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ゾビラックス（アシクロビル）の作用機序：抗ヘルペスウイルス薬

 

ヘルペスはウイルスが原因で起こる感染症であり、皮膚に水ぶくれを起こします。子供のときに罹る「水ぼうそうなど」が分かりやすいかもしれません。単純疱疹や帯状疱疹、水痘（水ぼうそう）はヘルペスウイルスが原因なのです。

 

ヘルペスウイルスは誰でも感染している一般的なウイルスです。たとえヘルペスウイルスに感染していたとしても、症状が表れない人は多いです。しかし、風邪による高熱や体の疲れなどにより、症状が表れやすくなります。

 

そこで、これらウイルス感染による症状を抑えるために使用される薬としてアシクロビル（商品名：ゾビラックス）があります。アシクロビルはDNAポリメラーゼ阻害薬と呼ばれる種類の薬になります。

 

　アシクロビル（商品名：ゾビラックス）の作用機序
ヘルペスでは、口の周りに症状が表れる「口唇ヘルペス」や性器の周辺に水ぶくれを生じる「性器ヘルペス」が一般的に知られています。前述の通り、水ぼうそうもヘルペスウイルスが原因です。

 

ヘルペスウイルスには、いくつかの種類があります。口唇ヘルペスは「単純ヘルペスウイルス1型（HSV-1）」によって、性器ヘルペスは「単純ヘルペスウイルス2型（HSV-2）」によって、水ぼうそうは「水痘・帯状疱疹ウイルス」によって発症します。他にも種類があり、それぞれ引き起こす疾患が異なります。

 

単純疱疹、帯状疱疹の原因がヘルペスウイルスであるため、これを治療するためにはヘルペスウイルスを退治すれば良いことが分かります。

 

ヘルペスウイルスは「DNAの周りを細胞膜で取り囲んでいるだけ」という、とても単純な構造をしています。ウイルスは私たちの細胞内を使ってDNAを複製させることで、ようやく自己増殖を行うことができます。そこで、DNAの複製を阻害してしまえば、ヘルペスウイルスの増殖を抑制できるようになります。

 

DNAを合成するためには酵素が必要であり、この酵素をDNAポリメラーゼと呼びます。つまり、DNAポリメラーゼを阻害すれば、ヘルペスウイルスの増殖を抑制できます。

 

　

 

このような考えにより、DNAの合成を阻害することによってウイルス感染による症状を抑える薬がアシクロビル（商品名：ゾビラックス）です。アシクロビルはヒトのDNAポリメラーゼを阻害しないが、ヘルペスウイルスのDNAポリメラーゼは阻害するように設計されています。

 

 

　アシクロビル（商品名：ゾビラックス）の特徴
世界初のウイルスに対する治療薬（抗ウイルス薬）がアシクロビル（商品名：ゾビラックス）です。ヘルペスウイルスの増殖を特異的に抑制する作用が認められており、開発者のエリオンはノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

 

ヘルペスウイルスの中でも、アシクロビル（商品名：ゾビラックス）は単純ヘルペスウイルス1型（HSV-1）、同2型（HSV-2）、水痘・帯状疱疹ウイルスに対して有効性を示します。つまり、これらのウイルスによって引き起こされる「単純疱疹、帯状疱疹」に対して有効です。

 

なお、大人だけでなく小児もヘルペスを発症することがあります。アシクロビル（商品名：ゾビラックス）は小児に対しても使用されます。軟こうや顆粒、点滴など多くの剤形を有する薬であるため、適切な剤形を使用することで病気を治療できます。

 

このような特徴により、ヘルペスウイルスが原因で起こる水ぶくれを治療するために用いられる薬がアシクロビル（商品名：ゾビラックス）です。