薬剤師として働く場合、休みについてしっかりと考えることは重要です。休みが取れる職場でなければ、プライベートを充実できないからです。

これらプライベートについて考えるとき、非常に重要なものとして有給休暇(有休、有給)があります。

薬剤師は資格職であるため、一般的に代打となる薬剤師が少なくなる傾向にあります。そのため、結果として有給休暇を取得したくても取れない傾向が強くなります。そのため、いくら「有給あり」と書かれていたとしても、実際は有給を取得できないケースが多々あります。

しかし、これは職場の雰囲気によります。働く場所によっては、薬剤師でも問題なく休みを取れます。有給休暇は労働者の権利であるため、必ず利用しなければいけません。本当の意味で現実的に有給取得可能な職場を選ぶのです。

そこでどのように有給休暇を自由に取得できる求人を選び、転職すればいいのかについて解説していきます。

有給休暇(休み)は労働者の権利となる

薬剤師に限らず、正社員では全員に対して有給休暇が発生します。ただ、有給休暇の中身についてあまり理解していない薬剤師は多いのではと思います。私自身、当サイトのように転職サイトを運営するまでは何となく「知らない間に有給休暇が貯まっている」という状況でした。

具体的にどれくらい有給休暇が付与されるのかというと、これは法律で決められています。具体的には、以下のようになります。

  • 勤続6ヵ月:付与日数は10日
  • 勤続1年半:付与日数は11日
  • 勤続2年半:付与日数は12日
  • 勤続3年半:付与日数は14日
  • 勤続4年半:付与日数は16日
  • 勤続5年半:付与日数は18日
  • 勤続6年半:付与日数は20日

勤続6年半より後については、「1年経過ごとに20日の有給休暇が付与される」ことで固定されます。つまり、「勤続7年半:付与日数は20日」「勤続8年半:付与日数は20日」などのようになります。

例えば働いて半年経過すれば、その時点で10日の有給休暇を利用できるようになります。もし、有給休暇をまったく利用せずに勤続1年半が経過すれば、有給休暇11日が付与されて、合計21日の有給を使えるようになります。

・有給保持日数の最大は40日

なお、このとき有給休暇をどれだけ保持できるかというと、最大40日です。そのため、それ以上の有給休暇が貯まったとしても利用できなくなります。

例えば、有給休暇が付与されて合計46日になったとしても、6日分は切り捨てられて有給を利用できる権利は40日に減ってしまうのです。そのため、有給休暇を利用できないとそれだけ働き損になります。

パート・アルバイトや派遣も有休を取得できる

このとき勘違いしやすいものとして、「正社員でなければ有給を取得できない」と考えている人が多いことがあげられます。ただ、パート薬剤師や派遣薬剤師であっても問題なく有休をとることができます。

法律では、正社員と同じように有休を取れる人として以下のように定義しています。どちらか一方に当てはめれば、先ほどと同じ付与条件で有給休暇が加わるようになります。

  • 週の勤務日数が5日以上
  • 週の労働時間が30時間以上

そのため、たとえパートや派遣であったとしてもこのようにある程度の日数や時間を勤務しているのであれば、当然ながら有給休暇を取得できます。

・労働日数や時間が少なくても有給はある

それでは、週5日未満の勤務だったり、週30時間未満で働いていたりする場合はどうなのでしょうか。実は、こうした勤務時間の短いパート・アルバイトや派遣であっても問題なく有給休暇が付与されるように義務化されています。

どのように有給が付与されるかというと、以下のようになります。

勤務年数週4日勤務週3日勤務週2日勤務週1日勤務
6ヵ月7日5日3日1日
1年半8日6日4日2日
2年半9日6日4日2日
3年半10日8日5日2日
4年半12日9日6日3日
5年半13日10日6日3日
6年半15日11日7日3日

出典:厚生労働省

このように法律で定められています。パートや派遣であると、「その日は休ませてもらってもいいですか?」と聞く人がほとんどだと思います。

ただ、調剤薬局やドラッグストア、病院などである程度長く働いているのであれば、必ず何日もの有給休暇が貯まっているはずです。そこで、一般的な休みではなく有給にしてもらうのが適切です。週の勤務日数が少なかったとしても、パートや派遣で有休申請をためらっていてはいけません。

