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役に立つ薬の情報~専門薬学

クアトロバック(四種混合ワクチン)

 

感染症予防に重要となるワクチンですが、ジフテリアや百日せき、破傷風の3つに対して予防効果をもつワクチンとして三種混合ワクチン(DPTワクチン)があります。

 

この三種混合ワクチンにポリオワクチンを加え、4つの感染症に対して予防するワクチンがクアトロバックです。クアトロバックは四種混合ワクチンと呼ばれます。

 

 四種混合ワクチンとは
その名の通り、四種混合ワクチンは4つの有効成分を保有しています。ワクチンはその種類によって生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイドの3つに分けられますが、四種混合ワクチンでは不活化ワクチンとトキソイドが利用されています。

 

生ワクチンとは、生きてはいるが弱らせた病原微生物を利用したワクチンです。実際に生きているために強力な免疫を付けることが可能ですが、「ワクチンによって希に感染症を発症してしまうことがある」という副作用もあります。

 

不活化ワクチンでは、死滅させた病原微生物を使用します。生ワクチンのような強力な免疫を得られませんが、生ワクチンのようにワクチン摂取によって感染症が引き起こされることはありません。

 

トキソイドでは、トキシン(毒)を無毒化することで毒もどきを作り出します。この毒もどきに対する抗体が作られるため、本物の毒素が体内に侵入してきた時に症状を和らげることができます。

 

 四種混合ワクチン:テトラビック

 

四種混合ワクチンに含まれる成分のうち、ジフテリアと破傷風はトキソイドを利用しています。百日咳とポリオは不活化ワクチンによって免疫をつけます。

 

また、クアトロバックが導入される2012年以前では不活化ポリオワクチンは導入されておらず、全て生ポリオワクチンでした。生ワクチンによってポリオ接種を行っていたため、稀にではありますがワクチンによってポリオを発症して麻痺が残ってしまうという問題点がありました。

 

そこでポリオの発症リスクをゼロにした不活化ポリオワクチンが導入されました。その後、三種混合ワクチンに不活化ポリオワクチンが加わったクアトロバックが発売され、四種混合ワクチンとして利用されています。

 

 予防できる病気
 ジフテリア:
ジフテリア毒素によって起こる喉の痛み、発熱、筋力低下、嘔吐など

 

 百日咳:
呼吸器感染症であり、風邪のような症状や重い咳を引き起こす

 

 破傷風:
神経毒である破傷風の毒素により、歩行障害や全身の痙攣などが表れる

 

 ポリオ(急性灰白髄炎):
小児麻痺とも呼ばれ、足や腕に麻痺が残ってしまう

 

 

 クアトロバックの特徴
不活化ポリオワクチンを含む四種混合ワクチンとして、国内で初めて発売された薬がクアトロバックです。生後3か月からワクチン接種が可能であり、早期からの接種が推奨されています。

 

特に生まれたばかりの赤ちゃんは多数のワクチンを接種しなければいけません。そのため、四種混合ワクチンにすることで乳幼児の負担を軽減することができます。

 

この頃はHib(ヒブ)ワクチンや肺炎球菌ワクチン、ロタウイルスワクチンなど多数のワクチンを接種するため、ワクチンのスケジュール管理を行う必要があります。医師によって必要であると判断された場合、他のワクチン製剤と一緒に四種混合ワクチンを接種することも可能です。

 

副作用としては赤く腫れたり、しこりが残ったりすることもありますが、大きな問題となるケースはほとんどありません。チメロサールなどの保存剤を含まない、利便性の高いワクチンです。

 

このような特徴により、不活化ポリオワクチンを含めた4つの感染症を予防するために開発されたワクチンがクアトロバックです。

 

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