サーバリックス(子宮頸がんワクチン)
子宮頸がんは女性特有のがんであり、世界での子宮頸がんによる死亡者は2002年において推定27万人と言われています。日本でも年間で約1万5千人の方が子宮頸がんと診断され、約3500人が死亡しています。
これら子宮頸がんはワクチンによって予防することができる疾患であり、そのためのワクチンとしてサーバリックスが使用されます。
子宮頸がんとは
女性に起こるがんの中でも、子宮頸がんは乳がんに次いで多い疾患です。この子宮頸がんの主な原因はウイルスへの感染であり、このウイルスをヒトパピローマウイルス(HPV)と呼びます。
いわゆる性感染症であり、性的な接触によってヒトパピローマウイルス(HPV)に感染します。全ての女性が感染するリスクがあります。
ただし、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染したとしても、その多くは一時的です。私たちの体に備わっている免疫によってウイルスが排除されます。しかし、中にはヒトパピローマウイルス(HPV)が排除されず、持続的に感染し続けてしまうことがあります。この状態であると、子宮頸がんを発症するリスクが高まります。
ヒトパピローマウイルス(HPV)にも種類があり、その中でも発がんに関わるものとしてHPV-16とHPV-18が知られています。全世界の子宮頸がん患者の約70%からHPV-16、HPV-18が検出されていることから、この2種類のウイルスが子宮頸がん発症に関係していると考えられています。
そのため、ヒトパピローマウイルス(HPV)の中でもHPV-16とHPV-18に対するワクチンを予め接種しておけば、子宮頸がんを発症するリスクを大幅に減らせることが分かります。
このようにHPV-16 とHPV-18に対する免疫を付けることにより、子宮頸がんを予防するワクチンがサーバリックスです。
サーバリックスの特徴
ワクチンとしてサーバリックスを接種することにより、HPV-16、HPV-18に対する高い抗体価を何年も得られることが分かっています。海外においても、前癌病変(正常細胞よりもがんになりやすいように変化した組織に変化すること)に対する高い予防効果が示されています。
サーバリックスの接種スケジュールは決められており、適切な期間の間に3回接種する必要があります。
自然に免疫を獲得する「自然感染」では不十分であるため、ヒトパピローマウイルス(HPV)への対策のためにサーバリックスが必要になります。サーバリックスでは、自然感染の10倍以上の抗体価を得られることが分かっています。
ただし、サーバリックスを接種したからと言って、全ての発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)に対する感染を予防できるわけではありません。そのため、サーバリックスで予防できない子宮頸がんに対して、検診などを実施することで注意していく必要があります。
なお、重大な注意事項としてサーバリックス接種後の失神があります。注射後の失神による転倒を避けるため、接種後30分程度は座らせるなどの対策が必要になります。
このような特徴により、ヒトパピローマウイルスによる感染を防ぐことによって子宮頸がんを防ぐワクチンがサーバリックスです。
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