有給消化率は職場の雰囲気によって違う

有給休暇の付与は法律によって義務化されているため、たとえ就業規則に書かれていなかったとしてもすべての人が活用する権利があります。雇用者(調剤薬局や病院など)がこれを拒否することはできません。

しかしながら、有給休暇の利用が労働者の権利とはいって名ばかりになっており、在籍する薬剤師のほとんどが有給取得できていないケースは多いです。要は、有給消化率が低いのです。

実際、調剤薬局やドラッグストア、病院の中には意味不明な理由で有給取得を拒否する職場が存在します。「結婚後に新婚旅行へ行くため、20日ほど有給を使わせてほしい」などのように伝えても、以下のようなよく分からない理由を持ち出して拒否するのです。

  • 他の薬剤師も有給休暇を使えていない
  • 例外を認めるわけにはいかない
  • 最大で5日までしか連続の有給は使えない

職場の雰囲気が悪い場合、有休を非常に取りにくくなります。それだけでなく、経営者の考え方がダメな場合、休暇の連続取得を理由なく拒否されることもあります。有休を取りやすい雰囲気の職場ならいいですが、実際のところそうでない薬局や病院はたくさんあるのです。

ただ、既に述べた通り有給休暇は法律に明記されているものであり、これを雇用者側が拒否することはできません。これを阻止しようとするのは法律違反であり、明らかな違法行為に当たります。また、そうした職場は非常に質が悪いといえます。

例えば女性薬剤師の場合、「結婚後にライフスタイルが変わる」「子供が生まれて育児が忙しくなる」などの状況が発生します。

有給を取れるかどうかは「働きやすさの初歩」であり、これを認めてくれない職場だと妊娠・出産などライフスタイルの変化によって、ほぼ100%の確率で働き辛くなります。

そこで、多くの人は有給休暇を取得できるのは当然と考えて、その後のライフスタイルが変化することまで見据えて転職します。

当然、女性薬剤師に限らず男性であっても「子供が大きな病気にかかったとき、看病が必要になる」という状況は普通に発生するため、有休を拒否する職場とは縁を切る人が非常に多いのです。

柔軟な働き方が可能な調剤薬局やドラッグストア、病院を選ぶ

このとき、転職時はダメな経営方針の会社ではなく、労働者が保有している当然の権利を当たり前のように使わせてくれる職場を選ぶ必要があります。さらにいうと、より薬剤師が働きやすい環境を整えている職場を選択するようにしましょう。

特に調剤薬局やドラッグストアであると、職場によっては非常に働きやすい環境になるよう留意していることがあります。

例えば、以下の求人では看護休暇の取得を認めています。

看護休暇とは、自分の子供が急に発熱して看病しなければいけなくなったとき、休むことができる制度になっています。子供の発熱のように、その日になって急に休むことになったとしても休暇を認めてくれるため、勤務体制を整えている調剤薬局といえます。

看護休暇として休んだ日を有給にしてもらうことで、急に休みが必要になった場合であっても問題なく対応してもらえるようになっているのです。

有給消化率の高い薬局や病院を選ぶ

また、看護休暇のように急な休みに対応できる制度を整えてはいなかったとしても、一般的な有休を認めてくれる職場であるのは必須です。

このとき、中には長期の有給休暇の取得を認めてくれる職場が存在します。例えば、以下は大阪にある調剤併設ドラッグストアから出されたパートの求人募集ですが、こうしたパート薬剤師であっても年間20日の長期休暇制度を整えています。

長期休暇とは、要は有給休暇の長期取得を認めていることを意味しています。有給休暇は最大で年間20日が付与されるからです。

また、調剤薬局やドラッグストアでなく病院であったとしても、有給取得率の高い職場は存在します。同じ急性期病院であっても、ほぼ有休を取れない雰囲気の職場があれば、在籍人数が多いのでいろんな人がカバーしながら有給消化率を非常に高く保っている病院もあるのです。

