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リレンザ(ザナミビル)の作用機序:抗インフルエンザ薬

 

インフルエンザはウイルスによって引き起こされる感染症です。その原因ウイルスをインフルエンザウイルスと呼び、冬になると毎年のように患者数が増大します。

 

そこで、インフルエンザを治療するために用いられる薬としてザナミビル(商品名:リレンザ)があります。ザナミビルはノイラミニダーゼ阻害薬と呼ばれる種類の薬になります。

 

 ザナミビル(商品名:リレンザ)の作用機序
風邪とインフルエンザは違います。インフルエンザでは38℃以上の高熱や筋肉痛などが起こり、これが3~7日間続きます。高齢者などの免疫が弱い方の場合、気管支炎や肺炎を併発することもあります。

 

インフルエンザはウイルスによって引き起こされるため、病気を治療するためにはインフルエンザウイルスの働きを抑制すれば良いことが分かります。それでは、抗インフルエンザ薬の作用を理解するため、インフルエンザウイルスが増殖していくときの過程から説明していきます。

 

ウイルスは他の細胞に寄生しないと増殖できません。インフルエンザウイルスも同様であり、ヒトの細胞に吸着・侵入する必要があります。インフルエンザウイルスはRNAと呼ばれる遺伝子をもっており、細胞内でRNAを放出します。これを、専門用語で脱殻(だっかく)と呼びます。

 

インフルエンザウイルス由来の遺伝子が放出されると、私たちの細胞はウイルスの遺伝子やタンパク質を合成するようにプログラムが変えられます。これによってウイルスが作られるようになり、新たなウイルスが細胞から遊離することで増殖を完了します。

 

 リレンザ(ザナミビル)の作用機序:抗インフルエンザ薬

 

そこで、最終工程で起こる「ウイルスの遊離」を阻害すれば、インフルエンザウイルスを細胞内に閉じ込めることができます。この過程に関わっている重要な酵素としてノイラミニダーゼ(NA)と呼ばれるものが知られています。

 

インフルエンザウイルスと細胞は結合していますが、ノイラミニダーゼが結合を切断することでウイルスの遊離が促されます。そこで、ノイラミニダーゼを阻害すれば、ウイルスの遊離を抑えることができます。

 

このような考えにより、インフルエンザウイルスが放出される最終段階を阻害することで感染症を治療する薬がザナミビル(商品名:リレンザ)です。

 

 

 ザナミビル(商品名:リレンザ)の特徴
インフルエンザウイルスとしてはA型、B型、C型が知られています。ザナミビル(商品名:リレンザ)はA型、B型のインフルエンザウイルスに対して効果を示します。C型には効果がありません。

 

経口薬(口から服用する薬)ではなく、口から吸いこむ吸入薬として利用されます。口から服用しても体内にほとんど吸収されないため、吸入でなければ効果が乏しいです。インフルエンザウイルスは肺や気管支に存在するため、患部へ直接薬を届けるのです。

 

試験管レベルの実験では鳥インフルエンザ(H5N1)に対しても効果を示すことが明らかになっています。

 

インフルエンザを発症後、48時間以内に使用することで症状を改善させることができます。「ウイルスの遊離を防ぐ」という作用のため、既にウイルスが増殖した後に薬を投与しても効果を得ることができません。そのため、早期の薬物投与が必要になります。

 

発症後、48時間が経過した後にザナミビル(商品名:リレンザ)を投与したとしても、効果はほとんどないと考えられています。

 

このような特徴により、発症早期にパウダー状の薬を吸入することでインフルエンザウイルスの増殖を抑える薬がザナミビル(商品名:リレンザ)です。

 

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