プレベナー13(肺炎球菌ワクチン)
小さい子供に細菌性髄膜炎を発症させる恐れのある細菌として、肺炎球菌が知られています。髄膜とは、脳や脊髄を保護するための膜です。細菌によって髄膜に炎症が起こり、発熱や項部硬直、意識障害などを引き起こします。
これら肺炎球菌による細菌性髄膜炎はワクチンによって防ぐことができ、このような小児用の肺炎球菌ワクチンとしてプレベナー13があります。
細菌性髄膜炎とは
小児用の肺炎球菌ワクチンが導入される前、日本では年間200人程度の肺炎球菌による細菌性髄膜炎患者が発生していました。
肺炎球菌による細菌性髄膜炎を発症した人の半数は1歳前であり、特に2歳以下の子供では肺炎球菌に対する免疫がないため、肺炎球菌に感染すると重症化しやすくなります。保育園など、集団保育を行っている子供では肺炎球菌による感染症に2~3倍かかりやすいとも言われています。
※ワクチン普及前
肺炎球菌による細菌性髄膜炎を発症すると、30~40%で後遺症が残り、7~10%の確率で死亡すると考えられています。同じように細菌性髄膜炎を引き起こす菌としてHib(ヒブ)が知られていますが、肺炎球菌はHib(ヒブ)に比べて倍程度も後遺症や死亡を引き起こす可能性が高くなります。
一見すると後遺症がないように見えたとしても、数年経過することで知的障害が目立つようになることもあります。
細菌性髄膜炎が肺炎球菌によって起こった場合、抗菌薬などを使用することで治療していきます。しかし、抗菌薬が効かない耐性菌も出現しているため、肺炎球菌に対する予防が重要になります。
これら肺炎球菌による細菌性髄膜炎を予防するため、肺炎球菌に対するワクチンであるプレベナ13ーを使用することで防ぎます。
プレベナー13の特徴
小児用の肺炎球菌ワクチンがプレベナー13です。肺炎球菌によって細菌性髄膜炎が引き起こされますが、プレベナー13によって血液に細菌が検出される菌血症や細菌性中耳炎などの病気も防ぐことができます。
肺炎球菌には多くの種類があり、90種類以上の型に分けられます。そのうち、肺炎球菌による疾患のうち約80%は7種の肺炎球菌の型によるものであると考えられています。そこで、プレベナーは7種の肺炎球菌を含むことで、肺炎球菌による感染症の予防を実現しました。
そのような中、プレベナーに含まれる7種の肺炎球菌だけでなく、他の6種の肺炎球菌による感染症も重要であることが分かってきました。そこで、7種の肺炎球菌を含むプレベナーに6種の肺炎球菌をプラスし、現在では13種の肺炎球菌を含むプレベナー13として使用されています。
2000年から肺炎球菌ワクチンの定期接種を行っているアメリカでは、ワクチンで予防可能な肺炎球菌による重篤な感染症を98%減らしたという報告もあります。プレベナー13は生後2か月から接種可能であるため、スケジュールを決めて早めの対策が必要になります。
このように、乳幼児に対する肺炎球菌への感染を予防し、細菌性髄膜炎などを未然に防ぐワクチンとしてプレベナー13があります。
なお、小児用の肺炎球菌ワクチンと成人用の肺炎球菌ワクチンは別物です。成人用肺炎球菌ワクチンとしてニューモバックスが知られていますが、小児用肺炎球菌ワクチンのプレベナー13とは用途が異なります。
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