例えば、以下の東京にある急性期病院では常勤薬剤師が多く、有給消化率が非常に高いことを売りにしています。

調剤薬局やドラッグストアに限らず、病院であっても有給消化率の高い職場は存在します。

転職時に職場見学し、現場の声を聞くべき

ただ、実際に転職するときは求人票だけで判断してはいけません。求人募集にいくら「有給取得率が高い」と記載されていたとしても、それが本当かどうかは不明だからです。

有給取得の現状については、実際に働き始めなければ分かりません。ただ、方法によっては働く前(転職前)であっても有給取得について実情を把握できます。それは、実際に働く現場を見学して、そこで働く薬剤師に「ぶっちゃけどうなのか」について質問してみることです。

本社にいる社長や採用担当者であれば、薬剤師を雇いたいという一心で良いことばかり言うケースが多いです。ただ、現場の管理薬剤師や一般薬剤師に「実際のところはどうか」を聞くと、わりと本音で話してくれます。

特に調剤薬局やドラッグストアであると、本社と実際に働く職場が離れているケースが多いです。このとき、面倒だとは思わず必ず店舗見学を実施しなければいけません。

このときは単に「有給を取得しているかどうか」だけでなく、「職場の薬剤師がどれだけ多くの有給休暇を消化できているか」「長期の休みは可能か」まで踏み込んで聞くといいです。有給消化率が高く、さらには有給を取りやすい雰囲気の求人であることの裏付けを、現場で働く薬剤師から確認するのです。

現場で働く薬剤師は、これからあなたと一緒に働くかどうかまで見据えています。

そのため、下手に良いことをいうよりも真実の情報を伝え、それに対して納得したうえで働いてもらう方が良いと判断する人が多いです。そのため、真実の情報を提供してくれます。

このように考えると、転職時にこれから働く予定の現場まで足を運び、見学させてもらうことが非常に重要となるのです。

管理薬剤師でも一人薬剤師でも有給を取るべき

なお、有給休暇を取得しやすい職場へ転職することを希望する場合、当然ですが薬剤師のいる職場の雰囲気に加えて、薬剤師の在籍人数も把握するようにしましょう。

薬局であれば、多店舗展開していてヘルプ体制があるかどうかを確認します。そうすれば、たとえ管理薬剤師や一人薬剤師であったとしても休めないという状況には陥りにくいです。

管理薬剤師は一つの店舗でしか働いてはいけないように法律に明記されています。これが一人薬剤師であると「店舗に一人&管理薬剤師」となるため、さらに休みにくくなります。ただ、きちんとした労働環境を整えている職場であれば有給休暇や公休日に限らず、リフレッシュ休暇を含めて与えてくれます。

・ダメな職場とは早めに見切りをつけるべき

実際のところ、有給休暇の取得を認めてくれないような劣悪な環境の職場だと、他の労働環境についても違法行為を繰り返していることが多いです。「管理薬剤師を他店舗のヘルプに向かわせる」「事務員が調剤をする」など、ダメな職場であるほど違法行為を繰り返します。

有給休暇の取得は当然であり、こうした最低限の権利でさえ認めてくれない職場はかなり労働環境が悪いと言えます。そのため、違法行為についても手を染めやすいのです。。

薬剤師不足になるのは原因がありますし、ダメな労働環境になっているのは経営者に問題があるからなのす。ただ、薬局や病院などでトップとして働いている人間を交代させることは不可能です。そのため、最初から優れた労働環境を整えることに力を注いでいる経営者のもとで働くのが最善だといえます。

労働環境に疑問がある場合、早めに職場を変えるべき

有給休暇の取得で薬剤師が悩みやすいのは、多くが結婚時です。結婚前後や新婚旅行(ハネムーン)をはじめとして、特に理由がない限りは結婚前後にほとんどの人が長期の有給休暇を取得します。

また、人によっては病気の治療のために長期入院を必要とすることがあります。その場合、有給休暇を活用して病気を治療します。

しかし、ダメな薬局や病院だとそうした労働者の権利を無視して、長期の休暇を認めてくれないことがあります。こうした職場では先が思いやられますし、妊娠・出産などのイベントが加わると確実に耐えられません。

これは女性薬剤師に限らず、男性でも同様です。出産時は付き添いのために急な休みが必要になります。また、子供は病気に罹りやすいので大きな感染症を発症すると付きっきりになります。

このとき、失敗して後悔する薬剤師ほど「実際に妊娠したとき」「子供ができて育児をするとき」になっていまの職場では働くことができないと考えはじめます。そして、ようやく重い腰を上げて転職するのです。

