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オングリザ(サキサグリプチン)の作用機序:糖尿病治療薬

 

糖尿病を放置すると、腎臓が悪くなったり失明に陥ったりします。血液中に含まれる糖分が多いことにより、さまざまな合併症が引き起こされるのです。

 

そこで、糖尿病を治療するためにDPP-4阻害薬と呼ばれる種類の薬が使用されています。このDPP-4阻害薬として日本で7番目に登場した薬がサキサグリプチン(商品名:オングリザ)です。

 

 

 DPP-4阻害薬の差別化は難しい
糖尿病治療薬の中でも、例えばSU剤であれば「効果の強さ」などによって差別化することができました。しかし、DPP-4阻害薬に関しては薬による作用の強さに変わりがありません。そのため、差別化が難しいです。

 

DPP-4阻害薬を種類によって区別するとすれば、例えば「服用回数」や「排泄経路(肝代謝 or 腎排泄)」などの違いくらいになります。そのため、どうしても最初の方に発売されたDPP-4阻害薬が使用されるようになります。

 

DPP-4阻害薬ではインクレチンと呼ばれるホルモンが大きく関わっています。インクレチンは血糖値を下げるインスリンの作用を強める働きがあります。DPP-4阻害薬はインクレチンの働きを強めることにより、間接的にインスリンの作用を増強させます。

 

DPP-4阻害薬の作用機序

 

つまり、DPP-4阻害薬の作用はあくまでもインクレチンを介したものになります。この時重要なのは「インクレチンの作用はその時の血糖値が大きく関与している」という事です。

 

※難しい言葉で表現すると、「インクレチンの作用は血糖値に依存して強まる」となります。

 

血糖値が高くなるほど、インスリンも分泌されるようになります。そのため、インクレチンによってインスリン分泌量を増やすためには、それと同時に血糖値も高くなければいけません。

 

 インクレチンの特徴

 

前述の通り、血糖値が高くなるとインクレチンの分泌が起こります。つまり、血糖値がある一定水準で保たれているならば、インクレチンによるインスリン分泌作用も一定に保たれている事が推測されます。

 

そのため、どれだけ「インクレチン分解に関わるDPP-4阻害薬をする」とは言っても、インクレチンの作用に限りがあります。このような理由から、DPP-4阻害薬で効果の差(薬の強さ)で差別化することが難しいです。

 

要は血糖値を下げる作用において、「DPP-4阻害薬による差」はほとんど見られないという事です。

 

 

DPP-4阻害薬の性質
実際、DPP-4阻害薬を「通常用量」と「2倍の用量」で投与した場合、血糖値(HbA1c)の低下に明らかな差がないと判断されています。簡単に考えれば、DPP-4阻害薬をどれだけ投与しても、その効果はある部分で頭打ちになるという事です。

 

 DPP-4阻害薬の血糖降下作用の違い

 

なお、「1日1回投与するDPP-4阻害薬」と「1日2回投与するDPP-4阻害薬」と投与方法に違いのある薬であっても、2つの薬の間に血糖降下作用(血糖値を下げる作用)に有意な差がない事が分かっています。

 

そのような中、日本で7番目のDPP-4阻害薬として発売されたサキサグリプチン(商品名:オングリザ)です。

 

サキサグリプチン(商品名:オングリザ)の特徴ですが、糖尿病の治療に関するガイドラインに基づいて臨床試験が行われています。また、発売時点からインスリン製剤を含めて他の全ての薬との併用が認められた薬となります。

 

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