役に立つ薬の情報~専門薬学 | 薬・薬学・専門薬学・薬理学など

役に立つ薬の情報~専門薬学

ガーダシル(子宮頸がんワクチン)

 

子宮頸がんは女性特有の疾患であり、乳がんに次いで罹患率が高い病気です。日本では年間で約1万5千人の方が子宮頸がんと診断され、約3500人が死亡しています。

 

がん疾患の中でも、子宮頸がんはワクチンによって予防することができます。このような子宮頸がんワクチンとしてガーダシルが知られています。

 

 子宮頸がんとは
子宮の頸部(入口)にがんが発生する疾患が子宮頸がんです。子宮頸がんの原因としてウイルスが知られており、このウイルスとしてヒトパピローマウイルス(HPV)があります。ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染により、子宮頸がんを発症します。

 

ヒトパピローマウイルス(HPV)はありふれたウイルスであり、性的な接触によって感染を引き起こす性感染症です。性交渉を経験した女性の約80%が50歳までに感染すると言われています。ただし、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染したとしても、通常は症状もなく体内に備わっている免疫によって排除されます。

 

しかし、中には長い年月に渡って感染が続くこともあり、これによって子宮頸がんを発症してしまう方がいます。長時間ウイルスが感染することにより、少しずつ細胞のがん化が起こってくるのです。

 

ヒトパピローマウイルス(HPV)にも様々な種類がありますが、その中でもHPV-16、HPV-18という2種類の型が特に子宮頸がんを引き起こす高リスクのウイルスになります。

 

そのため、子宮頸がんを予防するためには、ワクチンによってHPV-16、HPV-18に対する免疫を予め備えておけば良いことが分かります。

 

 子宮頸がんワクチン(ガーダシル):ヒトパピローマウイルス(HPV)

 

また、性器や肛門の周りにイボのようなものが生成される疾患として尖圭コンジローマがあります。自覚症状はほとんどありませんが、放置するとイボが増えて広がってしまうことがあります。

 

尖圭コンジローマもヒトパピローマウイルス(HPV)が原因となり、その中でもHPV-6、HPV-11への感染によって引き起こされます。つまり、HPV-6やHPV-11に対するワクチン接種により、尖圭コンジローマに対する予防効果も期待できます。

 

これらを踏まえた上で、「HPV-6、HPV-11、HPV-16、HPV-18」の4種のヒトパピローマウイルス(HPV)を含むことで子宮頸がんや尖圭コンジローマを予防する薬がガーダシルです。

 

 

 ガーダシルの特徴
同じ子宮頸がんワクチンとしてサーバリックスが知られていますが、サーバリックスには子宮頸がんで重要となるHPV-16、HPV-18の2種が含まれています。HPV-6とHPV-11は含まれていないため、サーバリックスでは尖圭コンジローマまでは予防することができません。

 

それに対して、ガーダシルは子宮頸がんだけでなく、尖圭コンジローマなどヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こされる他の病気まで広く予防できるという利点があります。

 

臨床試験においても、子宮頸部の病変や尖圭コンジローマの予防に有効であったことが示されています。ただし、ガーダシルが全てのヒトパピローマウイルス(HPV)による感染を防げるわけではないため、検診などは続けていかなければいけません。

 

なお、重大な注意事項としてガーダシル接種後の失神があります。注射後の失神による転倒を避けるため、接種後30分程度は座らせるなどの対策が必要になります。

 

このような特徴により、ウイルスに対する予防接種によって子宮頸がんや尖圭コンジローマを防止するワクチンがガーダシルです。

 

スポンサードリンク




スポンサードリンク