しかし、例えば女性薬剤師だと同じ職場へ復帰しない場合、原則として育児休業給付金を受け取ることはできません。つまり、育休中は無収入になります。

そこで多くの薬剤師は、早めに看護休暇を含めて有給休暇を取得しやすかったり、育児に理解のある職場で勤務したりすることを考えます。そうして先に転職を完了しておけば有給の問題で悩むことはなくなりますし、育児についても安心しやすくなります。

例えば、以下は東京にある調剤併設ドラッグストアから出された求人です。

ここには、「子供が一歳半になるまで育休が可能」「小学校6年生になるまで時短勤務できる」とあります。

法律では、育休は子供が一歳になるまで認めています。また、時短勤務は子供が3歳になるまでです。しかし、この薬局では例外規定を設けています。このように柔軟に対応してくれる職場へ転職しておけば、その後もずっと働けるようになります。

転職で後悔する薬剤師であるほど、いまの職場環境に疑問を持ちながらも現状維持を続けます。ただ、成功する薬剤師ほど自分の要望を満たしてくれる職場へ早めに切り替えます。

これが、多くの薬剤師が「結婚後の新婚旅行や長期入院での有給取得など、長期休暇の取得を認めてくれない職場を退職し、すぐに転職するべき理由」になります。

転職サイトを利用して求人を見つけるのが一般的

このとき、薬剤師がどのようにして有給取得を含めて働きやすい求人を発見し、転職するのかというと、ほとんどが転職サイトの活用になります。転職エージェントに多くの求人が集まるため、その中から最適な募集を選ぶことができます。

このとき、単に有給消化率の高い職場を選んではいけません。以下のように、将来のライフプランまで踏まえたうえで中途採用の求人募集に応募する必要があります。

  • 妊娠・出産後も育児をしやすい
  • 時短勤務や看護休暇を含めて認めてくれる
  • 長期の有給休暇を取るのが普通
  • リフレッシュ休暇まで含めて存在する

これら他の条件面まで考慮しなければいけないため、こうしたことまで含めて相談に乗ってくれる転職サイトを活用するのが基本になります。

当然、こうした例外規定を認めてくれる調剤薬局やドラッグストア、病院の数は少ないです。そのため1社ではなく、2~3社以上の転職エージェントを利用するのが普通です。それだけ求人数が多くなり、優れた職場を発見できる確率が高くなるからです。

こうしたことを理解して、有給取得を認めてくれない職場とは早めに縁を切ることを考えるのが適切です。

休めない職場は労働環境が悪い

薬剤師にとって有給が取得できないために休めない場合、職場環境が非常に劣悪だといえます。法律に明記されているのに、それを認めてくれない職場はダメな薬局・病院だといえます。

薬剤師の人数が足りておらず、好きなように有休を取れないのは理由があります。ただ、この一番の原因は経営者の考え方が甘く、経営能力が欠如しているからです。

残念ながら、あなたが経営者を正すことはできません。そのため、薬剤師が自ら働きやすい環境を整えている職場を探すのが基本になります。また、後になって後悔する薬剤師ほど転職を先延ばしにしますが、成功する薬剤師ほど疑問をもったときに早めに転職して適切な職場へ切り替えます。

これらを理解したうえで、転職サイトの担当者と相談しながらどの仕事場所が最適なのか考えるようにしましょう。

そうして転職前に必ず職場見学を実施して内情を把握し、有給消化率の高い職場を選ぶようにしましょう。また、転職サイトへ相談するときは有給以外の希望条件も挙げる必要があります。これが、有休を考えるときに成功する薬剤師の考え方になります。


薬剤師転職で失敗しないために必要な理想の求人・転職先の探し方とは!

薬剤師が転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。自分一人では、頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できるだけでなく、病院や薬局、その他企業との交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「電話だけの対応を行う ⇔ 必ず薬剤師と面談を行い、面接同行も行う」「大手企業に強みがある ⇔ 地方の中小薬局とのつながりが強い」「スピード重視で多くの求人を紹介できる ⇔ 薬剤師へのヒアリングを重視して、最適な条件を個別に案内する」などの違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページで転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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