。これらの薬に当てはまらなければ、ナウゼリンとの飲み合わせは問題ありません。

 

古くから活用されており、多くの人に用いられる薬がナウゼリン(一般名:ドンペリドン)です。ジェネリック医薬品(後発医薬品)も存在し、安い薬価で購入することもできます。

 

市販薬としては販売されていませんが、医療機関では赤ちゃんから高齢者まで広く活用されます。吐き気止めの薬としてナウゼリンは広く多用される医薬品の一つです。

 

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